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『飛び出す 人造人間キカイダー』(1973)

『飛び出す 人造人間キカイダー』(1973)_e0033570_1801167.jpg石ノ森ヒーロー、東映ヒーローに”ライダー派”と”キカイダー派”というものがあるとするならば、僕は間違いなく後者である。
土曜の夜7時半からの『仮面ライダー』は殆ど見たことがなかったけれども、その後の8時から放送されていた『人造人間キカイダー』は、裏番組の『8時だよ!全員集合』を差し置いてしっかりと見ていたものだ。
それにしても、この時間帯に子ども向けのヒーロー番組を編成したTV局も大したもので、8時からの『キカイダー』と後番組の『キカイダー01』、それに8時半からの『デビルマン』→『ミクロイドS』→『キューティーハニー』というカップリングの1時間枠は、ちょっぴり大人気分を味あわせてくれたものである。

そのTVシリーズをベースに、TVよりもスケールの大きな敵の作戦、この作品でしか見られない新怪人、再生された怪人軍団の登場(その数実に20体の”新生”ダーク破壊部隊!)、それに赤青のメガネをかけて見るパート3Dを導入した、正に映画館でしか楽しめないという娯楽作品。残念ながらリアルタイムでの鑑賞はならなかったのだが、わざわざ鳥取砂丘へもロケーションを敢行して、いつもと違う画面作りを心がけるなど、その力の入り具合は今でも充分伝わってくる。TVシリーズの放送も終盤に差し掛かり(公開は最終回放映の約一ヵ月半前)、スタッフ、キャスト共にペースを掴んでいた証拠だろう。

『飛び出す 人造人間キカイダー』(1973)_e0033570_2365273.jpgただし実際の内容としてはシリーズの一挿話に留まり、数々の魅力的なタームを持ちながらも意外にこじんまりした印象で、これといって印象に残る出来では残念ながら、ない。
売り物の3D部分はちっとも立体に見えないし、鳥取砂丘ロケは全くと言ってよいほど活かされていないし(短い時間で舞台が鳥取と横浜を行ったりきたりしている)、ダーク破壊部隊20人衆もアンドロイドマン(いわゆる戦闘員)以下のヤラレ役。TVでは丁度この頃からハカイダーが登場して怒涛の展開を見せるのだが、それ以前ということで盛り上がりに欠けてしまう。
ただ、記憶を喪失して彷徨うキカイダーの生みの親・光明寺博士、父であるその博士を捜して旅を続けるミツコとマサル姉弟、一行に同行する迷探偵服部ハンペイ、そして彼らの危機に必ずギターをかき鳴らして駆けつけるジロー=キカイダー、というシリーズのパターンはしっかりと踏襲しているので、『人造人間キカイダー』という作品を紹介するには相応しい作品なのかも知れない。
by odin2099 | 2006-04-10 21:47 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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