『ホロー荘の殺人』 アガサ・クリスティー
2010年 07月 20日
ミッジ・ハードカースル、彫刻家のヘンリエッタ・サヴァナク、医者のジョン・クリストウと妻ガーダ、エドワード・アンカテル、デイヴィッド・アンカテル…招かれたのは6人の男女。
犯人は誰で、そしてジョンは何故殺されねばならなかったのか、という興味で引っ張るミステリー物ではあるのですが、それよりもホロー荘に集った人々の複雑な愛憎劇、一種の恋愛小説として捉えた方が良いのではないかと思います。
犯人探しよりも、おそらく誰が犯人か気付いたであろう他の親戚たちが、その人をかばうかのような行動を見せる、その心理の方がミステリーと言えそうです。
ただ謎解きの興味で読み進めていくと、イライラさせられることも間違いなく、そのあたりで評価は分かれるのではないかと。
ポワロの出番も少なく、クライマックスに立ち会いこそすれ、彼が謎を全て解決する訳ではありません。
というわけで後年、クリスティー自身がポワロを削り、戯曲として再構成したとのことです。
久しぶりにアガサ・クリスティの推理小説に手を出してみました。読んだのは、「ホロー荘の殺人」でした。 この作品、一応ポワロが登場するのですが、ほとんど探偵らしい活躍をしないという異色の作品でした。ぎ..... more
ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)/アガサ クリスティー ¥945 Amazon.co.jp 「ホロー荘の殺人」 アガサ・クリスティ著/中村能三訳 早川書房・出版 『トリックより、人物描写の掘り下げにぐっとくる』 アガサ・クリスティ読むのっていつ... more
久しぶりに本格推理ミステリー作品を読みたくなり「アガサ・クリスティ」の長篇推理小説『ホロー荘の殺人(原題:The Hollow)』を読みました。 [ホロー荘の殺人] 「アガサ・クリスティ」作品は今年の8月に読んだ『クリスマスプディングの秘密』以来ですね。 -----story------------- 「アンカテル卿」の午餐に招かれホロー荘に来た「ポアロ」は少なからず不快になった。 邸のプールの端に一人の男が血を流して死んでおり、傍らにはピストルを手にした女が虚ろな表情で立っていたのだ ─ いくら...... more