『ナニワ・モンスター』 海堂尊
2013年 05月 04日
ちなみに神戸市は別に出てくるし、浪速府には”風雲児”と呼ばれる府知事がいて…ということはモデルは大阪なのだろう。
前半は浪速診療所の開業医親子を主人公に、彼らを取り巻く周囲の住人たちの細かい描写に費やされているのだが、途中からは東京地検特捜部から浪速地検特捜部へ派遣されてきた鎌形副部長がメインとなって浪速に改革をもたらそうとする話にすり変わり、最終的には村雨知事とそのフィクサーとして暗躍する”スカラムーシュ”彦根が中心に座り、それに斑鳩や白鳥などのお馴染みの人物も顔を出すという構成なので、実際は連作短編に近い。
作者はよく「どの作品から読んでもらっても大丈夫」という趣旨の発言をしているのだが、流石にいきなりこれを読んでもわからないだろう。
逆に他の作品を読みこんでいる人ならば、こことここはこう繋がるんだとか、あの時のあの人が今はこんな立場になってるんだといった愉しみが出来るのも確か。
しかしそろそろ詳細な人物事典、用語辞典、年表や人物相関関係図を網羅したガイドブックが欲しいところだ。
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