【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『忍びの国』 和田竜

天正伊賀の乱に材を取った忍者、忍法小説で、作者は『のぼうの城』でブレイクした和田竜。

これも元は映画用の脚本だったという話で、オープニングからして非常に映画的。朝霧の中から四騎の騎馬武者が現れるシーンから始まるなんて、想像するだけでワクワクしてくる。といってもこれをそのまんま映画に置き換えると詰まらないんだろうな、と思う。もし映像化されるならば、更に捻って欲しいもの。一応映画化の企画は動いてはいるようだが。

で、この冒頭から出てくる四人が主人公なのだろうなと思って読み進めていくと、第二章になってまた何人かe0033570_20385987.jpg癖のある人物が現れ、結局は群像劇になっていく。ちょっとメイン格のキャラクターが多すぎる気もしないでもないが、その描写にぶれがないので、あの人物、この人物と色々と感情移入しながら読み進めることも可能だ。

子どもの頃から「忍者図鑑」とかその手の本に馴染んでいる身としては、木猿とか小猿とか名乗る忍者が出てきたり、「七宝出」なんて単語が出てくるだけで嬉しくなってくるし、若き日の石川五右衛門とか、食えない百地三太夫などの有名人が出てくるのも良い。

個人的には信長の次男・北畠信雄の描き方が新鮮だった。
将たる器ではない、凡庸というよりも暗愚な人物というイメージで語られることの多いキャラだが、偉大すぎる人物を父に持った哀れな若者という面を強調することで、信雄を取り巻く人物たちを際立たせることにも成功しているようだ。

『のぼうの城』に比べると万人向けとは言い難いし、あまり女性向きでもないと思うが、謀略をめぐらした忍術合戦に興味がお有りの方ならばどうぞ。
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by odin2099 | 2012-01-16 20:40 | | Trackback(10) | Comments(2)
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Tracked from 西京極 紫の館 at 2012-01-16 21:34
タイトル : 忍びの国  和田 竜/著  新潮社
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Tracked from ヘタレの戯言~ひとりよが.. at 2012-01-17 00:08
タイトル : 『忍びの国』読了。
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Tracked from じゅずじの旦那 at 2012-01-17 09:27
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おのれらは人間ではない…あっぱれ[:ワッ!:] な「のぼうの城」に続く、第2弾。【あらすじ】人間離れした技ばかりが、忍びの術ではない。親兄弟すら欺き、ひたすら出し抜くこと。でなければ、生き残れぬ。戦国大名不在の国、伊賀国に織田軍一万余が攻め込んだ。「その腕、絶人の域」と言われる忍びの無門は想い女のお国を連れて敵前逃亡をはかるが……。歴史時代小説の枠を超えた面白さと圧倒的な感動に包まれる傑作長篇。織田信長は言った「伊賀には攻めてはいかん」。それに対して息子・信雄は、命に反して軍をすすめるのだった…「のぼ...... more
Tracked from ぼちぼち at 2012-01-17 18:44
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JUGEMテーマ:読書 俺たちは、何も信じちゃいない。『のぼうの城』で大ブレイク、超弩級新鋭の第二作! 人間離れした技ばかりが、忍びの術ではない。親兄弟すら欺き、ひたすら出し抜くこと。でなければ、生き残れぬ。戦国大名不在の国、伊賀国に織田軍一万余が攻め込んだ。「その腕、絶人の域」と言われる忍びの無門は想い女のお国を連れて敵前逃亡をはかるが……。歴史時代小説の枠を超えた面白さと圧倒的な感動に包まれる傑作長篇。新潮社HPより なんつーか、ハリウッド映画っぽい? なんとなく、和田さんの作品っ...... more
Tracked from 「本のことども」by聖月 at 2012-01-17 18:59
タイトル : ◎◎「忍びの国」 和田竜 新潮社 1575円 2008/5
 噂に違わぬ(っていうか、実は評者、8月頃に旬の作家と知ったのだが)面白エンタメ忍者時代劇である。  前々から書評内でも書いてきたのだが、評者は時代劇というジャンル自体は好きではない。一つの理由に、歴史は苦手、習ったはずなのにもう忘れてしまったということがある。だから、評者が評判を聞きつけて読む時代物は、荒山徹、飯島和一、翔田寛、米村圭伍といった史実に頼らない作風の小説群になる。もっというと、その中でも、妖術、忍術が出てくるものは好みで、そういう意味で、本書『忍びの国』は文字通り忍びの話であり、...... more
Tracked from 粋な提案 at 2012-01-20 03:40
タイトル : 「忍びの国」和田竜
¼ʿϿĬ켼? ᤿ĿĹμ˿ͺٹ˲칶ǡ ˼¡ŷ˲פ˴Ťʥɥޡ ǦӤι˲ǡͤΰɾǦԡ̵硣 ڤ˾ȿ̡ǤΤ˾ʤԤդ »ͤʤ褦դ餷 ޤ륹ԡǥŸ 줾˻ǤȿǰоʪƤޤ ˲Ԥ뤿ĥ餻άξ襤 ɴϻסڱʸ㡢Ĺμʿʼҡ 餿ζ̥ͤŪ ̵Ȥβä桼饹©ȴˡ äǤ ǦӤιε ŷǤޤǦӤιε ελ Τܤξ롡ε ǦӤιε ... more
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タイトル : 三重が舞台の時代小説!! 『忍びの国』【小説】
【送料無料】忍びの国 和田竜さんの作品  人間離れした技ばかりが、忍びの術ではない。親兄弟すら欺き、ひたすら出し抜くこと。でなければ、生き残れぬ。 戦国大名不在の国、伊賀国に織田軍一万余が攻め込んだ。 「その腕、絶人の域」と言われる忍びの無... more
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タイトル : 三重が舞台の時代小説!! 『忍びの国』【小説】
【送料無料】忍びの国 和田勉さんの作品  人間離れした技ばかりが、忍びの術ではない。親兄弟すら欺き、ひたすら出し抜くこと。でなければ、生き残れぬ。 戦国大名不在の国、伊賀国に...... more
Tracked from Akira's VOICE at 2014-05-20 11:17
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Tracked from 花ごよみ at 2017-05-12 12:39
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Commented by まるひげ at 2012-01-17 00:08 x
おばんです!
TBありがとうございました。
『のぼうの城』に続いての映画化企画、動いているのですか!?
この方の作品は読みながら映像が浮かびやすいのですが、
映画化されたらそのことが逆効果になりそうで少し不安です…。

それはともかく。
本当に、忍者好きにはテンション上がる物語でしたね。戦闘シーンは特に。
漫画版も原作に忠実で良い作品となっておりました。
そして私もこの作品の信雄が新鮮だったので、
信雄が面白く描かれていそうな作品を探すようになったのですが…
未だに発見できずにおります(苦笑)。
次回作『村上海賊の娘』も楽しみですね!
Commented by odin2099 at 2012-01-17 22:52
どの程度の段階かわかりませんが、映画化の企画そのものはあるようです。
『のぼうの城』の時もそうで、ちっとも進展してないな、なって思っていたら、いきなり製作発表されたこともありましたから、もしかすると・・・?
反対にポシャった可能性も否定出来ませんけどね(苦笑)。

戦闘シーンは斬新過ぎて(?)、読んでいてあまりイメージが掴めませんでした。
キャラクターに対するイメージもなく、個人的には読んでいてちょっと辛かったのですが、
そうですか、コミック版があるんですね。
それを読むともっと具体的なビジュアルイメージが自分の中でも固まるかな。

おお、そうだ。『小太郎の左腕』も読まなくては。

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