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『銀河鉄道999』

8月4日は『銀河鉄道999』の公開日。
そして今年2018年は公開時の1979年とカレンダーが同じ。
今日見ると、公開初日に見た気分を味わえます……?

これは多分初めて公開初日に見に行った映画。
6時台だったか7時台だったかに劇場に着いた時、既に1回目の上映は始まっていて、同じ建物にある別の映画館が緊急に代打上映を敢行。
そちらに滑り込んだので気持ち良く鑑賞できました。
セル画は無理だったけれども先着プレゼントとしてロビーカードは貰えたし、鑑賞予定の映画館よりも代打上映館の方が大きくて広かったし、それに徹夜組を捌いた後だったので、冷房の効いた劇場内はゆったりしてかえって得した気分でした。

『銀河鉄道999』_e0033570_23020478.jpgメーテルは鉄郎の亡き母に生き写し。これは最後の方で、鉄郎の母の若い頃の姿を模したものとメーテル自身の口から説明がありますが、平たく言えばクローン体にメーテルの意識を移植しているということなんでしょうね。
では冥王星の氷の下に眠っているらしいメーテルの本当の姿はどんなものだったのでしょう?
もっとも近年の作品を見る限り、この設定は忘れ去られているような??? 
子供の頃からメーテル、その格好してますし。

また初めからメーテルが鉄郎をターゲットにしていたかはわかりませんが、母親そっくりだったのが結果的には幸いしたことになります。
いくら美人でも見ず知らずの相手に鉄郎がひょこひょこ付いて行くとも思えませんので、母親そっくりという親近感、安心感が作用したであろうことは想像に難くありません。
そこまでメーテル(とドクター・バンも?)が考えていたかはわかりませんが。

そして鉄郎はメーテルに対して憧れ、恋心を抱くようになります。
思春期の少年が年上の魅力的な女性に惹かれる、そのこと自体は不自然なことではないですし、それをテーマにした作品はゴマンとあるはずですが、問題なのはそのメーテルが母親に瓜二つな点。
男の子の初恋の相手は自分の母親だ、というのも良く聞く話ではありますが、鉄郎はティーンエイジャーですし、単純にマザコンとして片付けるにはちょっと生々しすぎる気もします。
鉄郎に母子相姦の願望があった?! 
その論点で書かれた文章って読んだことがないような…。

さて、自分の生涯のベスト1に推すかどうかは兎も角として、ベスト10からは外れることがないだろうなあと思っている作品ではありますが、それでも気になること、ヘンだなと思うことは幾つもあります。

『ヤマトよ永遠に』の時にも同じようなことを書きましたが、やはり時間と距離のことは気になります。
勿論上映時間が限られた中でドラマを展開するのですから、省略も大切です。
地球を飛び立った999号は土星の衛星タイタン、次いで冥王星に停車します。
原作漫画以上に停車駅をすっ飛ばす超特急の999号ですが、太陽系内は比較的ゆったりと移動しているようです。

しかし太陽系を離脱すると、食堂車内でのガラスのクレアとのエピソードを挟みつつも、エメラルダスとの邂逅、そして惑星ヘビーメルダーまで一気に飛んでしまいます。
またヘビーメルダーを発車すると、今度はいきなり終着駅である機械化母星メーテルです。
地球からアンドロメダ星雲まで何日? 
いくらなんでも近すぎ・早すぎだと思うのですが…。

ちなみにTVシリーズだと冥王星が第5話、ヘビーメルダーが79話、そして終着駅が112話です。
単純に比較することは出来ませんが、それなりの時間経過があったはず。
ちょっとした台詞や場面転換シーンなどを用いて、もう少し999号の旅が長く、その間に鉄郎も成長した(そしてメーテルへの想いも募っていった)という描写があればなあ、と思わないではいられません。

ドラマ作りをスムーズにするための省略ということでは、機械伯爵のいる時間城の行方を何故エメラルダスだけが知っているのか、ということもあげられます。
エメラルダスから時間城がヘビーメルダーへやって来ることを教えられた鉄郎は、今度はそこでトチローと出会い、それが今夜真夜中だと知ります。
トチローが時間城の動向を知っている理由も明らかにされません。
いずれにせよこの二人しか時間城の居場所を知らないはずなのですが、アンタレスは潜伏していますね…。

そしてクライマックス。
機械化母星の真相が明らかになります。
目的を秘する必要があったメーテルは兎も角として、車掌も、そしてひょっとするとクレアも終着駅たる機械化母星の正体を知ってたはずです。
それを鉄郎によく隠し通していたものですね。
これは謎とか矛盾点とは違うレベルですが、(映画版では今一つとはいえ)鉄郎と友情で結ばれていたような車掌や、最後には自らの命を投げ出すほど鉄郎が好きだったクレアとしてはちょっと薄情な気もします。

クライマックスは二転三転、身近な存在がラスボスか?と思わせたメーテルですが、彼女の真の目的が明らかになります。
機械化母星の崩壊、それにハーロックとエメラルダスも手を貸します。
しかしこれまで彼らは何故機械化母星へ手を出さなかったのでしょう。
明らかに二人は反機械化人の行動を起こしています。
これはメーテルの真の目的を知っていたが故にタイミングを見計らっていた、と解釈すべきでしょうか。

等々、色々あげてみましたが、この作品がアニメブーム期を代表する傑作であることに異論はありません。
そして40年近く前の作品ではありますが、今なお色褪せない魅力に包まれた作品であることも間違いありません。

<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/2911908/


by odin2099 | 2018-08-04 07:12 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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