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『ゴジラVSデストロイア』(1995)

「ゴジラ死す。」
『ゴジラVSデストロイア』(1995)_e0033570_1184174.jpg――衝撃的なコピーが付けられた<平成シリーズ>、<VSシリーズ>の完結編。
シリーズ通算では22作目にあたる。

前作の『VSスペースゴジラ』は結構コミカルで能天気、破天荒なアクション物になっていたのだが、今回は大きく転換。”原点”にして”聖典”たる第一作を強く意識したシリアスなドラマへと舵を切った。

何といっても第一作のヒロイン河内桃子に、そのまんま40年後の山根恵美子を演じさせたり、メインキャラクターに山根博士縁の人物を配したり、第一作のフッテージを何度も流用したりと、これが<平成シリーズ>のみならず「ゴジラ」シリーズ全体の幕引きを務めようか、という力の入れよう。

重厚で緊迫感のある、シリーズでも屈指の見応えのあるドラマを繰り広げることには成功しているが、その一方でオキシジェン・デストロイヤーなど過去の遺産的なアイテムに頼りすぎの嫌いもあるのがちょいと残念。
ハッキリ言って、このオキシジェン・デストロイヤーとミクロオキシゲン、それとデストロイア誕生との相関関係がさっぱり分からず、このデストロイアが何故ゴジラに対するカウンターになり得るのかが理解できなかったのだが、これは読解力が無さすぎ?

それにキャストにも少々難あり。
冷静で知的な科学者役ということで起用されたであろう辰巳琢郎は、どちらかというと胡散臭さが目立つし、TVの人気キャスターという割には石野陽子は滑舌悪すぎ。
結局は彼らも、小高恵美や中尾彬といったレギュラー陣や、病気降板の細川俊之に代わっての登板となった篠田三郎らの安定した芝居の前には存在感が霞んでしまった。

『ゴジラVSデストロイア』(1995)_e0033570_1195989.jpgなお、スーパーXIIIの指揮を執り、「特殊戦略室のアイツ」と呼ばれる高嶋政宏演じるキャラクター、設定上では『VSビオランテ』で弟の高嶋政伸が演じた黒木特佐ということになっているが、スケジュールの都合でキャスト変更があったため暈されてしまい、画竜点睛を欠く結果になってしまったのは残念だった。

ともあれこの作品を持ってハリウッド版にバトンタッチし、しばしの眠りに就く予定だったゴジラだが、僅か4年後には再び目を覚ますこととなってしまう・・・。
Tracked from ひびレビ at 2009-08-30 09:18
タイトル : ゴジラVSデストロイア
「ゴジラVSデストロイア」の感想。 VSシリーズ最後の作品。スペースゴジラまでは映画館で観たはずなのに、何故私はこの映画を観に行かなかったのか・・・ この作品の特徴は何と言っても「ゴジラが死ぬ」ということ。体内の核エネルギーが暴走し、胸などが赤く発光するゴジラはいつ見ても迫力満点。無闇に攻撃を加えると凄まじい規模の大爆発を起こす可能性があり、更に4代目最大の武器である赤い熱線を常時放つため、厄介なことこの上ない。 自分の体が危機なのに、それでも息子?の危機には駆けつける。最期まで頼れる父親の姿を見...... more
Tracked from 極私的映画論+α at 2009-08-30 18:45
タイトル : ゴジラVSデストロイア (1995) 105分
 ゴジラ死す!... more
Commented by pixytale at 2009-08-31 05:23 x
 ミクロオキシゲンはオキシジェン・デストロイヤーの要素技術というか、一歩手前的な化学的性質を持つ物質で、オキシジェン・デストロイヤー同様に生物組織を根本的に破壊する性質を持っています。
 デストロイアはオキシジェン・デストロイアの使用によって生物の墓場となった海底で突然変異で発生した生物であり、オキシジェン・デストロイヤー(およびミクロオキシゲン)に対する耐性を備えていると同時に、自らミクロオキシゲン(後にはオキシジェン・デストロイヤー同等のレベルのものまで)を分泌することが出来ます。そのためにかつてオキシジェン・デストロイヤーに葬られたゴジラに対する天敵的な存在と見なされたのでしょう。

 ちなみに怪獣名がデストロイアなのは、デストロイヤーという商標名がすでに登録済みで使えなかったからだそうですね。

 ところで、この映画の最大の見所、メカゴジラもモゲラも失って手駒が無くなったから、自らはゴジラに対して何の手出しも出来ず、ただ自衛隊の活躍を眺めているしかないGフォース長官の中尾彬の悔しそうな演技ですね。(をい)
Commented by odin2099 at 2009-08-31 22:26
ご丁寧な解説、恐れ入ります。

この作品の見どころの一つ、それはやっぱり麻生司令の没落ぶりでしょうか(笑)。
これ、長官がソフトな篠田三郎に交代したからいいものの、そのまま細川俊之だったらかなりネチネチいじめられてるような雰囲気が漂ったかも知れませんね(苦笑)。

最後に復活するゴジラジュニア。
このまんまの世界観を維持した続編というのも観てみたいかも。
by odin2099 | 2009-08-29 11:11 |  映画感想<カ行> | Trackback(2) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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