【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『美しい絵の崩壊』(2013)

e0033570_21134269.jpg幼い頃からの親友同士のロズとリル。それぞれの息子トムとイアンも仲が良く、二組の親子は美しい海辺の街で、あたかも一つの大きな家族のような生活を満喫していた。だがある夏、イアンはロズへの秘めた想いをぶつけてくる。
息子同然のイアンからの告白に戸惑いながらも、ロズはイアンとの関係を持ってしまう。またそれを知ったトムもリルと一線を越えてしまう。
甘美な幸せに酔いしれる四人だったが、その禁断の愛は当人たちだけでなく、その周囲を取り巻く人々の運命も狂わせていく……。

主演がロビン・ライトとナオミ・ワッツだから成立する映画。
40代半ばで堂々と官能的な水着姿を、しかも過度に下品にならずに披露できる二人だからこそ、このリアリティが欠如した物語にも説得力をもたらしている。

ロズとリルは劇中の台詞では互いに否定していたものの、精神的なレズビアンとも言える。
ロズの夫の仕事の関係でこの土地を離れることになったときには頑強に抵抗し、結局二人は別れることになる。夫よりも親友を選んだ訳だ。
それぞれの息子と関係を持つのも、単に息子たちが若く美しいからではなく、おそらく母子という血を分けた存在=分身だから、互いの代用品としての意味合いもあったのではないだろうか。

また息子たちの普段の生活についての描写は殆どないが、幼い頃から絶えず四人で過ごしてきたことから、おそらく友人は多くないだろうし、異性に対しても接する機会が少なかったのではないかと思う。
そういう育ち方をしたが故に身近な異性として若く美しい母を意識し、近親相姦的願望を少なからず持っていたのかもしれない。実の母ではないとはいえ(だからこそ禁忌の意識は薄れる)、母親同然の存在に恋情を抱くのは当たり前のこととは言えないだろう。

邦題とは裏腹に、ラストシーンは「美しい絵の完成」に見えた。
そして四人にとって刹那的な幸せに身を任せ、並んで寝転ぶ姿はあたかも墓地のようでもあった。


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by odin2099 | 2016-01-07 21:16 |  映画感想<ア行> | Trackback(9) | Comments(2)
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こんにちは。
この映画、非常に気持ち悪く思って観ていたのですが、
ロズとリルは、2人だけで関係を結んでいれば良かったのに、他人を巻き込んだ挙句、
結局2人(と息子たち)で完結してしまうのがダメだったのかもしれません。
夫もあの孫娘たちも不幸だなあ。。。
Commented by odin2099 at 2016-01-10 09:06
> りお@映画三昧、活字中毒さん

この作品に感情移入出来る人ってかなり限られそうですね。
母親たちも息子たちも魅力的だから、というのもわかりますが、ずーっと一緒に家族同様で暮らしていてそういう気持ちになるのかどうか。
あと、やたらと「禁忌」を強調していましたが、夫がいたロズはともかくとして息子たちは独身だったし(関係を結んだ当初は)、リルは夫と死別しているから、それほどイケナイ関係でもないと思うんですよね、周囲からは間違いなく奇異な目で見られるでしょうけれども。
そのあたり、ムード作りで押し切ってしまったのかなあ、と。

2人の孫娘、可哀想ですよね。
いつか真実を知る日が来るのでしょうか?

by Excalibur
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