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『チョコレート』(2001)

アメリカ南部のジョージア州。刑務所看守のハンクは父親譲りの人種差別主義者で、同じく看守である息子のソニーとは考えを異にするために相容れなかった。そして死刑執行の直前に取り乱してしまったソニーに、ハンクはこれまでに堪っていた怒りを爆発させてしまうが、その翌日ソニーはハンクの眼前で自ら生命を断ってしまう。初めて息子の気持を知り自責の念にかられたハンクは、仕事を辞め新たな人生を模索し始める。そんな時に出会った黒人女性レティシアは、死刑囚の夫と幼い息子を相次いで失ったばかり。本来何の接点もないはずの二人は、やがて互いの喪失を補い合うようになってゆく。

近所の黒人一家とも親しく付合っていた息子を理解出来なかったハンクは、その死とレティシアとの出会いをきっかけに徐々に心を開いていき、遂には自分以上の人種差別・性差別主義者であった父を完全に否定するに至る。一方でレティシアは「自分を大切にして欲しい」という願いを叶えてくれそうなハンクに惹かれていくが、実はハンクこそが自分の夫を処刑した当人だということを知り葛藤する・・・のだが、このあたりの心理描写は今一つ。ハンクの変心ぶりもやや唐突な感は否めないし、淡々とじっくり描いてきた映画のペースからすれば、もう一歩踏み込んだ描写があっても良かったか。そのエンディングもハッピー・エンドと受けとって良いものか微妙である。

ともあれハンク役のビリー・ボブ・ソーントンとレティシアを演じたハル・ベリー、この二人の演技は重厚で良かったし、ハンクの父親を演じたピーター・ボイルの憎々しさ、出番僅かながらヒース・レジャーもソニー役を好演。ハル・ベリーはこの作品で黒人女性として初のアカデミー主演女優賞を受賞。これは歴史的快挙と言えよう。
『チョコレート』(2001)_e0033570_2116324.jpg
女性層をターゲットにした如何にもの邦題が付けられているのだが(原題は”Monster’s Ball”、死刑執行前日に行われるパーティーの意)、お洒落なラブストーリーを期待するとそのあまりの重たいテーマに打ちのめされるだろう。
ただ「18歳未満入場不可」となっていたのは驚き。さほど過激なセックス描写とも思われないのだが・・・。
監督はマーク・フォスター。
Tracked from UkiUkiれいんぼーデイ at 2007-10-10 15:15
タイトル : チョコレート
タイトルから連想する甘い話しではありません。 これ、原題は『Monster’s ball』(化け物の夜会)・・・意味は死刑囚棟の看守たちが、執行の前夜に開くパーティを意味します。 人種差別、白人至上主義、女性蔑視・・・そんな嫌な男ハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)。 父親バック(ピーター・ボイル)の代から看守をしている。 自分の息子ソニー(ヒース・レジャー)も看守になったばかりだった。 しかしソニーは祖父や父親とは違っていた。 思いやりがあり、心の優しい青年だった。 父親...... more
Tracked from BLACK&WHITE at 2007-10-13 22:57
タイトル : チョコレート
【MONSTER'S BALL】2001年/アメリカ 監督:マーク・フォスター   出演:ハル・ベリー、ビリー・ボブ・ソーントン、ヒース・レジャー、ピーター・ボイル 山場になるようなところが数々現れるのになぜかずっと静かな雰囲気が漂っている。 死刑執行、自殺、事故死...... more
Tracked from ジフルは映画音楽札幌グル.. at 2007-12-12 02:28
タイトル : チョコレート:映画
今回紹介する映画は、ハル・ベリーが、アカデミー最優秀主演女優賞を受賞した作品『チョコレート』。 まずはストーリーから・・・ 保守的なアメリカ南部、ジョージア州のある町。 黒人に偏見を持つ刑務所の看守ハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)と、そこで処刑された死刑囚の妻だった黒人女性、レティシア(ハル・ベリー)が出会う。 それぞれ息子を亡くした2人は、その穴を埋めるかのようにお互いを求め合い始めるが、レティシアは、ハンクこそ自分の夫の死刑を執行した男だと知らない…。 それでは感想を・・・... more
Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2009-04-07 20:36
タイトル : チョコレート
 『たかが愛の、代用品。』  コチラの「チョコレート」は、ハル・ベリーがアカデミー賞主演女優賞を受賞したR-18指定のヒューマン・ロマンスです。実は、この映画再見なのですが、以前にこの映画を観た時はまだヒースクリフ様にハマってなかったので、彼の30回目のバー....... more
Tracked from Addict allci.. at 2009-07-18 05:17
タイトル : チョコレート
たかが愛の、代用品。 ... more
Tracked from シネマな時間に考察を。 at 2010-04-19 16:38
タイトル : 『チョコレート』
たかが愛、されど愛。 ビターな愛のチョコレートは溶け合い・・・ 『チョコレート』 原題:Monster's Ball 2001年 アメリカ 113min 監督:マークフォスター 出演:ハル・ベリー、ビリー・ボブ・ソーン [story] 11年間服役していた死刑囚の夫がいよいよ刑に処され... more
Commented by ジュン at 2007-10-13 23:06 x
エンディングが微妙なんですよね。
許したのか許してないのかハル・ベリーの表情があまりにもうまい!
死刑や人種差別という重いテーマがからむので
スッキリしない何ともいえない気持ちが絶えず胸の中にわいていたんですけど
本当に見応えのあるドラマでしたね。

あのぉ・・・・エクスカリバーさんはこれ過激だと思いませんでした?
一人で見る分にはいいんですけど家族揃っての観賞なんかだったら
例のハードなシーンにはちょっと気まずくなりそうな雰囲気が(^^;;;あは
Commented by odin2099 at 2007-10-14 08:12
このまま二人が添い遂げていくのか、というと微妙な終り方でしたね。
そのあたりは観客の判断に委ねられているということなんでしょうけれど。

えーと、過激かと言われると、うーん・・・。
確かに家族で見るのは気まずいでしょうね。
といって、そもそも家族団らんで見る作品なのかなぁという気もします(苦笑)。
by odin2099 | 2007-10-08 21:17 |  映画感想<タ行> | Trackback(6) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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