【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『十二人の怒れる男』(1957)

父親殺しで起訴された少年の裁判が行われた。集められた証拠や証言は少年に圧倒的に不利であり、評決は速やかにまとまるものと思われたのだが、一人だけが無罪を主張する。審判には十二人の陪審員全員の一致が必要だが、彼は提出された証拠や証言の疑わしい点を熱意を持って語り始める。やがて一人、また一人と他の陪審員たちの票が揺れ動いていく・・・。

高校時代に友人何人かと「映画ベスト10」を選びあったことがあり、その時にこの作品を1位に推したヤツがいた。当時の自分は「アニメ」と「怪獣映画」オンリー(ではないものの、それが中心)だったし、他の何人かもそんなラインナップだったので、そいつのことが妙にインテリに思えたのだがその時に「一体どんな作品なんだろう」と興味を持ったのが最初である。結局この作品を観たのはそれから何年も経ってからなのだが、頭のどこかにずっと引っ掛かっていて、実際に観た時は兎に角圧倒された。

e0033570_0175180.jpg映画の大半は裁判所の一室のみを舞台とし、互いに素性を知らない男たちが狭く暑苦しい一室に閉じ込められ、時には冷静に、時には激昂しながら議論を繰り広げる中で、徐々に自分たちが纏っていた仮面を剥ぎ取られ、本当の姿を曝け出す羽目に陥るという人間ドラマ。実は少年が有罪か無罪かということはどうでも良く、集められた男たちの内面を抉り出すのが主眼だ。
マーティン・バルサム、ジョン・フィードラー、リー・J・コッブE・G・マーシャル、ジャック・クラグマン、エドワード・ビンズ、ジャック・ウォーデンヘンリー・フォンダ、ジョセフ・スィーニー、エド・ベグリー、ジョージ・ヴォスコヴェック、ロバート・ウェッバーら十二人の陪審員を演じる役者たちの熱演もあり、密室劇でありながら一瞬も気を抜くことのない緊迫感溢れる傑作になっている。

最近DVDを購入したので久々に観直してみたのだが、相変わらず色褪せることのない名作だ。しかも今回は搭載されてる日本語吹替版を選んだのだが、やはりこの手のディスカッションドラマの場合吹替版の収録は嬉しい。以前よりも細部にわたって楽しむことが出来た。
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by odin2099 | 2008-01-31 00:19 |  映画感想<サ行> | Trackback(6) | Comments(6)
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タイトル : 十二人の怒れる男
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Tracked from 映画鑑賞★日記・・・ at 2010-07-20 23:26
タイトル : 十二人の怒れる男
【12 ANGRY MEN】 1959/08公開 アメリカ 95分監督:シドニー・ルメット出演:ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、エド・ベグリー、マーティン・バルサム、E・G・マーシャル17歳の少年が起こした殺人事件に関する陪審員の討論が始まる。誰が見ても有罪と思えた状況で、....... more
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タイトル : 十二人の怒れる男
2011年6月11日(土) 15:30~ TOHOシネマズみゆき座 料金:1000円 十二人の怒れる男 [DVD]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパンメディア: DVD 『第二回 午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本』公式サイト TOHOシネマズの『午前十時の映画祭 何度見てもすごい50本』の赤の50本のひとつ。 大昔、テレビで観た。 面白いなと思ったが、再見しても面白かった。 そして、ロシアでのリメイク作品より面白かった。 あちらはかなり長い...... more
Tracked from いやいやえん at 2011-12-20 09:01
タイトル : 十二人の怒れる男
オリジナル、ヘンリー・フォンダ版です。ロシア製作の映画版も面白かったですが、こちらを見たことがなかったので見ることにしました。 見ているこちらもむせ返るような暑さが感じられる作品でした。陪審員制度のディスカッションのなか、その暑さが議論の熱さにもなっていく様が描かれています。 これはもう最初から画面に釘付けだったなぁ。モノクロだというのも迫力があって、しかもテンポ良く進むのだから、だれることもない。 11人が有罪としたとき、たった1人がだした答えは無罪。理由は「話し合いもせず青年の生死を...... more
Tracked from 迷宮映画館 at 2012-02-13 13:27
タイトル : 12人の怒れる男
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Commented by samurai-kyousuke at 2008-02-02 11:50
名画ですよね。ヘンリー・フォンダは静かなる熱演という感じでしょうか。
こういう人が大統領になったらアメリカも変わりそうです。(笑)
Commented by odin2099 at 2008-02-02 22:32
ヘンリー・フォンダは屁理屈をこねてるだけだ、という意見もあるようですが(苦笑)、自分の意見をきちんと持ち、多数に流されずにそれを堂々と主張する勇気は学びたいですね。
常にそれが正しいとは限らないですが。
それに理路整然と、冷静に自説を主張しながら、それが過ちであると気付くや潔くそれを認めるE・G・マーシャルの姿勢も尊敬に値すると思います。
Commented by 奈緒子 at 2008-02-13 15:15 x
私も名画だと思います。
この被告が有罪か無罪かはわからないってところもポイントですよね。
観る側も、陪審員の一人になっているような感じになります。
Commented by odin2099 at 2008-02-13 22:47
>奈緒子さん

議論を続ける内に証言や証拠のあやふやさが浮き彫りにされていく。
「疑わしきは罰せず」という観点からすれば、被告が無罪になるのは当然とも言えます。
ただそれは、あくまでも陪審員たちの間に存在する「事実」なわけで、本当のところはわかりませんよね。
提示された情報からどういう結論を導き出すのか。
観客一人一人がそれを問われている感じです。
Commented by sakurai at 2012-02-13 13:26 x
なるほどねえ、吹き替えで見る!という手もあるわけですね。
この午前十時の映画祭。。。いろいろあって、(お世話になってる映画館のライバルでやってるもんで、大手をふっていけない・・)いきづらいのですが、どうしても見たいのだけ厳選しております。
これも何回見たかわかんないくらい見たのですが、どうしてもまた見たくなる。
これは度派手な映像とかないんで、スクリーンじゃなくても充分だったのですがね。
ヘンリー・フォンダのスマートさを堪能させていただきました。
Commented by odin2099 at 2012-02-13 23:08
舞台も見に行きましたが、英語のヒアリングが出来ないもんで、この丁々発止のやり取りを日本語で堪能できるということでも吹替版は良かったです。
しかもベテラン中心の安心出来るキャスティングでしたから。

最近TVドラマとしてリメイクされたヴァージョン(ジャック・レモンが主演)もようやくDVD化されましたが、これもなかなか良い出来ですので、機会があればそちらも是非ご覧ください。
多分TSUTAYAならレンタルしているはず?

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