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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『キングダム・オブ・ヘブン』(2005)

e0033570_83438100.jpgお話の舞台となっているのは1184年で、これは第2回と第3回の十字軍の間の出来事。そして主人公のバリアンをはじめ、国王ボードワン4世、その妹・王女シビラ、シビラの夫で後に国王となるギー・ド・リュジニャン、ギーと共謀することとなる貴族ルノー・ド・シャティヨン、サラセンの王サラディンなどは皆、実在の人物。事実に即しながら、時には大胆な脚色を施して紡ぎあげた一大叙事詩なだけに、やはりある程度は世界史の知識がないと辛い。知らなければ全く楽しめないか、というとそうでもないが、やはり十字軍の謂れ、キリスト教とユダヤ教、それにイスラム教の関係などは最低限抑えておいた方が良い予習ポイントである。それが無理なら、早めに劇場へ行ってパンフを買って目を通しておくのが無難か。

上映時間は2時間25分だが、オリジナルは3時間40分あるそうで、前半はバサバサ切りました、というのがありあり。おかげで人間関係が今一つ掴みづらいが、中盤から後半にかけてはスペクタクル・シーンが続出で見応えは充分。なぜバリアンがエコ贔屓・・・もとい、皆から頼りにされているのかが良くわからないのだが、これもカット・シーン故か。父が偉大な騎士だったからといって、それだけの理由で息子が重用されているとも思えないのだが、このあたりは完全版<ディレクターズ・カット>のリリースも計画されているようなので、それを待ちたい。

大作の初主演となったオーランド・ブルームも、『ロード・オブ・ザ・リング』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『トロイ』と立続けにコスチューム・プレイに出演してきただけあって流石に映える。まだ貫禄はないものの、黙っていても絵になる存在感というかオーラのようなものがあり、役者としての華を感じさせていて、主演俳優としても充分合格点だ。ただ、役柄のせいもあるが、表情にやや乏しいのは難。それでも彼が持つ清潔感が品をもたらし、キャラクターを救っている。

e0033570_83457100.jpgジェレミー・アイアンズ、リーアム・ニーソン、エドワード・ノートン、ブレンダン・グリーソン(オーリィとは『トロイ』繋がり)、デヴィッド・シューリス、マートン・ソーカス(共に『タイムライン』からのスライド)らベテラン勢が脇を固めているが、終盤のクライマックスへ向けて続々退場。最後は事実上オーリィの独壇場となるのだが、これもあたかもオーリィの役者としての一人立ちを祝福しているかのようだ(リーアム・ニーソンなどは出番が少な過ぎるのが勿体無いくらい)。そうはいっても、これは決してオーリィ中心のアイドル映画などではない。歴史物の大作というイメージからすると些か華やかさに欠けるくらい、地味で実直な漢のドラマになっている。

今回は吹替版を見たが、字幕版は例の大御所の担当で相変らず物議を醸し出している。実際試写会後に手直しが入ったようだが、それでも両方を見比べた人は吹替版を推してる由。この悪しき風潮は何とかならないものだろうか。
ただ評価の声の高いこの吹替版も、実はキャスティングが微妙である。
リーアム・ニーソンの津嘉山正種は文句無しだが、ジェレミー・アイアンズの有本欽隆、マートン・ソーカスの大塚芳忠らは巧いのだけれども合っていない。内田夕夜のオーリィも、もしもこれが最初だったなら許せただろうと思うが、既に『ロード~』、『パイレーツ~』、『トロイ』の3作で平川大輔という絶妙の配役を得ているだけに、どうしても違和感が先に立つ。ビデオ・DVDリリース版も同じだろうから、平川版の実現は(何年先のことかわからないが)TV放映の時のお楽しみに取っておこう。
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by odin2099 | 2005-05-15 21:29 |  映画感想<カ行> | Trackback(11) | Comments(2)
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こんばんは!いつもありがとうございます!
あたしは元々、こういう中世ヨーロッパ系好きなんですが、
その中でもこれは、よかったです。
Commented by odin2099 at 2006-04-16 00:52
そういえば<ディレクターズ・カット版>はどうなっちゃったんでしょうかね?
そちらも是非見てみたいんですけど。

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