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『原子怪獣現わる』(1953)

原水爆実験により、太古に死滅したはずの恐竜の生き残りが目覚めて大暴れ!
――というと我が国が誇る”怪獣王”『ゴジラ』とソックリですが、実はその一年前に作られています。
ということは『ゴジラ』の直接的な元ネタ、ご先祖様ということになりますね。『キング・コング』よりも遥かに近しい関係です。
で、『ゴジラ』には”特撮の神様”円谷英二が参加してましたが、こちらはあのストップ・モーション・アニメの巨匠レイ・ハリーハウゼンが陣頭指揮を執っています。
今日の眼で観て、技術的に稚拙だとか演出のテンポが緩いとか言うのは簡単ですが、今なおセンス・オブ・ワンダーに溢れた作品だと言って良いでしょう。

『原子怪獣現わる』(1953)_e0033570_19203752.jpg原作はレイ・ブラッドベリの『霧笛』――残念ながら読んだことはありません――となっていますが、実際は参考程度のようです。ただブラッドベリとハリーハウゼン、二人の”レイ”は学生時代からの友人同士で、最初からコラボ企画だったみたいですね。

主人公たるリドサウルスはゴジラ同様架空の恐竜ですが、ゴジラと違って放射能を吐いたりするわけではありませんので、モンスター性としては一歩譲るかも知れません。
ただ、通常兵器ではそう易々と退治することは出来ず、しかも胎内には未知の病原菌を持っているため、下手に攻撃すると『アウトブレイク』になっちゃうという、意外なというか隠れた実力を発揮してくれます。サスペンス要素に関してはゴジラ以上でしょう。

監督のユージン・ローリーはこの後、今度は『ゴジラ』に影響を受けたと思しき『怪獣ゴルゴ』を監督。
一般には無名で、映画史にその名を燦然と輝かせることもないのではないかと思われますが、ジャンル・ファンの間では永遠に語り継がれていく存在でしょう。
by odin2099 | 2010-01-11 19:21 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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