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『わが心の歌舞伎座』(2011)

2010年の4月に、老朽化による建替えの為、惜しまれつつも休場することになった歌舞伎座。その「さよなら公演」に密着したドキュメンタリー映画がこれです。
公開されたのは丁度2年ぐらい前ですが、上映劇場は少ないし、かなりお客さんは入っているらしいし、お値段は少々高めだし・・・ということで見送ってしまっていたのですが、やっとDVDで見ることが出来ました。

『わが心の歌舞伎座』(2011)_e0033570_21544288.jpg「歌舞伎座さよなら公演」は16カ月に亘って上演されましたが、その中から代表的な演目の名場面に歌舞伎俳優たちのインタビューを交えた構成がメインではありますが、それ以外にも普段はまず目にすることのできない楽屋での様子、稽古風景、大道具、小道具、衣装、かつら、床山、美術や音楽のスタッフなど裏方さんの仕事ぶりも見せてくれ、表と裏から歌舞伎を立体的に取り上げています。

見る前は、歌舞伎座という建物、そしてそこに働く人々にスポットを当てた映画だと思っていたのでこの構成には少々驚きました。
また劇場公開の際には途中で休憩が入ったそうですが、上映時間167分という長さの中で、ダイジェストとはいえ演目の映像を見せられるとどうしても眠気に襲われてしまったりもしたのですが、結果的には見て良かったなあと思えるものになっていました。

インタビューに登場するのは順に、七代目中村芝翫、二代目中村吉右衛門、十二代目市川團十郎、五代目坂東玉三郎、五代目中村富十郎、十八代目中村勘三郎、九代目松本幸四郎、四代目中村梅玉、十五代目片岡仁左衛門、四代目坂田藤十郎、七代目尾上菊五郎の11人。三代目市川猿之助(→二代目市川猿翁)と四代目中村雀右衛門は映像のみでしたが、何れも門外漢でも名前を知っている当代随一の名優揃いでしょう。他にも歌舞伎座を彩った往年の名優たちが一気に紹介されるコーナーが設けられています。
出来れば過去を振り返るだけでなく、新たな歌舞伎の歴史を生みだすという意味でも何人かの若手役者のインタビューがあっても良かったかな、とは思いましたが。

しかし2011年1月に中村富十郎が、10月に中村芝翫が、そして昨年2月に中村雀右衛門、12月に中村勘三郎が相次いで亡くなり、今また市川團十郎が天に召されるなど、既に5人が鬼籍に入られてしまったのが何とも残念です。本年4月にようやく開業となる新・歌舞伎座の舞台にも是非立って貰いたかったですね。
Tracked from みゆみゆの徒然日記 at 2013-02-05 22:10
タイトル : 『わが心の歌舞伎座』
 今年初の映画館は歌舞伎座のドキュメンタリー映画です!本当はもっと前に行こうかと思いましたが、近隣映画館での上映はないために、DVDでもいいかな〜なんて思っていたのですが、歌舞伎系ブロガーの皆様や周りの歌舞伎ファンのお友達の評判もなかなかのものでしたので...... more
Tracked from アッパレじゃ! at 2013-02-07 11:35
タイトル : わが心の歌舞伎座
歌舞伎を愛する全ての人に贈る、史上初のドキュメンタリー映画 2011年1月20日(木) 東劇 わが心の歌舞伎座配給:松竹監督:十河壮吉撮影:柏原聡照明:藤井克則音楽:土井淳出演:市川團十郎/尾上菊五郎/片岡仁左衛門/ 坂田藤十郎/ 中村勘三郎/中村吉右衛門/ 中村...... more
Commented by みゆみゆ at 2013-02-05 22:15 x
私はちょっと遠くの映画館まで(県内ですが)見に行きましたが・・・休憩時間があると思い、いつだろう?と思っていたら終わりました(結局なかった・笑)

一昨年の今頃見に行った記憶が甦りました。
その頃は、富十郎さんたちはともかく(残念ですが)勘三郎さん、團十郎さんが新しい歌舞伎座が開場する前に亡くなるなんて思いませんでした。
Commented by odin2099 at 2013-02-05 22:30
こっちでは東劇のみの単館上映だったっけかな。
で、色々な方の書いた文章を読むと、途中で「幕間」と出て休憩が入ったとあるんだけど、映画館によるのかも知れないね。

しかしインタビューを拝見する限りでは、芝翫さんはともかく富十郎さんなんかお元気そうに見えたんだけどなあ。
それにしても勘三郎、團十郎の二人を欠くと、配役にも相当しているようで、4月からの公演がどうなるのかちょっと心配です。

あとこの映画、どうにも後ろ向きすぎるのが難で、例えば橋之助とか染五郎とか海老蔵とかの中堅・若手にも語らせて欲しかった。
by odin2099 | 2013-02-05 21:55 |  映画感想<ワ行> | Trackback(2) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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