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『くるみ割り人形』(1979)

童話の「くるみ割り人形」も、チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」もどういう話なのか良くは知らないのだけれども、この映画はそれらをベースにしながらもオリジナルストーリー、らしい。


『くるみ割り人形』(1979)_e0033570_07004910.jpg従兄のフリッツが久しぶりに帰国するという前夜、少女クララはドロッセルマイヤー老人から「くるみ割り人形」を譲り受ける。深夜、ネズミの一団が人形を連れ去ろうとするのをクララは目撃するが、命を吹き込まれたが如き人形がそれを撃退する。目が覚めるとクララの枕元から人形が消えていた。
人形を探しているうちにクララは「人形の国」に彷徨いこんでしまう。
そこではクララに瓜二つの王女様が、二つ頭のネズミの女王に恐ろしい呪いをかけられていた。
クララは占い師から呪いを解くカギを教えて貰い、近衛騎士のフランツらとネズミの国へと向かうのだが――。


サンリオは『ユニコ』みたいな作品や、キティちゃんなどを起用した中短編のアニメも作っているけれど、ディズニーを目標にした『星のオルフェウス』、『シリウスの伝説』、『妖精フローレンス』などのフルアニメーション作品などの意欲作も生み出してる挑戦的な会社というイメージの方が個人的には強い。


本作でも、まだまだ日本では浸透していなかった人形アニメにチャレンジするだけでなく、森下洋子らが踊ったバレエの実景映像を取り込んだりと実験精神は大いに評価するところだが、お話は正直言って面白くはないし、演出もお世辞にもテンポが良いとは言いかねる出来になってしまった。


またこれもチャレンジ精神故なのかもしれないが、玉置宏、長門裕之、藤村有弘、大橋巨泉、坂上二郎、愛川欽也、伊藤一葉、森山周一郎、牧伸二、藤村俊二ら豪華ゲスト声優陣が、自身の持ちネタやらセルフパロディを演じるなど本筋に関係ない悪ノリ部分がどうにも興醒め。
しかも古臭さを感じさせてしまうのも大いにマイナスである。


杉田かおる、志垣太郎、夏川静枝、一の宮あつ子、山田隆夫、上原ゆかり、太宰久雄、北浜晴子、岸部シロー、西村晃、益田喜頓などのメインキャストは、一部で疑問を感じる配役もないではないが、概ね好演なので余計その落差が勿体ない。


【ひとりごと】
この作品を観るのは20年ぶり二度目くらいなのだけれども、不思議と主題歌のメロディは覚えていた。


by odin2099 | 2015-07-16 07:01 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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