【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『ベオウルフ』(2005)

ロバート・ゼメキス監督作品と競作となったものの、こちらは一足お先に完成。
『オペラ座の怪人』主演以降、一気にブレイクしたジェラルド・バトラーがタイトルロールのベオウルフ役を演じるとあって、日本でも公開嘆願の署名運動がなされていたが、結局は劇場公開は果たせずDVDでのリリースとなってしまった。

カナダやアイスランド、イギリス等々での雄大なロケーションを施した作品だけに、是非とも劇場の大スクリーンで堪能したかったものだが、日本では原典のベオウルフの伝説そのものの知名度は低く、ジェラルド・バトラーの名前だけではまだ客は呼べないと判断されたのだろうか。ともあれ、リリースされたことだけでも感謝すべきかも知れない。

共演はサラ・ポーリーと、最近では『キング・アーサー』や『エクソシスト・ビギニング』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズに出演するなど、ジャンル系俳優になりつつあるステラン・スカルスゲルト。
脚本・監督はストゥーラ・ガンナーソン。

e0033570_2023684.jpg物語はベオウルフ伝説の前半、若き日のグレンデル殺しに絞ったもので、後半部分のドラゴン退治までをまとめたゼメキス監督版とは好対照。
また、ゼメキス版では作品全体のキーポイントとなっているグレンデルの母も、原典通り終盤に登場するだけである。

グレンデルとフロースガール王との間に、おそらく原典にはない因縁話を設定したのはどちらの作品も同じだが、その中身はまるで別だし、そもそも怪物、化け物と謗られるグレンデルだが、こちらの作品では並の人間よりは大きいものの、取り立てて特殊な能力は持たない憐れな巨人として描写されているのが特徴だ。
原題が”Beowulf & Gendel”となっていることからもわかるように、ベオウルフだけではなくグレンデルにもかなりの比重が割かれているのである。

原典では一晩目でグレンデルを倒し、翌晩に現れたその母をもすぐに退治してしまうので、ベオウルフ一行の滞在日数は意外に短いのだが、それでは映画にはならないと見てか、なかなかグレンデルはベオウルフを襲わず、引き伸ばしを図っている。
そこで前述の王とグレンデルとの因縁話や、オリジナルキャラクターの魔女セルマとベオウルフとの交流などを盛り込んでいるが、それは致し方ないところだろう。何せ原典のベオウルフは女っ気がまるでなく、金銀財宝にもこれといって執着を見せることもない些か面白みのない人物。それでは映画としては華やかさに欠ける部分があるのは否めない。
逆にゼメキス版ではごくごく普通に”英雄色を好む”的な脚色が施されてしまっているが。

という訳で、同じ題材を扱いながらもかなり色の違う作品が出来たことは見比べる楽しみもあって良い。
正統派の英雄伝説がお好みならば本作、物語に一捻りが欲しいというのならばゼメキス版という具合に棲み分けが可能である。更に変化球をお望みならば、クリストファー・ランバートが主演したSF仕立てのものもあるが、残念ながらどの作品も決め手を欠いている。というよりも、日本人にはなかなか馴染めない題材なのかも知れない。
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by odin2099 | 2007-12-02 20:24 |  映画感想<ハ行> | Trackback(8) | Comments(2)
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Commented by くまんちゅう at 2007-12-02 21:54 x
TB有難うございました。
こちらにもらえるとは嬉しいです。原典を知っている人に出会えると言うのもまた楽しいですね。
見比べるとかなり違ってましたが主演背景はこちらの方が好きです。
作りが地味になっちゃったのが残念でした。
Commented by odin2099 at 2007-12-03 21:56
どちらが面白いかと問われると難しいのですが、どちらが好きかと問われればこちらでしょうかね。
ロケーションはなかなか美しかったですし、CGアニメ化されたベオウルフよりも、ジェラルド・バトラーの方が格好良いし(笑)。
ただ金掛かってそうなのは(苦笑)あちらですし、ハッタリ効かせてる分楽しめるのもやっぱりあちらでしょうかね。

原典はそれほど詳しくはないのですが、以前から中世騎士物語が好きだったのでチェックだけはしていました。
史劇、ファンタジー系の映画が沢山作られている昨今ですが、いよいよ残るはシャルルマーニュ大帝、「ローランの歌」あたりの映画化でしょうかね。

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