【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ゴジラ・モスラ・キングギドラ/大怪獣総攻撃』(2001)

遂にというかやっとというか、金子修介監督の「ゴジラ」が実現した。
かつて『ウルトラQ』劇場版を立ち上げたが頓挫し(後に実相寺昭雄監督で実現)、『ゴジラVSモスラ』監督に立候補するも叶わず、『ガメラ/大怪獣空中決戦』を始めとする<ガメラ三部作>で煩型の怪獣ファンを唸らせての満を持しての登場。その意気込みはタイトルバック見ただけで感じられる。
怪獣の表皮をバックに必要最小限のスタッフ・キャスト名だけを(しかも縦書き!)表示するシンプルさは、’60年代の東宝特撮を彷彿とさせる(具体的には『三大怪獣 地球最大の決戦』あたり)。これだけで思わずニヤリだが、若いファンにはわからん感覚だろうな。

またハリウッド版への対抗意識もありありで、「前世紀末にアメリカにゴジラに酷似した巨大生物が出現した」「アメリカではゴジラと名付けられたが、日本の学者は認めていない」という科白なんぞは、そこまで言うか?!という爆笑モンである。

ストーリーは、もう何度目のリセットか定かではないが第1作『ゴジラ』に直結する物語。つまり例によってそれ以外の作品はなかったことになっている(あ、ハリウッド版はあったことになるのか?)。
自衛隊の代りに日本国防軍が存在しているという世界で、一部じゃ早くも右だ左だと論争になってるようだけど、GフォースやGグラスパーといった架空の特殊部隊を登場させるのとどっちがいいのか、というのは好みの問題だろう。中途半端に思想を読み取るよりは、怪獣映画なんだから単純に楽しんでもいいんじゃないかなと思うけど。

e0033570_21345375.jpgで、このゴジラが50年振りに復活。そしてそのゴジラを迎え撃つべく伝説の護国聖獣が蘇る、ということで、今回の対戦相手はバラゴンにモスラ、キングギドラ(タイトルにいないバラゴンが憐れ・・・)。まぁ正月映画らしく華やかでいいんじゃない? ちょっと手垢つきすぎだけどさ。
意外にもゴジラのハンディキャップ・マッチは珍しかったりする。しかも完全な悪役。立場上や物語上で悪役のポジションにいることは珍しくないけど、極悪非道な大怪獣として描かれるのは初めてじゃないかな。良くも悪くも新鮮であります。

だけど、ちょっと、違うんじゃ、ないかな・・・。
これがホントに金子監督がやりたかった「ゴジラ映画」なの? 
いやいや、面白いと思うよ、この映画。ある意味怪獣映画の王道行ってるし。
だけど「ガメラ」シリーズであれだけ人間側のドラマを描いた監督にしては、今回はツボをハズしまくってないかな。キャラクターが活かしきれていないというか不要なドタバタが多いというか。見ていて感情移入できるキャラがいないもん。むしろワンポイントだけ出演しているゲストのほうが、キャラが立ってるぞ。

そして怪獣たち。健気な前座怪獣バラゴンはいいとしても、モスラが海の怪獣? 
まぁ水中モードに変身して潜る映画もあったけどさ(『モスラ2/海底の大決戦』)。
それでもゴジラよりちっちゃいキングギドラってのはツライぞ。「千年竜王」と名前だけは勇ましいのに。

それにやっぱり最近出過ぎ。
モスラは’92年の『ゴジラVSモスラ』で復活して以降、’96年からは3年連続して単独主演してるし、キングギドラも’91年の『ゴジラVSキングギドラ』の後、’98年の『モスラ3/キングギドラ来襲』ではモスラと共演。これじゃあ新鮮味薄れるよなァ。出てくるたんびにイメージ変えられてるんだし。

興業面からネームバリューで対戦相手が決められたみたいだけど、これなら当初の構想通りバラン、バラゴン、アンギラスのほうが良かったよー(語呂も良いし)。
しかもこの段階では防衛軍の兵器として轟天号が登場していたのだ。「ゴジラ対海底軍艦」――うーん、見たかった! こっちのほうが、よっぽど金子監督らしいと思うんだけどね。

というわけで完成作品への評価はかなり低いです。
「絶対評価」なら(シリーズ全体の総体評価としても)充分に合格点つけてもいいけど、なんせ監督が監督なだけに合格ラインのハードルはかなり高めに設定させてもらいました(期待しすぎだったかな)。
来年のゴジラ映画がどうなるのかはまだ不明だけど(仮にお休みしたとしても、どうせ’04年には50周年で作るだろうけどネ)、金子監督にはもう1回チャレンジして欲しい。


シリーズお浚いもいよいよ大詰めが近付いてきました。
来年、アメリカ製ですが新作映画を見ることが出来るでありましょうか。
水面下(?)では国内版復活も動いているようですが、2014年がアニバーサリー・イヤーだから照準はこのあたりかな?

それはさておきこの『GMK』、タイトルバックなどは往年の東宝特撮映画っぽいのですが、スタッフ・キャストが<平成ガメラ>シリーズから流れてきているせいか、見ていると結構違和感があります。<ミレニアム・シリーズ>のみならず、<VSシリーズ>と比べてもトーンが違うというか、温度差があるというか。
まあ金子監督を選んだ時点でそのあたりは狙っていたんでしょうけれど、その路線は継承せず、次回作はまた元に戻してしまったのが勿体ないですね。
おかげでこの作品、シリーズの中でも浮いたまんまだし。

それにモスラとキングギドラは「またか」という気分が強いですねえ。
”正義の味方”キングギドラにも慣れないし、バラゴンと違ってタイトルに名前を乗っけてもらったものの、あっけなく退場するモスラも何だかなあ。
宇崎竜堂の台詞回しはどうしても好きになれないし、新山千春のハッキリしない発声も気になって仕方なかったり・・・。

その一方、天本英世の何物にも代えがたい存在感、意表を突きながらも案外好演している南果歩、カメオ出演でありながら強烈なインパクトを残す篠原ともえ等々、評価すべき点も多々あります。
客観的に見れば、シリーズ上位に入る出来栄え、ということになるんでしょうかね。
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by odin2099 | 2011-04-15 21:36 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)
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