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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『銀河英雄伝説/わが往くは星の大海』(1988)

田中芳樹のベストセラー小説初の映像化。TVシリーズ化を前提に企画され、そのプロモーションを兼ねて作られたビデオ用作品だったが、結果的には劇場公開へと昇格。『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』と比較されて論ぜられることが多く、確か劇場公開やビデオ発売時の謳い文句は”『宇宙戦艦ヤマト』に続く壮大な規模で描かれる宇宙興亡史”というようなものだったと記憶している。
残念ながら劇場では見る機会がなく、ビデオ・リリースされてから程なくして鑑賞。何処もレンタル中で、何日も何軒も足を運んで、やっと借りることが出来たことを思い出す。この時点では原作は興味は持っていたもののまだ読んではおらず、予備知識も殆ど持ち合わせてはいなかったので、『銀英伝』とのファースト・コンタクトはこの作品ということになった。

e0033570_22452222.jpgストーリーは敢えて外伝に材をとって構成。これは正解だったろう。数多くのキャラクターがひしめき合う『銀英伝』の中で、主要なキャラクターの多数が顔を揃え尚且つその立場を明確に表している部分を抽出しているので、パイロット版としては理想的な作り。これにより予備知識無しでもすんなりと物語世界に遊ぶことが出来た。なまじ本編を直接映像化したならば、60分という限られた時間内ではとても消化し切れなかっただろう。また脚本作りもしっかりとしており、60分を短くも長くも感じさせない充実ぶり。作画のレベルも高く、久々に本格的な宇宙を舞台にしたSFアニメを堪能することが出来た。その意味では『ヤマト』『ガンダム』の後継者という扱いも、まんざら的外れではない

その一方で人間ドラマになりすぎているが故に、アニメーションとしての楽しさ、絵で観る面白さというものが欠けているのが惜しまれる。セリフがメインで、大きなアクションもない。絵は勿論綺麗なのだが、綺麗過ぎてリアリティというか重量感が感じられないのが残念で、むしろアニメではなくライブ・アクション作品であったのならば、個々のキャラクターの息遣いまでをも感じ取れたのかもしれないとも思う。それで『銀英伝』という作品の映像化として相応しい作品に仕上がるかというと、ファンからの反応は厳しいものだっただろうが、一つの選択肢として考えてみてもいいだろう。

この作品で特筆すべきはBGMである。全てクラシックの既成曲を用いているのだが、これが抜群の効果をあげている。正直言って後のシリーズ化作品では、無理に曲を画面に合わせようしていると感じることもあるだが、少なくともこの段階ではそれはない。よくこの曲に合わせた場面を構成したな、また、よくこのシーンに合う曲を選んだものだな、と感心する次第である。そして今作品の白眉、<第四次ティアマト会戦>シーンに流れるラベルの「ボレロ」に関しては、SEも抑え、音楽を聴かせるように努力した演出自体がなかなか新鮮であった。

結果的にこの作品はファンに受け入れられることとなり、また多くの新規ファンを開拓するに至った(当然私もその一人であるが)。既にアニメ・ブームは過去のものとなり、ファンの価値観も多様化したために、かつての『ヤマト』や『ガンダム』といった特定作品に人気が集中し社会現象化するということはなかなか起こりにくい時代になってしまっていただけに、過少評価されている作品だと思うのだが、シリーズ化にあたって打ち出した新機軸をはじめ、エポック・メーキング的作品だったことは認めてもよいだろう。
  ×  ×  ×  ×

e0033570_12334343.jpg手抜きして(汗)「しねま宝島」から転載しましたが、この10年以上前(というより20年近く前)に見た時と、今回も殆ど同じ感想を抱くに到りました。
メインサイトである「CHAOS ∞」では『銀英伝』のコンテンツを扱っているくせに、自分の中では最近ちょっと遠い存在になっていたのですが、改めて見ても感動出来るものですねぇ。やっぱり『銀英伝』、好きなんだなぁ。
この機会にシリーズ全話を見直そう!
・・・とはなかなか気力体力それに時間の関係で難しそうですけれど、相方さんの全話レビューも止まってることですし(苦笑)、お任せしっぱなしでは申し訳ないから頑張ろうかな。
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by odin2099 | 2006-06-07 06:13 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(4)
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Commented by 久保田r at 2006-06-07 13:51 x
うん。全話レビュー止まってて申し訳ない。見たい気持ちはすっごくあります。
本当は今「ヤマト」もテレビシリーズ見たい衝動に駆られていて、「銀英伝」と共にレビューしたい気持ちだけは満々なんですけど、現在の環境ではちょいと集中出来ないんだな。次男坊がもう少し大きくなってからでないと。それまでお休みということで、全話レビュー止めています。
んでも中途半端な話数で止まっているので、気が気じゃないんですよねぇ…。本当は今すぐにでも見たいんですけどねぇ…。「銀英伝」は”ながら見”じゃなくちゃんと見たいんで、うずうずしながら見たい気持ちを抑えてます。はぁぁ…。
Commented by はぎお at 2006-06-07 21:38 x
出ました~「銀英伝」!
わたしは富山敬さんが亡くなってからこの作品を知ったという、超遅いデビューです(汗)リアルタイムで見たかったなぁ。
特に「ヤマト」と比較されがちですが、わたしはテイストが異なる気がしました。ストーリー重視で、映像的にはヤマトと比べるとスケール感に欠けるような(苦笑)でも、それを差し引いても面白いんです。やはりストーリーとキャラクターの個性。オリジナリティ溢れた世界だけれど、現在に当てはめて考えてしまうリアリティ。映画もOVAの各話も目が離せない展開。台詞が難しくて、台本代わりに原作を読みながら見てしまいました(笑)いつ見始めても、最後まで見てしまいたくなる不思議な作品です。

ちなみに私の好きなキャラは、ヤンとキルヒアイスを除いて、キャゼルヌとシェーンコップとロイエンタールと・・・書き出したら止まらないのでこの辺にしておきます(笑)
Commented by odin2099 at 2006-06-07 22:54
>相方さ~ん

『銀英伝』、全話レビューの意欲はあるんですけれどねぇ。
今月中には体勢を立て直して、のつもりだったんですけれど、
なかなか上手くいきません。
でも何とか!
Commented by odin2099 at 2006-06-07 22:57
>はぎおさん

どうぞどうぞ、『銀英伝』について語ってやってください(笑)。
メインサイトにはコンテンツもありますし。
「ヤマト」や「ガンダム」との比較は、実は自分も意味ないなぁとは思っています(苦笑)。
これらの三作品を一括りに出来てしまう人というのは、どう考えてもファンじゃなさそうだし(爆)。
勿論三作品共通のファンも沢山います(自分を含めて)が、
それは僅かな共通項よりも、より多くの似てない部分、
つまり作品毎の独自の色にこそ惹かれているんじゃないでしょうかね。

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