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『アルプスの少女ハイジ』(1979)

『宇宙戦艦ヤマト』から始まったTVアニメを再編集して劇場に掛けるというブームは、折からのSF映画ブームの影響もあって賑わいをみせましたが、ようやく他のジャンルからのビッグ・ネームも登場しました。
それが『ヤマト』の裏番組としても有名な(笑)『アルプスの少女ハイジ』の再編集版です。

『アルプスの少女ハイジ』(1979)_e0033570_1684331.jpg1年間もの長丁場を乗り切ったドラマを100分程度でまとめたダイジェストではありますが、原作がしっかりと確立していることと、元のTVシリーズ自体がしっかりと作られているので、きちんとお話を追うことは出来ます。監督としてクレジットされている中尾寿美子という方の経歴は存じ上げませんが、これは演出・高畑勲、画面設定・宮崎駿コンビの功績でしょう。 展開はわかっていても、やはりクララが歩けるようになるシーンは涙腺が緩みます。
もちろん削られて惜しいシーンやエピソードは山ほどありますし、おそらくTVシリーズのスタッフ抜きで作り上げてしまったであろう製作体制には問題があると思いますが。

しかし当時から気になっているのは、キャスティングです。
TVシリーズの終了から4年余り、特に問題となるような時期ではなかったと思うのですが、ハイジ役の杉山佳寿子とアルムおんじ役の宮内幸平の二人を除くと総入れ替えです。なかにはTV版ではロッテンマイヤーを演じた麻生美代子が、今度はペーターのおばあさんに起用されているなど不可解な変更もあります。
また、脇役ならいざ知らず、ペーターやクララでさえ代えてしまったのには憤りを感じてしまいました。
新しくクララを演じた潘恵子は、当時は売り出し中の新人。今見ればさほど違和感感じませんが、それでもオリジナル版の吉田理保子の声が刷り込まれていますし、同じく新ペーターの丸山裕子には悪いですが、やはりこのキャラクターは小原乃梨子が作り上げたものだと思います。スケジュールやイメージなどとは違った次元で、色々な事情があったのだとは思いますけれど。

ところで数年前に『アルプスの少女ハイジとクララ』という、続編だかリメイクだかの企画がありましたが、残念ながら立ち消えになってしまったようです。キャラクター・デザインもそのままということだったので、ちょっと興味を持っていたのですが。
Commented by hactionmao at 2006-03-07 11:00 x
トラックバックありがとうございました。
Commented by odin2099 at 2006-03-07 22:43
>hactionmao様

いえいえこちらこそ。
最近はどうも鼻がムズムズ、辛い季節になってきましたね(苦笑)。
Commented by タイガーXYZ at 2008-08-02 21:13 x
こんばんは。

≫≧ところで数年前に『アルプスの少女ハイジとクララ』という、続編だかリメイクだかの企画がありましたが、残念ながら立ち消えになってしまったようです。キャラクター・デザインもそのままということだったので、ちょっと興味を持っていたのですが。

>「アルプスの少女・ハイジとクララ」ですが、調べてみると「当初は2000年に放送予定で、その後2001年後半に延期となり最終的には実現しなかった」と関連サイトに書いてあったそうですが、もし実現していたらどんな作品になっていたか気になるところです。

また、この「ハイジとクララ」の企画が作られる前にも「MARCO・母を訪ねて三千里」や「フランダースの犬」の映画が製作されていることから、「世界名作劇場をもう一度」と言う意味合いがあったのでは?と推測します。
Commented by odin2099 at 2008-08-03 07:09
日本アニメーションでは『あらいぐまラスカル』の劇場版企画も立てていたのですが、おそらく『フランダースの犬』と『MARCO』がヒットしなかったので潰れたようですね。
ちなみに『ハイジ』は日本アニメーションの作品ではなく、権利も持っていないはずなので直接は関係ないと思います。
もっとも時代の流れというか、空気みたいなものを察して立案したのかも知れませんね。便乗とまではいかなくても。
by odin2099 | 2006-02-20 23:39 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(4)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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