【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『エクスカリバー』(1981)

トーマス・マロリーの『アーサー王の死』を140分に凝縮した大作。
自分がアーサー王や円卓の騎士たちに興味を抱いたのはTVアニメ『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』(1979~80)が好きだったからだが、原典とはまるで違うと聞かされて、では原典とは如何なるものだろうかと気になっている時に公開されたのがこの作品である。
同時に、『スター・ウォーズ』が<アーサー王伝説>の影響下から生まれたと指摘されていたこと、そしてその『スター・ウォーズ』の大ヒットが、数年間眠っていたこの企画を呼び覚まし映画化に結びつけたという裏話を耳にしていたことも、余計に興味を掻きたててくれた。

e0033570_17303747.jpg<アーサー王伝説>の決定版であるとか、入門編として最適との評価もあるが、実際には原典の忠実な映画化との触込みとは裏腹に、かなり大幅な脚色を施し再構成・再構築した、ジョン・ブアマン・オリジナルとでも呼べそうな<アーサー王伝説>となっている。監督にとっては実に四半世紀も暖め続けていた念願の企画で、ここまでくると執念の産物と言えるかも知れない(ちなみに企画が難航していた時期に代りに俎上に載せられていたのは、J・R・R・トールキンの『指輪物語』であった)。

複数のキャラクターのエピソード、役廻りを一人の人物に集約させたり、時間経過を大胆に省略するなどして長大な物語を巧みに纏め上げている反面、熱心な読者であればあるほどその改変度合いに混乱をきたす結果になったのは致し方ないところか。個人的には、原典では中途で姿を消すマーリンに最後の見せ場を与えたのは嬉しいが、ランスロットが己を恥じて隠遁生活へ入ってしまうのは納得がいかないのだが。

もっとも当時の自分にとっては、原典の物語も把握出来ず、その改変ぶりもわからず、というより内容を殆ど理解出来なかったというのが正直なところで、期待が大きかった分、落胆も大きかったものだ。
音楽に魅力を感じられなかったのもその一因で、音楽担当としてトレバー・ジョーンズがクレジットされているが、劇中に流れる大半の曲はワーグナーの<ニーベルングの指環>、<パルジファル>、<トリスタンとイゾルデ>、それにオルフの<カルミナ・ブラーナ>などクラシックの数々。今でこそこれらの曲は自分にとって馴染み深いものとなっているが、その頃は単に”暗くて退屈な曲”としてしか認識出来なかったのである。

数年後にTVで、なんと90分強に切り詰められたヴァージョンを見ることになったのだが、そのテンポアップした編集、それに日本語吹替の強みもあってか充分に楽しめることが出来、その後はビデオ等で再見して認識を改め、最近も見直して興味を新たにした次第。

それにしてもラブ・シーンの多さ、大胆さにはやや閉口する。ただそれでも、スチール写真のみで本編にはないシーンがまだあることを考えると、本来はもっと過激な作品だったのかも知れない。ファンタジー映画という認識で作品を見ると戸惑いも大きいだろう。
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by odin2099 | 2005-01-16 23:01 |  映画感想<ア行> | Trackback(2) | Comments(0)
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意欲作すぎてコケてるかも。 なにせ、冒頭の音楽がワーグナーの「ジークフリートの葬送」。暗い、暗すぎる! まあ、原作を「アーサー王の死」にしているから悲劇の予感は仕方ないのか。 しかし…。 登場人物があまりかっこよくない。ランスロットはいい人だけどギネビアが一目ぼれするほどハンサムとはいえない。 > しばらく付き合ったあとなら惚れるのはわかるが…。 騎士たちは鎧が重いのか疲れているのか、終始よたよたしている。私的にはアーサーとパーシバルの顔の区別がつかないし…。 まあ、現実的に仕上げたといえば、そーなの...... more

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