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『姿なき殺人者』(1965)

なんともストレートな邦題だが、これでは原作がアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』だとは、なかなか気付かないだろう。かくいう自分もすっかりスルーしてしまっていた。

『姿なき殺人者』(1965)_e0033570_23221720.jpg映画化はこれが2作目となるようで、舞台は雪に閉ざされた山荘に変更、招かれたメンバーも、その告発内容も微妙にアレンジが施されている。
ダドリー・ニコルズが書いた前回(1945年版)の脚本を元に、ピーター・イェルダムとピーター・ウェルベック(ハリー・アラン・タワーズ)が執筆。
監督は『ミス・マープル/夜行特急の殺人』などを手掛けたジョージ・ポロック。

DVDのパッケージには「オールスター・キャストで映画化!」と謳われているが、ヒュー・オブライエン、シャーリー・イートン、フェビアン、レオ・ゲン、スタンリー・ホロウェイ、ウィルフレッド・ハイド=ホワイト、ダリア・ラヴィ、デニス・プライス、マリアンヌ・ホッペ、マリオ・アドルフ・・・と、一体何人のスターがいるのやら。
なお、オーウェン氏の声はクリストファー・リーらしい。

主役二人のラブロマンスが強調されていたり、アクション物の要素が加味されていたり、再三「部屋に鍵を掛ける」という科白がある割に、犯人含めて登場人物たちがフリーパスで部屋を行き来しているのが不自然だったり、「テン・リトル・インディアン」の歌詞からは逸れた展開になったり、真犯人が勝手に死んじゃう詰めの甘さが気になったり、音楽がどことなく陽性でそぐわない部分があったり・・・と色々あるものの、白黒映画ならではの緊迫感と相まって、1時間半はそれなりに楽しめる作品になっている。
by odin2099 | 2010-11-21 23:23 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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