『おかえり、はやぶさ』(2012)
2012年 04月 07日
真打ち登場、と言いたいところだけど、こういうものは旬が大事、早い者勝ちって部分が少なからずあると思う。
3本の中で一番フィクション要素が強いのかな、もはや<はやぶさ>じゃなくても良くなってきてる。
主人公がプロジェクトの中心人物ではなく、かといって他所者でもないという中途半端さは、他の2本との差別化の意味では面白いのだけど、自信過剰で大言壮語する嫌なヤツで、確かに能力はあるんだろうけど一緒のチームで仕事はしたくないよな、というタイプ。
この人のお父さんは火星探査機<のぞみ>のプロジェクトリーダーだった人で、その失敗から失意の裡に現場を去っていて、この父子には確執がある、という関係。
となれば、最終的に<はやぶさ>の成功を機に父子が和解するであろうという展開は読めるのだけど、これがかなりベタで歯の浮いた台詞の応酬をしてしまうからかなり興醒め。
もう一組中心となる家族がいて、主人公の同僚の広報担当者とその妻、息子。
この息子はいわゆる宇宙ヲタクで、子ども向け作品に良くいる”子どもの代弁者”、”子どもの代表”という、当の子どもからは一番邪魔っけに思われるであろうキャラ。実際うざい。
そして母親は重い病気に罹っているので、ここで難病物のテイストまで盛り込んでしまっている。
これまた予想がつくように、終盤では<はやぶさ>プロジェクトの奇跡的な成功と、この母親の手術の成功が並行して描かれるというワケ。
<はやぶさ>の偉業は安っぽいメロドラマと一緒にして欲しくないんだけどなあ。
そしてこれらにヒロイン格の女性と、実際にプロジェクトに携わっているメンバーの描写が加わるのだが、こちらはそれほど掘り下げられておらず、<はやぶさ>が何をしたいのか、彼らは何をやっているのか、<はやぶさ>にどういうトラブルが起きているのか、それはどの程度深刻なのか、それをサルベージするためにどんなことをやっているのか、といった部分の比重が軽い。詳しくは他の2本を見てね、ってことでもないだろうけど、他の2本に役者を取られてしまったのか全体的に出演者も小粒だし、出来としては一段落ちる感じ。
子ども向けなら子ども向けに徹すれば良かったのに。
実際この3本、競作ではあってもお互いにもっと協力、連携して棲み分けを図れば良かったのにな、と思わないでもない。
ある作品はドキュメンタリータッチで、プロジェクトの最初から最後まで客観的に追いかけ、ある作品ではプロジェクトの中の一人乃至二人にスポットを当て、当事者の目を通した主観的な物語を紡ぎ、またある作品では子どもや、科学や宇宙に無関心な人を啓蒙する様な夢のあるドラマ作りをする、とか。
どうやら3本とも興行的に成功とは言い難いようで、柳の下にドジョウは一匹もおらず、互いに潰し合っただけだとするととても残念だ。
ちなみに時間が合わず2Dで鑑賞。
3Dを意識したショットは確認出来たのだが、はたしてその効果のほどは如何?
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確かにそう思いますね。
やっぱり同じテーマで3本はキツイですわ。
それにこの作品の場合、イトカワへのタッチダウンまでがあっさりしていてちょっと拍子抜けしちゃいました(苦笑)。
あと、藤原竜也とココリコ田中のキャラ同士の関係がよくわかんなかったなあ。
最初はてっきり兄弟なのかと思ってたんだけど、結局赤の他人だったのね。
その割に家族ぐるみっつーか、マンション(団地?)の鍵を預けたりするような仲というのもねえ。