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『春のめざめ』(2006)

ロシアの文豪ツルゲーネフの作品『初恋』に魅せられた16歳の少年アントンは、彼の家に住み込みで働く同じ年ごろの少女パーシャに恋をする。しかし彼はまた、隣家に住む25歳の令嬢セラフィーマにも惹かれていくのだった。
自分の気持ちに忠実に、真っ直ぐに一途に行動するアントンだったが、やがてその行為が大きな悲劇を生みだしてしまう・・・。

『春のめざめ』(2006)_e0033570_230721.jpgガラスペインティングという、ガラス板に指で油絵具をつけて描く方法で作り上げられた短編アニメーション作品。
脚本・監督のアレクサンドル・ペトロフは、同じ手法で作り出した『老人と海』でアカデミーの短編アニメーション部門を受賞。
この『老人と海』に圧倒されたことと、何よりも大好きな『初恋』にインスパイアされた作品だということからずっと興味を持っていた作品で、油絵が動いている、としか言い表せない独特の表現手法は今回も健在。
商業ベースにはなかなか乗らない、世界の優れたアニメーション作品を紹介して行こうという、三鷹の森ジブリ美術館プレゼンツの第1弾作品でもある。

27分という小品で、ノーマン・ロジェの音楽の素晴らしさと相まって心地好い一時を味わえるが、やや観念的な表現が多いこともあり、今一つ物語世界に入り込めなかったのが残念だった。
思春期の甘さ、そして残酷さは十分に伝わってくるだけに・・・。
by odin2099 | 2011-05-25 23:00 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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