『はやぶさ 遥かなる帰還』(2012)
2012年 02月 20日
小惑星探査機「はやぶさ」を題材にした映画としては、CGを使ったプラネタリウム作品『はやぶさ/HAYABUSA BACK TO THE EARTH』を別にすると、20世紀フォックスの『はやぶさ/HAYABUSA』に次ぐ2本目の映画で、来月には3Dで描く松竹作品『おかえり、はやぶさ』も公開になります。
20世紀フォックス版では竹内結子扮する架空の女性スタッフを中心に描いていましたが、この作品の主人公は「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーの渡辺謙です。
同じ題材を違う角度から楽しめるのは良いのですが、この人は感情をあまり表に出さず、決断力を発揮するというよりも自分の主張を押し通すタイプにしか見えないので、共感も出来ないし、感情移入も出来ないという、ちょっと困ったことになってしまいました。映画としてはつまらない訳ではないのですが。
20世紀フォックス版では同じ人物をモデルにしたキャラクターを佐野史郎が演じ、そちらでもやはり冷徹な科学者然として表現されていましたが、主人公ではないので気にもなりませんでしたが、今回みたいにドーンと中心に居られると、映画全体が何だか息苦しく感じられて仕方ありません。
どちらかというと、主人公から見た”悪役”ポジションのキャラクターなんでしょうね。主人公をいじめたり、厭味を言う無理解な上司、という位置付けならばしっくりくるように思います。
そういう意味では、イオンエンジン担当のJAXA教授の江口洋介と民間メーカーNECから出向してきている吉岡秀隆の二人を中心に据えた方が面白かったかも知れません。
20世紀フォックス版でも同じモデルのキャラを鶴見辰吾が演じ、やはりプロジェクトの進行に振り回されていましたっけ。
あるいは新聞記者の夏川結衣が中心でも良かったかも。ジャーナリストというのは扱いやすいせいか、狂言回し的なポジションを振られていましたが、でもそうなると20世紀フォックス版の竹内結子と被ってしまい、独自色が出なくなってしまうかも知れませんが。
ちなみに20世紀フォックス版のもう一人の主役、西田敏行が演じた役に該当する人物を、この作品では藤竜也が演じています。それほど出番は多くはありませんが、全体のムードメーカーになっていて、存在感は大きなものがあります。
この人の視点から描いたのが20世紀フォックス版、この人を客観的に描いているのがこの東映版、と考えて見るのも一興かな、と。
それにしてもこの「はやぶさ」プロジェクトの偉業は、日本の技術力の高さを証明しているのでしょうか。それとも低さを露わにしているのでしょうか。
専門的なことはわかりませんが、次々とトラブルに見舞われたのは必ずしも偶然や不可抗力、”想定外”ばかりではなかったのでしょうから、それは安定した高度な技術力とは呼べないでしょう。
一方、そういったトラブルに見舞われながらも何とかミッションを遂行出来たということは、根本的には高い性能のものを作ることが出来たからだ、とも言えるかも知れません。
いずれにせよ、今後を考えると後継機の予算は「仕分け」するのではなく、むしろ潤沢な予算を与えて欲しいものですね、”夢”への投資として。
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>むしろ潤沢な予算を与えて欲しいものですね、”夢”への投資として。
本当にそう思います、多くの人が映画を観る事で
関心の高さを示せたら、などと子供じみた事など考えたりもしています。
でも本作には、ちょっと期待しすぎたかな…
堀内氏は絶対に「ボクはメーカーの人間だから」なんておっしゃらないと思うし。
ところで、「こまねこちゃん」大好きです♪
>日本の技術力の高さを証明しているのでしょうか。それとも低さを露わにしているのでしょうか。
次々とトラブルに見舞われるってのは、逆もまた真なり!ですよね。
きちんと作れば、きちんと行って帰ってきたはずで。
それほど興味はなかったのですが、今回は謙さんの作品に対する気持ちを汲んで見に行ったのですが、私にとって見た!ということが価値の映画でした。
いらっしゃいませ、有難うございました。
この手の作品は、どこまでが本当でどこからがフィクションなのかがわからないあたりが、もどかしくもあり楽しくもありなんですが、つい最近の出来事だけに、ストレートに描くことに抵抗があったり、反撥があったりするのかも知れませんね。生々し過ぎて。
「フィクションですよ」というエクスキューズを用意し、各方面の顔を立てるというか角が立たないようにしてるんでしょう。
「夢への投資」はやはり大切だと思います。
アポロ計画だったかの頃にも、そんなものに巨額の予算を割くくらいなら、現実に今餓えている人に手を差し伸べるべきだ、みたいな論議があったと聞きますが、虫のいい話ですけれどどちらも大切だと思っています。
切り詰めるべきはもっと別なところにあるでしょう。
『アポロ13』もそうなんですよね。
「輝ける失敗」とか言ってるわけですが、失敗しないに越したことはないはずで。
また我々は結末を知って見ているので、「おお、この時の決断が・・・!」なんて感動することも出来ますが、当事者からすると「なんてバカな決断を」と感じたかも知れないワケで、色々難しいですね。
謙さん、ヤーな上司にしか見えませんでした(苦笑)。