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『ピアノ・クラシック・ファンタジー』 加羽沢美濃

コンポーザー・ピアニストの加羽沢美濃が全曲クラシックに挑戦したというソロ・ピアノ・アルバムですが、楽譜通りに弾くよりも即興演奏の方が性に合っているらしい彼女のこと、ガチガチな演奏ではありません。
ジャンルとしてはクラシック畑に分類されるであろう彼女ですが、ライナー・ノーツによれば、「ベートーヴェンの「第九」を今まで一度も通しで聴いたことがない」(!)そうですし、そもそも原曲がピアノだという曲が一曲も選ばれていないあたりが彼女らしいですね。

『ピアノ・クラシック・ファンタジー』 加羽沢美濃_e0033570_12492023.jpg収録されているのは、彼女が司会を務めているNHK-FMの番組「名曲リサイタル」のテーマ曲としても使われているチャイコフスキーの「花のワルツ」(「くるみ割り人形」より)、ロドリーゴの「アランフェス協奏曲」、フォーレ「夢のあとに」、サン・サーンスの「白鳥」、ボロディン「ダッタン人の踊り」(「イーゴリ公」より)、ブラームスの「交響曲第3番」、スメタナの「モルダウ」(「わが祖国」)、レスピーギ「シチリアーノ」(「リュートのための古風な舞曲とアリア」)、カッチーニ「アヴェ・マリア」、モーツァルト「ラクリモーサ」(「レクイエム」)、ベートーヴェンの「歓喜の歌」(交響曲第9番)、ドヴォルザーク「交響曲第9番『新世界』」等々。
お気に入りは、ある意味原曲以上に魅力的な「アヴェ・マリア」や「シチリアーノ」です。

しかし一番凄いなと思わされたのが、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキーという全く無関係の作曲家による「ヴァイオリン協奏曲」を勝手にメドレーにして、しかもピアノで演奏してしまった「ヴァイオリン協奏曲メドレー」(!!)でしょう。
原曲を知らない人には、おそらく全く違和感を抱かせない一体感を持たせたアレンジなのは流石です。それ以外の曲も、原曲を損なわず、かつ彼女の色に染め抜かれております。

最近は映画音楽の分野に進出したり、イベントやコンサート等でも精力的に活動している彼女ですが、CDのリリースはちょいとご無沙汰気味。オリジナル曲も楽しみなんですが、たまにはポップスのアレンジ曲ではなく、純粋なクラシック・アレンジにもまたチャレンジして欲しいなと願っております。
by odin2099 | 2007-04-14 12:50 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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