【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『シンドバッド』(2016)

<日本アニメーション40周年記念作品>として製作された<シンドバッド三部作>の完結編で、50分程度の上映時間だった前2作と違い114分の長編アニメーション作品に。
ただし「空飛ぶ姫と秘密の島」「魔法のランプと動く島」という具合に前2作にあった副題は今回はなく(ノベライズ版には「真昼の夜とふしぎの門」という副題がある)、「新作完結編+1・2話ダイジェスト版」という宣伝文句に一抹の不安が過ったのだが…。

e0033570_21491739.jpg結局のところ「ダイジェスト版」は合計して60分ほど。上映時間の約半分以上が「既に見た映像」で構成されていた。つまり三部作というより新作シーン付きの総集編といった意味合いが強く、良く言えば前2作を観てなくてもこれ一本だけ観れば愉しめるように配慮されている。
ならば最初から2時間クラスの長編漫画映画として作って欲しかったと思うが、三部作構成にしたのは興行的な戦略があったのか、それとも製作スケジュールを鑑みてのことなのか、あるいはひょっとして製作途中で監督が急逝したために何らかの変更が加えられた結果なのだろうか。

ともあれ、奇を衒わない正攻法の演出、わかりやすい善と悪の設定、でありながらもちょっとした文明というか人間批判が盛り込まれ、と安定した子供向け冒険活劇の秀作。
勇気と根性を持っているけれど決して超人ではない等身大の少年と、魔法族の姫君という高貴な身分でありながら絵空事ではないリアルさを兼ね備えた少女とのボーイ・ミーツ・ガールの物語で、出会いと別れ、旅立ちと帰還を経ての成長譚で、周囲にはそれを温かく見守る大人たち、という図式。
そして悪役とはいえ、最後まで一人も死なない(少なくても直接的描写はない)のもいい。
70年代80年代テイストでありながら、単純に懐古趣味に走っているわけではない丁寧な描写で綴られた、正にジュブナイルの王道を行く作品として大いに有りだ。


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by odin2099 | 2016-05-31 21:07 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)
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