『ルパン三世/バビロンの黄金伝説』(1985)
2011年 08月 13日
前作の『カリオストロの城』は興行的に成功したとは言い難いはずですが、TVで第3シリーズ(『ルパン三世PARTIII』)が放送されたりで、「ルパン」人気そのものは安定していると判断されたのでしょうね。
しかし実際の製作はかなりゴタゴタしていたようで、当初は押井守が監督すると発表されてました。確か宮崎駿の推薦だったように記憶してますけれど。
ところが押井監督は降板したんだかさせられたんだかで、急遽脚本は浦沢義雄と大和屋竺、監督は鈴木清順と吉田しげつぐにバトンタッチして、何とか完成させたようです。
個人的にこの作品のキャラクターデザインが全く受け付けない、ということを差し引いたとしても、この映画、今回再見ですけれど面白いと感じる要素は一つもありませんね。
製作体制に余裕がなかったんでしょうけれど、謎解きは謎解きになっていませんし、山田康雄の熱演ばかりが妙に空しい、見事に破綻した映画かと。
バビロンの黄金がマンハッタンにある理由もサッパリですし、神様や宇宙人を絡めるのは流石に「ルパン」の世界観にはそぐわないんじゃないのかなあ。
余計なシーンや水増ししたようにしか感じられないシーンが沢山ある一方で、舌足らずなシーンもあるという、なんだか行き当たりばったりな感じがしてなりませんでした。
ゲスト声優も、塩沢ときはベテランらしい味を見せてくれていますけど、カルーセル麻紀とかおぼん・こぼんとか河合奈保子とかは聞いていて頭を抱えてしまいます。
河合奈保子、ファンだったんですけれど、主題歌を歌うだけに留めておけば良かったんじゃないでしょうかねえ・・・。
この頃は「ヤマト」からのファン、それに「ガンダム」からのファンもそれぞれ入れ替わりの時期、アニメブームも落ち着いて色々と過渡期だったんだな、と後になって思うようになりました。
送り手も受け手も次の一手が見えずに、どうしてよいのかわからない、戸惑いのようなものを感じます。