【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『地球へ・・・』(1980)

アニメ・ブームの真っ只中に、春休みでもなく夏休みでもない、1980年のゴールデン・ウィークに公開された長編アニメーション作品。

原作は朝日ソノラマから刊行されていた「マンガ少年」に連載されていた竹宮恵子の同名漫画で、同社としては直前の春休みには同じく連載中だった手塚治虫の『火の鳥』をモチーフにした『火の鳥2772/愛のコスモゾーン』も公開されるとあって、2大アニメ大作を強力にプッシュしていた。残念ながら結果は共に芳しいとは言えないものになってしまったが。個人的にも両作品とも期待外れで落胆させられた。
e0033570_120219.jpgそういえば両作品とも、出産、育児が完全にコントロールされた未来社会が舞台となっているのは偶然の一致だろうか。
もっとも『火の鳥2772』は兎も角、この『地球へ・・・』に関してはその後も何度か見直しているのだが、その度ごとに自分の中での評価は上がっていっている。自分がそれだけ成熟したのか、作品が早すぎた傑作だったのか、はたまた自分の中の採点の基準が甘くなってきたのだろうか・・・?

以下「しねま宝島」から下記へ転載。
東映アニメーション・ファンクラブの会員アンケートで、アニメ化希望の第一位だったとかで映画化が決定したんだそうである。そういえば我が家にもアンケート用紙来てたっけ(実は割と早い時期からの会員だったりして)。

とは言うもののこの作品、世間的にはどの程度認知されていたものやら。春休みではなく何故かゴールデン・ウィークの公開だったこともあったが(その為公開初日には見に行けず――学校休んで並んだヤツもいたけど――二日目の早朝から出掛けた)、”『999』から『地球へ・・・』”と前年から宣伝を繰り返していたものの、興行成績は芳しくなかったとのこと(夏休みに再公開していたが、どのくらいの人が見に行ったのだろう?)。
映画としての出来が決して悪くはなかったので、この結果は非常に残念である。この作品がもう少しヒットしていたら、松本零士作品だけでなくもっと多くのアニメーション大作が産み出されていたかも知れず、そうなればアニメブームの帰趨も今とは違ったものになっていた可能性もあったろう。
作品の存在だけでなくその内容にも派手さはないが、ブームの熱気の中で作られた「渋い」大作として再評価して欲しい。公開当時はのれなかった人も、今の目で見直して。

とはいえ、作品に対する不満がないわけではない。というよりも、どちらかといえば当時は不満だらけだった。
映画化決定の報を聞いた時点では僕も原作を知らなかったが、映画を見に行くにあたってはきちんと原作を読んでいた(といっても総集編の出ていた第三部までで、完結篇の第四部はまだ連載中だった)。
それにアニメ誌などで予備知識を仕入れていたにもかかわらず、ストーリーがわかりづらいのだ。逆にあれだけ長大な原作をよく二時間で再構成したなと言えなくもないのだが、上映時間が『ヤマト』や『999』並みにあと10~20分長ければ、おそらくここまでの物足りなさを感じることはなかったろう。特にシナリオを読むとある程度流れに納得出来るのだが、完成作品からはシーンやセリフがバサバサ切り落とされているのが残念である。

そしてもう一つ、作品の完成度を一気に下落させたのがキャスティングである。現在のスタジオ・ジブリ作品にも通じる、本職ではないメンバーをメインに据えるという愚挙に出たのだ。
「声優の演技はパターン化しているから」という理由によって。勿論、志垣太郎(ソルジャー・ブルー)や岸田今日子(グランド・マザー)のような実績ある経験者は良い。意外なはまり具合で健闘した沖雅也(キース・アニアン)にも合格点を上げても良いだろう。しかしそれ以外のキャストは・・・。なまじ脇で起用したいわゆる人気声優やベテラン陣が好演しているだけに、余計勿体無い(というよりも、むしろ作品を救っている)。この英断によって、本来大事にしなければならなかったはずのアニメファン層の何割かは確実に脱落している。

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by odin2099 | 2006-03-13 06:07 |  映画感想<タ行> | Trackback(3) | Comments(6)
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Commented by ながた・にお at 2006-04-17 00:26 x
トラックバック受け取らせて頂きました。
最初は落胆でしたかぁ、私は最初から感動しましたねえー。
原作を後から読んだからかしらね?
絵はともかく、話やキャラはかなりイイと思うんで
映画で初めて観たんで素直に感動出来たのかもな~。
原作を先に知ってたら…もしか絵にはガッカリしてたかも…?
Commented by odin2099 at 2006-04-17 21:59
>ながた・にお様

シナリオやノベライズを読んだ段階では、あれだけ長い作品を良くまとめたなぁ、と感心したのですが、実際の映画ではシーンやセリフがブツブツ切られてしまっているので、これじゃわかんないよ~!という気持ちが強かったのです。
例えば、トォニイからキースを守ってマッカが殺されるシーンなど、残しておいて欲しかったなぁと思いました。
それに何よりキャスティングが不満でしたね。ハッキリ言って許せない人もいましたし(爆)。
まぁ今は割りと平静な気持ちで見られますので、そうした目で見ると面白いなぁと思えるようになりましたね。
Commented by Ageha at 2006-10-07 15:15 x
細かい部分をすっかり忘れてしまってるので
ダイジェストとしての劇場版アニメは今見る分には
そんなに抵抗もなくすんなり受け入れられました。

もっともはアニメにしろ、実写化にしろ、
この話をたった2時間そこらでまとめられるわけないだろ~が
案の定当たってしまってガックシくることはしょっちゅうですが。

今のジャパニメーションのクオリティで見れたら
それはそれはすごい作品になると思うんですけどね~・・・。
というてもゼータガンダムみたいに中途半端に
画像をきれいにしてストーリー変更なんてのはやめてほしいですが。
Commented by odin2099 at 2006-10-07 23:04
ダイジェストはダイジェストなりに、シナリオは結構良く出来ていたと思うのですよ。
ただそれをバサバサ切っちゃっているのが勿体無くて。
せめてあと10分か15分、『999』並みの上映時間を与えられていたら、
もうちょっと完成度が高い作品になっていたと思うんですがね。
しかしなかなかDVDになりませんねー。
Commented by マイケル村田 at 2017-04-21 21:53 x
たしか、この「地球へ…」。ブルーレイでは驚きな事に一部ファンには噂となっていた「マツカの死」という未公開カットが収録されていていましたね…。 脚本段階ではこのシーンがあったものの、劇場公開時にはカットされて、幻とされていたんだなぁ…。
Commented by odin2099 at 2017-04-22 20:32
> マイケル村田さん

脚本はアニメショップなどで単独で発売されていたと記憶してますし、当時の関連書籍でも掲載されていましたので、カットされたシーンが幾つかあるのはファンには多分有名なことなんだろうと思います。
何種類か発売されていたノベライズも脚本を元に執筆されていますので、それらのシーンがありましたし。
「ヤマト」や「999」は130分程度の上映時間が与えられていましたが、「地球へ…」は112分。
かなり舌足らずな印象を受けますので、同規模の上映時間で封切られていたらなあと残念に思います。

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