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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ゴジラ2000/ミレニアム』(1999)

先ずは「しねま宝島」からの転載――

e0033570_22423544.jpgUSA版に後を譲って、もうちょっと眠りについているはずだったゴジラだったが、USA版の不評を受けて急遽叩き起されることになった。まずはファンにはめでたい限りで、やっぱり『モスラ』で三年間は荷が重かった、ということもあるんだろう。

で、復活したゴジラは近年の80メートル、100メートルという身長設定を改めて、55メートル。
本来は50メートルだったものを何故5メートルだけ伸ばしたのかは不明だけど、巨人・松井選手の背番号「55」にあやかった、という説もある。あんまり宣伝には使わなかったけどね。
またストーリーは、通称「平成シリーズ」とか「VSシリーズ」とか呼ばれている作品群とは一線を画して、第一作の『ゴジラ』に直結する作品との位置付けられ、これによって「ゴジラ」世界に第三の流れが誕生した。ようするにとりあえず今までの作品は「無かったこと」になったのである。

さて今回のゴジラは斬新だ。冒頭から恐怖ゴジラの登場である。
霧の中で漁船を咥えたままヌっと現れるゴジラ! おっ、カッコええ。
ただ、映画館でキャーキャー悲鳴上げてた女子高生のグループへ。君達はちょいと大げさだよ。ホラー映画じゃないんだから。

主人公の一人村田雄浩は民間人のゴジラ・チェイサー、という設定もいい。開巻直後にゴジラと遭遇する、という展開もスピーディーだ。なんでも『ツイスター』にヒントを得たということらしいが、USA版『GODZILLA』が、予定通りヤン・デ・ボン監督だったらこんなシーンもあったのでは?と期待させてくれる。

ただ斬新なのもここまでで、危機情報管理局(CCI)局長の阿部寛や佐野史郎が出てくると、段々いつものトーンに落ちついてしまう。それが悪いと言ってるのではないが、新鮮味という意味ではねぇ。
岩塊の引き上げ、浮上、というシチュエーションはどうしても『ガメラ/大怪獣空中決戦』を彷彿とさせるし、CCIの描写もGフォースとまでは言わないものの、その影がチラホラ。
挙句の果てがキーポイントとなるのがオルガナイザーG1。ようするに「ゴジラ細胞」なのである。せっかく前シリーズとの柵を断切ったんだから、もっと違ったアプローチの仕方はなかったものかいなぁ。

その細胞を狙った宇宙人(?)が変身する宇宙怪獣オルガも全体のフォルムがどことなくカメ怪獣だし、横顔がUSAゴジラを連想させるのは気のせいか?
新しくしようしよう、という意気込みがかえっていろんな要素を未消化に終わらせてしまってるようなんだけどなぁ。

今回のポイントはなんといっても佐野史郎の登板だろう。ファン待望の、という冠がつく役者さんはそうはいまい。
期待に違わずの怪演を見せてくれる。が、キャラクターが今ふたつぐらいハッキリしないので、それが裏目に出て更に分かりにくい人物になっちゃった感もある。
また、自らファンを称するだけあってゴジラやUFOに対してのリアクションにも工夫が見られるのだが、村田雄浩や阿部寛がそれを充分に受け止めきれてないので、逆に浮いちゃう結果にもなってるのが惜しいところ。ないものねだり、といえばそれまでだけど。

阿部寛は個人的には「ゴジラ」映画への出演希望役者の一人だったんだけど、ホントは悪役(?)ではなくて、往年の東宝特撮映画的主人公(宝田明とか久保明だとか)で出て欲しかったんだけどね。
ま、悪役は本人の希望ということなので・・・。

画面作り、という点では今回は今までに増してデジタル合成等が大胆に使われてる。
自衛隊の演習場での戦車走行シーンを実景に当てはめて街中を走らせてみたり、主人公の乗った車と歩くゴジラを平行移動させたり、と従来に見られなかったシーンが続出。これは一見の価値あり。
とはいうものの、荒さも目立ってるのが困ったちゃんで、例えば実景とゴジラのはめ込みがうまく行ってなくて、どうみてもゴジラが空中を歩いているように見えたり、ゴジラの廻りをヘリが旋回するシーンではゴジラと実景の回りこむスピードがずれてる、とか気にしだすときりが無い。
まぁ、一番の問題点は、色調の問題でしょう。合成する複数の画面素材の明るさが一致してなかったり、画質に差があると、せっかくの迫力ある映像も台無しだ。これは今後の課題ということで。

最後に音楽について。
今回は『ゴジラVSスペースゴジラ』に続いて服部隆之が二度目のシリーズ登板。前回とは全く違ったアプローチを見せ、懐の深さ、引出しの豊かさを味わえるが、前作よりもメロディーとして残るものが少ないのがちょいと残念。
また伊福部メロディーも1シーンのみ流れるが、これは担当者が変っても「007」シリーズに「ジェームズ・ボンドのテーマ」が不可欠なのと同様なんだろう。そろそろ除外してもいいのかな、と個人的には思うけどね。段々画面と伊福部メロディーがマッチしなくなってきているので。

恒例となったエンディング後の特報だが、今回も「『ゴジラ2001』製作決定!」と出る。
100人いれば100通りのゴジラがある、というのは蓋し名言であるが、まだまだ納得していないファンは、それこそ99人どころじゃないはずなので、是非次回作にも期待したい。

e0033570_2243738.jpg ハリウッド版には納得出来なかったし、平成「モスラ」は面白くなかったし、ということで個人的には期待大だった「ゴジラ」の復活。
最初に背びれが大きくなったNEWゴジラのデザインを見せられた時はワクワクさせられたが、実際に映画を見るとどことなくやっつけ仕事のような匂いが・・・。

色々書いてきたように、見どころは沢山あるし、一つ一つの要素を取り出すと唸るような部分もあるのだけれども、根本的にお話の組み立てが上手くない。
陳腐な台詞回しも多いし、ハリウッド版だけでなく平成「ガメラ」からの影響もありありだし、もっとじっくりと時間をかけて復活プロジェクトを立ち上げるべきだったんじゃなかろうか。

ともあれ、<VSシリーズ>ほどじゃないものの、こちらも<ミレニアムシリーズ>として何だかんだ言われつつも6年間続いたのだから、結果オーライだったのかなあ。
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by odin2099 | 2011-04-01 22:44 |  映画感想<カ行> | Trackback(1) | Comments(0)
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