【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『スーパーマンIII/電子の要塞』(1983)

e0033570_23155889.jpg美人に見とれた男が柱にぶつかったことから連鎖的に起こるドタバタ劇。とても『スーパーマン』とは思えないコミカルなオープニングですが、そのドタバタの中にスーパーマンの活躍を盛り込むなど、日常生活に溶け込んだヒーローを描写していて一見の価値はあり。シリーズも3作目となった余裕の表れでしょうか。
それだけでなく作品全体通してコミカル要素が強すぎるので、スーパーヒーロー映画じゃなくて単なるコメディ映画じゃないか、と毛嫌いする人もいますけれど、それでも結構好きですね、この作品。映画館にTV放映、ビデオでの鑑賞・・・とシリーズ中で一番回数を観ているから愛着があるのも理由かもしれませんけれど。

さて、今回の悪役は大企業の社長です。
最初は人工衛星を操って農作物に打撃を与えたり、タンカーをコントロールして独占しようとしたりで経済的優位を手に入れようと画策しているんですが、それらの計画が悉くスーパーマンに邪魔されると、今度はスーパーマン抹殺に照準を絞ります。
とはいうものの犯罪の天才レックス・ルーサーやクリプトンの3悪人ら前2作の悪役と比べてしまうと如何にも小さい小さい。演じているのがロバート・ボーンなので、なおさら大物感に欠けてしまってます。まぁそれなりに味はありますがねぇ。

そのロバート・ボーン社長と手を組んで、完璧な防御機能を備えたスーパー・コンピューターを作り出すのが、天才プログラマーのリチャード・プライヤー。最初は会社の金をちょろまかしたりしているんですが、社長にその才を見出され、人工クリプトナイト(クリプトナイトとは、消滅してしまったスーパーマンの故郷の惑星の破片が隕石となったもので、スーパーマン最大の弱点なのです)を作り出してスーパーマンを苦しめた挙句、今度はこのコンピューター(これが邦題のサブタイトルにある「電子の要塞」というわけ)を駆使してスーパーマンと対決します。
もっとも最後にはスーパーマンを助けることになる、いわゆる憎めない小悪党という役回りでして、この当時の人気コメディアンのリチャード・プライヤーが前面に出ていることが、良くも悪くも従来のシリーズとの違和感を助長しております。

人工クリプトナイトはスーパーマンの命を奪うまではいかなかったものの、その精神は蝕まれ、人助けは拒否するわ、聖火ランナーの聖火を吹き消すわ、ピサの斜塔を真直ぐにしちゃうわ、悪女の誘惑に簡単に乗っちゃうわ、酒飲んで酔っ払うわ、と実に人間臭いヤツに変貌してしまいます。
しかし「病気なんだよ」との少年の声に我に返ったスーパーマンは善悪の葛藤に苦しめられ、遂には二つに分裂、激しく戦いあうという始末。この時は堕落したスーパーマンに対して、クラーク・ケントが良心を表し、スーパーマンとクラークの対決という形になりますが、文字通り一人二役となったクリストファー・リーブの演技力が存分に楽しめるという趣向です。いや、ホントに演技派だったんですよね、クリストファー・リーブ。ブランドン・ラウス君がこの域に達するのはいつの日か・・・。
これも、ヒーロー物としてはどうなの?という声も聞こえてくるところなんですが、まぁ悪い展開ではないと思いますが。

ところで今回、スーパーマンの永遠の恋人ロイス・レーンは出張旅行ということで、最初と最後にしか出てきません。クラークはクラークで故郷のスモールビルへ帰省し、そこで初恋の人ラナ・ラングと再会、いいムードになります。本作に限っては、ヒロインはロイスではなく、完全にラナです。ロイス役のマーゴット・ギターは一作目から評判悪かったようで、これは今後のシリーズで降板させる伏線か?などとも噂されていましたけれど、はたして真相はどうだったのでしょうね。
ラストではメトロポリスへと出てきたラナが、デイリー・プラネット社で働くことになってロイスに紹介され、次回作以降クラークとロイスの関係にも緊張が走ることを予感させて終るという念の入りよう。クラーク(そしてスーパーマン)を巡ってロイスとラナが恋のさや当て、なんて展開も期待させたのですが、残念ながら権利関係の移転などもあってシリーズは中断。製作体制が一新されたためか、『4』ではこの設定がナシになっていたのは非常に残念でした。
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by odin2099 | 2006-11-01 06:02 |  映画感想<サ行> | Trackback(7) | Comments(8)
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Commented by chibisaru at 2006-11-06 17:39 x
これまた大人になるまで見たことなかった作品です(苦笑
「1」「2」「3」と続けてみたので、今までにないコメディタッチに困惑しながらも結構楽しく見ることができました。こういうのもいいんじゃないかなぁ。
シリアスヒーローが身近に感じることのできる作品だったし、個人的には大笑いもさせてもらえたし、好きな作品です。
Commented by odin2099 at 2006-11-06 23:36
お、「1」~「3」まで見たのであれば、是非「4」も。
今度ようやくDVD化もされますし。
ただキャストは踏襲されてますけれど、製作会社、スタッフが別なのでちょっとテイスト違うんですよね。
むしろ『スーパーガール』の方が正統派?

『スター・ウォーズ』に比べると古さを感じさせてしまいますけれど、でも「面白さ」という面では不変だなぁと今回改めて感じました。
Commented by GMN at 2007-02-14 19:51 x
マーゴットがスタッフともめてロイスの出番が減らされたって感じだったかと。確かパンフだかリーブの著書にはそんな感じの事が書いてあった気がします。
全体的には、なんだかな~って印象の作品ですけど、原作ファン待望のラナが登場したり、スーパーマンVSクラークが例えベタでもワクワクしてしまいますし、それなりに見所はあったりしますね。
Commented by odin2099 at 2007-02-15 22:42
>GMN様

TB&コメ、有難うございます。
3作目は評判悪いですね~。そんなに毛嫌いしなくてもいいじゃないか、とも思うんですが(汗)。

マーゴット・キダーは最初からウケが悪かったみたいなんですけど、それならなんでキャスティングしたんだよー!と言いたいとこですが、きっと色々な事情があったのでしょう。
そういや『スーパーマン』も『スター・ウォーズ』も、男優の評価に比べて女優の評価は低いですね。
なんだかなぁ・・・。
Commented by can at 2007-02-26 02:50 x
私もマーゴット・ギターがあんまり好きじゃないので、Ⅳで何事もなかったのようにヒロインに戻っていたのはちょっと口惜しかったです(^^;)

Commented by odin2099 at 2007-02-26 22:06
コメント&TB、ありがとうございました。
せっかくラナを出して、ロイスとクラークの関係にも新風を吹き込もうとしたのですから、これで終わりにするには勿体なかったですね。
製作体制を維持したまま『4』を作っていたら、そのあたりもきちんと描いてくれたのでしょうか。

実際の『4』は、内容面もそうなんですが、『3』から間が空いたせいかキャストも精彩を欠いてますよね。
『スーパーガール』なんか作っている場合ではなかったのかも。
Commented by スミス at 2016-04-03 11:57 x
こんにちは。夕べ見ました、スーパーマンがスクラップ処理場で人格割れを起こして、サラリーマン姿の善のほうが悪のほうをプールに突き落としたシーンでしたが、「毒」を意味する警告文の看板が立っていたなんて驚きでした。しかし、その液体で溶かされなかった上、吹きかけられてもスーツがボロボロになるだけなんて運が良かったですね。

失礼します。
Commented by odin2099 at 2016-04-03 15:11
> スミスさん

いらっしゃいませ。
ここのところ色々な局で旧作が放送されてますね。
この<DCフィルムズ>の世界観ではこういったコメディ要素の強い作品は作られないでしょうけれど、「スーパーマン」としてはアリかなあと思っています。

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