【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ドラキュラ』(1992)

フランシス・フォード・コッポラ監督が、ドラキュラ伯爵にゲイリー・オールドマン、ミナ・マーレイにウィノナ・ライダー、ヴァン・ヘルシングにアンソニー・ホプキンス、ジョナサン・ハーカーにキアヌ・リーブスを起用して製作した「ドラキュラ」映画で、原題は”Bram Stoker’s Dracula”。今までに作られた数多の「ドラキュラ」映画よりもブラム・ストーカーの原作に近いという触れ込みだった。

他の出演者はジャック・セワードにリチャード・E・グラント、アーサー・ホームウッド卿にケイリー・エルウィス、クインシー・P・モリスにビリー・キャンベル、R・M・レンフィールドにトム・ウェイツら。ウィノナ・ライダーはドラキュラのかつての愛妻エリザベータと、アンソニー・ホプキンスは司祭との、それぞれ過去世界で対応する役どころとの二役を演じている。

e0033570_23325926.jpgドラキュラ伯爵はルーマニアの敬虔なキリスト教の戦士で、コンスタンチノーブルが陥落した際にも最後まで抵抗を続け、辛うじて勝利を収める。だがその帰りを待っていた筈の妻のエリザベートは、相手の姦計に嵌って夫が戦死したものと思いこみ、自らその命を絶ってしまう。自殺した者の魂は救われないことを司祭から聞かされたドラキュラは神を呪い、命の源である血を啜って永遠に生きる吸血鬼となってしまった。

それから400年の歳月が流れた。弁護士のジョナサンは伯爵の依頼でルーマニアへ立つが、そこでその正体を知ってしまい城に監禁されてしまう。ジョナサンの持っていた写真から、彼の婚約者ミナが愛妻エリザベートに瓜二つであることを知った伯爵は、彼女を我が物にしようとイギリスへとやってくる。ミナの親友ルーシーがその最初の犠牲者となり、彼女を診察したルーシーの友人ジャックは恩師であるヘルシング教授に助力を請う。教授は吸血鬼の仕業と判断、辛くも城から脱出したジョナサンらと合流しミナを護ろうとするのだが、既に伯爵はミナと接触していた。そしてミナは少しずつ、だが確実に伯爵に惹かれていく自分を押え切れなかった・・・。

ドラキュラを、”モンスター”として描くのではなく、愛に苦悩する人物として捉えたところが新機軸なのだが、ドラキュラ、ミナ、ジョナサンの三角関係は、実はドラキュラとミナが相思相愛になってしまうのでジョナサンの影が薄い。演じたキアヌ・リーブスも『ハートブルー』や『マイ・プライベート・アイダホ』で注目され始めていた頃で、『スピード』に主演するのはもう少し後。ゲイリー・オールドマンやウィノナ・ライダーと比べるとどうしても貫禄不足だ。

また中盤から登場してくるアンソニー・ホプキンス演じるところのヘルシング教授がこれまたエキセントリックな人物で、特に終盤に差し掛かるとドラキュラの方がよっぽどまともに見えるくらいの暴走振り。描きようによっては立派に主人公を務めることのできるジョナサンも、その他大勢に格下げされてしまう。

その他にも、シナリオや演出のせいかそれとも編集のせいなのかはわからないが、シーンとシーンとの間に”超展開”があったりと、全体的にやや残念な仕上がりになってしまっている。映像は美しいが画面には奥行きや広がりが感じられないし、レイアウトも平凡で舞台劇を見ているかのようだ。体裁の割に大作感のあまりない作品ではあるが、それでも後世に残る一本ではあるだろう。

コッポラはこの作品に続けてシリーズとしてホラー小説の映画化を目論み、『フランケンシュタイン』『スリーピー・ホロウ』の2本を製作。さらにヴァン・ヘルシングのキャラクターを使った続編(というよりスピンオフか)も企画したものの、こちらは実現されなかった。
だが紆余曲折を経てヒュー・ジャックマン主演のアクション映画『ヴァン・ヘルシング』が作られ、今またこれがトム・クルーズの主演でリブートの話が持ち上がっている。

ところで以前ビデオで見た時は字幕版だったが、今回はDVDの吹替版で鑑賞。
津嘉山正種のゲイリー・オールドマンは渋すぎるが、日野由利加のウィノナ・ライダー、坂口芳貞のアンソニー・ホプキンスは安定感あり。しかし平田広明のキアヌ・リーブスはかなりの違和感・・・と思っていたらBlu-ray搭載のものは別キャストによる新録で、それぞれ大塚芳忠、弓場沙織、池田勝、平川大輔が演じているとのこと。平川&弓場のカップルだと『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズそのままではあるが、こちらもちょっと聴いてみたい。
その他にも磯部勉、松本梨香、池田勝、宮本充によるTV放映版もあるらしいが、どれも決定打とまでは言えそうもないが如何に。

 <おまけ>
アーサー卿の役でケイリー・エルウィスが出ていたことをすっかり忘れていた。コンスタンスに出演作はあるようだが、どうにも作品・役どころに恵まれていない不遇の二枚目スターという印象は益々強くなる一方で寂しい。
またエロティックなドラキュラの花嫁を演じていたのは無名時代のモニカ・ベルッチだそうで、知った上で見ていればお得感が味わえる。
個人的にはミナの親友ルーシー役のサディ・フロストが、平野文が吹き替えていたこともあって存在感があって気になったのだが、その後のキャリアはあまりパッとしていないようだ。

それにしてもこの作品のヒロイン、ミナは本来なら清純派の筈なのだが、ジョナサンは当然として、ドラキュラにルーシー、おまけにヘルシング教授ともキス・シーンがある。これってかえって逆効果なのではないだろうか。
それと、老けた状態のドラキュラの変な髪形と、若返っている時のサングラス姿がどうにも間抜けに見えて仕方がない。
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by odin2099 | 2012-07-01 01:31 |  映画感想<タ行> | Trackback(2) | Comments(2)
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Commented by BC at 2012-10-04 02:10 x
エクスカリバーさん、こんばんは。

懐かしいですね。
キアヌは『マイ・プライベート・アイダホ』の頃から注目していたけど、
元々共演者に引っ張っていってもらうタイプ?だったので存在感は微妙でしたね。。。
『ドラキュラ』出演は青春映画から脱皮しようとして脱皮しきれなかった感があります・・・。
だからこそ、『スピード』でブレイク出来たとも言えるんだけどね。

ハリウッド版『忠臣蔵』映画の動向が気になるところです。。。
Commented by odin2099 at 2012-10-04 22:27
>BCさん

いらっしゃいませ~、随分と遅い時間に(笑)。

キアヌは『ハートブルー』や『から騒ぎ』を先に見てるかなあ。スッキリした二枚目だけど、あんまり特徴がない、というのが印象でした。なので『スピード』でブレイクしたのはちょっと意外。
まあ続く『JM』などでも、強烈に自己主張するキャラじゃないですね。『マトリックス』もそうだし、確かに「共演者に引っ張っていってもらう」というのが持ち味な気もします。

『47RONIN』はキアヌ主演で「忠臣蔵」という時点で地雷だと思ってますけど(苦笑)、何やら迷走が続いてるようですね。ちゃんと完成するのかなあ。

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