【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『美女と野獣』

2回目を見てきました。<3D吹替>だった前回と違い、今回は<2D字幕>。
オリジナルの俳優さんの声にはあまりこだわりがなく、キャラクターとして納得して受け入れられれば…というタイプなものですから、吹替の方が画面にすんなり入り込めて楽しめた気がします。

そして2回目なのに、またもや泣いてしまいました。

いやあ、我ながら涙腺緩くなったものです。
野獣が斃れ、最後のバラの花びらが散り、ルミエールやコグスワース、ポット夫人、チップ、マダム・ド・ガルドローブ、マエストロ・カデンツァ、プリュメットらが物言わぬ無機物と化し、全てが終わってしまった…という中、静かに現れるアガット。
すると倒れた野獣の身体が光に包まれ宙に浮き、奇跡が起こる…
というシーンでジーンときてしまうんですよねえ。

e0033570_19035361.jpgそういえばお城の家来たちが「物」になってしまうのはこの実写版だけ。アニメ版でも舞台版でも、そうなる前に人間に戻ります。
ちょっと残酷かなと思わないでもないですが、悲劇性はより高まったように思います。

アニメ版からの改変というと、村人がお城に所縁のある人だという設定。
コグスワースの奥さんやポット夫人のご主人(ということはチップのお父さん)たちが、ガストンに唆されて野獣退治のメンバーに加わっている、というのはなかなか怖いシチュエーションです。
村人たちは魔女によってその頃の記憶を消されているということになっているのですが、愛する者同士が知らずに傷つけあう可能性もあるわけで、そう考えると魔女の呪いの恐ろしさがわかります。
よっぽど腹に据えかねたんでしょうか。

しかしそうなると気になってくるのが、冒頭で描かれた「魔女が呪いをかけた」時から、ベルがお城に彷徨いこみ、遂には魔法を解くに至るまでどれくらい時が経っているのか、ということ。
アニメ版では明言されていませんが、野獣と化した王子が絶望にかられるようになるまで、は決して短くはなかったと思います。それにルミエールやコグスワースのぼやき具合からすると、短くても十数年、もしかすると数十年くらい経っているでは?と思わされます。お城の存在も、周囲の人々から忘れされられるだけの時間が経っているということですからね(アニメ版では魔女が人々の記憶を消したという描写はありません)。

でもこの実写版では人々が歳を重ねている描写も特に見られないので、数カ月からせいぜい数年といった感じで、それだと「魔女の呪い」としては些か甘すぎるのではないかなあという気もしないではないです。
アニメ版、実写版、どちらもかなりの歳月が流れながら、魔法によって人々の歳は取らなかった、という解釈も出来なくはないですが、うーん。絶望感はアニメ版に比べると今一つ?

また、ベルがこの村に来たのはいつ頃だったのかというのも気になりますね。
幼い頃に生まれ故郷のパリを離れたということが今回明らかになるわけですが、はたしてモーリスとベルの親子が村へ越してきたのは、お色の人々が魔法にかけられた前なのか後なのか。
前ならばベルやモーリスにもお城の記憶があっても不思議じゃないですし、後だとするならさっき挙げた時間経過の謎が立ち塞がります。
そのあたりはどうなっているのやら。考えると夜も眠れなく…はなりませんが、モヤモヤした気分は残ります。

さて今回、ル・フウが同性愛者(を匂わせる人物)として描かれているのが各方面で物議を醸しているようですが、彼以上に直接的に描かれているのがエセ三銃士?の一人。お城に攻め入った際にマダム・ド・ガルドローブによって女装させられ、他の二人は恐怖に駆られて逃げ出しますが、何故か彼だけは何かに目覚めたような表情を見せます。
そしてラストの舞踏会のシーンでは、よりによってル・フウと踊っているのですが…
このキャラクター設定にこのシーン、本当に必要だったんでしょうかねぇ。

と、色々思い出していると、また見たくなってきちゃいました。
3回め、行っちゃおうかな?

【ひとりごと】
ベルを父親の元へ帰してあがる決断をした野獣。
「(ベルを)愛しているから」の台詞、アニメ版だと野獣自身の口から語られますが、実写版だとポット夫人が代弁します。
また、野獣狩りを宣言したガストンに「野獣はあなたよ!」と言い放つベルのシーンは今回ありませんが、代わりにル・フウが「俺の前にも野獣はいる」みたいに歌います。
単純なアニメの実写化ではなく、キャラクターの立ち位置、視点が随分と違っているのは興味深く思います。


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by odin2099 | 2017-05-16 19:05 |  映画感想<ハ行> | Trackback(2) | Comments(0)
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