【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『トロイ』(2004)

e0033570_1255049.jpgホメロスの叙事詩『イーリアス』を豪華キャストで映画化した作品で、『グラディエーター』や『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の成功から量産されるようになったコスチューム・プレイの一本。『キングアーサー』、『アレキサンダー』、『キングダム・オブ・ヘブン』らが後に続くことになった。

登場人物やエピソードは原典に比べるとかなり大胆に脚色、あるいは集約されており、その如何にもなハリウッド・テイストには眉をひそめる人も少なくない。一例を挙げれば、クライマックスで描かれる有名な<トロイの木馬>の件は、実は『イーリアス』ではなく続編となる『オデュッセイア』で語られる部分なのである。

上映時間は2時間43分もあり、決して短いとは言えない長さだが、中だるみはほとんど感じない。
登場人物が多い割りに散漫な印象をあまり受けないのは、シナリオが上手く固められているからだろうか。長大な物語を手堅くまとめているなという印象を受け、個人的にはこの改変も支持したい。ただ、ギリシャ神話のダイジェスト本にでも目を通し、トロイヤ戦争に関する部分に目を通しておいた方がより楽しめるかと思う。
劇場では吹替版、ついで字幕スーパー版と2回観に行っているが、ストーリー展開もキャラクターの相関関係もきちんと頭に入った上で観ると、やはり面白さは倍増する。

映画独自のアレンジの最たるものは、「神」を一切排除した点である。
本来は事件の発端を含めて終始ギリシャの神々が絡んでくる物語なのだが、この映画では登場人物の信仰の対象として以外は全く登場しない。一本の映画としてまとめるにはこの改変は成功で、これにより神話や伝説としてではなく、今を生きる人間ドラマとして結実した。

e0033570_126148.jpgそれを支えたのは豪華なキャスティングで、注目は当然アキレス役のブラット・ピットとパリス役オーランド・ブルームに集まるだろうが、むしろ映画を見た人の印象に強く残るのはヘクトルを演じたエリック・バナか。脇を固めるピーター・オトゥールやブライアン・コックスなどの個性的なアンサンブル・キャストの中でも、独特の存在感を示している。
ただ惜しむらくは、男優陣に比べると女優陣が今ひとつ格落ちなこと。製作予算が全て男優陣に振り分けられた訳でもないだろうが、もう少し華のある女優をキャスティング出来なかったものか。

さて、映画では語り部となっているオデッセウスの冒険はまだまだ続く。
出来うればショーン・ビーン演じるオデッセウスはそのままに、続編となる『オデュッセイア』の映画化も望みたい。その際には是非ともナウシカの出てくるエピソードも添えて。
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by odin2099 | 2007-04-29 12:07 |  映画感想<タ行> | Trackback(12) | Comments(8)
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Commented by ちなみ at 2007-04-30 21:42 x
はじめまして、トラバありがとうございます。私は自称トロイアマニアというぐらいトロイア戦争のお話が大好きなので「トロイ」についてとても熱く語ってしまいましたが、お付き合いくださりありがとうございました★こちらのレビューもなかなか確信をついた素晴らしいものだと思います。これからもご縁がありましたらよろしくお願いいたします。
Commented by odin2099 at 2007-04-30 22:05
サイトの方も拝見させて頂きましたが、格調高いデザインで思わず引き込まれました。
自分も神話・伝説好きですが、マニアとまでは到底至りませんので、そちらで色々と勉強させて頂こうかと思っておりますので、どうぞ宜しくお願いします。
Commented by koujitu3 at 2007-05-02 22:50
おっしゃるとおり、と思います。
あまり評判がよくなかったと記憶しているのですが、私は面白かったです。あれで、ヘレンがもっと・・・だったらもっとよかったのに、と思ったものです。(笑)
先日TV放送がありましたね。見逃しましたけれど。
この記事を読んで、久々にもう一度見れば良かった、とちょっと思ってしまいました。
Commented by odin2099 at 2007-05-03 10:26
ダイアン・クルーガーは他の作品では美人に見えるんですけれども、本作では・・・。
コスチュームプレイが似合わないのかも知れませんね。
未見ですが、同時期に作られたTVドラマ『トロイ/ザ・ウォーズ』ではシエンナ・ギロリーが演じてました。
彼女の方がまだ綺麗かなぁ(汗)。

今回のTV放映、最近の大作では珍しく吹き替えが新しく作られていました。
劇場公開&ビデオ・DVD版ではブラッド・ピットに咲野俊介、エリック・バナに寺杣昌紀、
ダイアン・クルーガー田中敦子、ブライアン・コックス内海賢二、ショーン・ビーンが大塚芳忠、
ピーター・オトゥールに大木民夫という顔触れだったのですが、
この新録版はブラッド・ピットが山寺宏一、エリック・バナは内田直哉、ダイアン・クルーガー岡寛恵、
ブライアン・コックスに石田太郎、ショーン・ビーンが磯部勉、ピーター・オトゥール羽佐間道夫と、
甲乙付けがたい面々。
ただどちらもオーランド・ブルームは平川大輔なのが面白かったですね。余人をもって変えがたいということでしょうか。
Commented by 奈緒子 at 2007-05-15 14:24 x
この映画を観て初めて「トロイ」について知ったのですが、
女性関係のもつれがきっかけで戦争になったことに
ちょっと引いちゃいました。積年のゴタゴタもあったのでしょうが、
どっちが正義でどっちが悪とかそういう戦いじゃないんでしょうね。
Commented by odin2099 at 2007-05-15 22:48
シュリーマンの発掘により、<トロイヤ戦争>が単なる神話・伝説ではなく実際に起こったことだと証明された訳ですが、その規模や切っ掛けとなると、まだまだ謎のようですね。

映画では割愛されていますけれど、元々のギリシャ神話ではヘラ、アテナ、アフロディテの三女神が「誰が一番美人なのか」で揉め、その審判役に選ばれたパリスが「最も美しい女性を与える」と申し出たアフロディテを支持(ヘラは「世界を支配する力」、アテナは「どんな戦争にも勝つ力」)し、その結果メネラオス王の妃ヘレネを奪い去った、というのが発端なんですよね。
人間にとっちゃ、神様とはいえ「いい迷惑」ってとこですけど・・・。
Commented by 猫姫少佐現品限り at 2007-05-15 23:19 x
こんばんは!いつもありがとうございます!
言われると、神じゃなくって人間のお話でしたね。
でもあたしはなんか、人間じゃなくって半分神々の戦争のお話のよな感じで見た記憶が、、、
槍術、剣術の型が、印象に残っています。
Commented by odin2099 at 2007-05-17 22:02
アキレスとか超人的な強さですからね(笑)。
でも逆に、見事に神々を廃したシナリオに仕立てたライターは、大したもんだと思いますよ。

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