『パリ・オペラ座のすべて』(2009)
2015年 02月 08日
84日間に亘りパリ・オペラ座に密着したドキュメンタリー映画。
バレエに対して素人で、踊りというものにさほど魅力を感じない自分のようなタイプにとって、こういう映画はかなりきつい。
ドキュメンタリーといえども起承転結があれば、門外漢にもわかりやすい。
例えば一つの公演を取り上げ、その企画・立案段階から演出や振付の打ち合わせ、ダンサーたちの練習風景、舞台装置や衣装を製作する過程を順を追って見せて行き、最後は公演当日の本番風景で締めくくるというような構成であれば、その途中での意見の相違やら障害に悩む姿を挟みつつ、徐々にテンションが上がっていく様に共感も出来ると思う。
ところがこの作品ではそうはなっていない。
大まかなに練習風景を見せ、後半にはゲネプロだか本番だかの場面が幾つか用意されているので何となく流れはあるものの、画面に映し出される人たちがどんな肩書のどんな立場の人なのかは一切説明されないし、ナレーションやインタビューも皆無。
単に日常風景を切り取って継ぎ接ぎしているだけなのだ。
一応は観ていれば「この人が芸術監督なんだな」とか「きっと高名なダンサーなんだろうな」というのはわかってはくるものの、予備知識がない人には凡そ親切とは言えない作り。
先日観た『ナショナル・ギャラリー/英国の至宝』もそうだったけれど、この監督の作品作りの特徴であるらしい。
貴重な映像の数々が映し出されていることは見当はつくものの、自分はその真の価値にはおそらく気付くことはないのだろう。
それが口惜しい。
【ひとりごと】
個人的にはオペラ座の建物の内部や、そこで働く様々な職業の人たちの姿をもっともっと観たかった…。