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『コンゴ』(1995)

『コンゴ』(1995)_e0033570_22344859.jpg米国の通信会社トラビコム社は、ダイヤモンドを利用したレーザー光線によってレーザー産業の独占を狙い、アフリカの奥地にダイヤ鉱山を求めて調査隊を送り込んだ。しかしダイヤ発見の一報の後に調査隊は消息を絶ち、企画のスーパーバイザーであるカレンが極秘に現地に派遣されることになった。
同じ頃霊長類学者のピーターはゴリラのエイミーに手話を教え、コミュニケーションを取ることに成功していたが、日毎悪夢に悩まされるエイミーのことを思い、故郷へ帰そうとしていた。そんな彼の元に自称”慈善家”のホモルカという男が接近し、資金の提供と旅への同行を申し出る。ところが間際になって資金不足が発覚し、あわや出発は中止かという事態に陥るが、そこにカレンが現れて費用を払い、その見返りとして便乗させてもらうことになる。
政情不安定な現地に着いた一行は更なるトラブルに見舞われるが、ガイドのモンローの助けもあり、奥地へ奥地へと進んでいく。その途中、ホモルカが、実は伝説の都市”ズィンジ”を探す探険家だという正体が発覚する。”ズィンジ”にはソロモン王の為のダイヤ鉱山があり、その鍵をエイミーが握っていると確信していたのだ。
故郷を目の前にして興奮を隠せないエイミーに導かれるように、各人の思惑を秘めた旅は続いていくが、その前途には恐るべき苦難が待ち構えていた・・・。

マイクル・クライトンの『失われた黄金都市』を映像化した秘境冒険モノで、ハイテクを装備し手話の出来るゴリラをパーティーに参加させるあたりがクライトン流だ。
原作が発表されたのは1980年で、最初はクライトン自身が映画化を画策。その後は製作スティーブン・スピルバーグ、監督ブライアン・デ・パルマというコンビで練り直され、更にはストーリー作りで難航していた<インディ・ジョーンズ>3作目用にクライトン自身がストーリーの改定を申し出たこともあったようだが、オリジナル・ストーリーに拘った御大ジョージ・ルーカスが拒否したという経緯もあったらしい。
結局はスピルバーグ一家のフランク・マーシャルが、パートナーのキャスリーン・ケネディをプロデューサーにして監督することになった。

小説は大変面白く読んでいたので映画化は楽しみだったのだが、どういう訳か観ている途中で物語に付いて行けなくなってしまった
原作はフィクションとノンフィクションの境界を曖昧にするというお得意の手法で書かれているので、そのままではなかなか映画にし辛い。そこで色々と映画ならではの改変は施されているのは承知の上だし、大筋は原作に沿っているにも関わらず、である。

『コンゴ』(1995)_e0033570_22352217.jpgそれは改変のポイントがズレてるとしか思えないからで、原作にはないアフリカの政情問題なんぞに時間を割くくらいならば、もっともっとゴリラのエイミーに時間を割くべきである。それにせっかく古代の都市の遺跡が出てくるのに、どんな文明だったのかは見せず仕舞い。これでは欲求不満になってしまう。ノースター映画なので次は誰が襲われるのかというサスペンスは盛り上がるのだけれど、全体に緊迫感が持続しないのも頂けない。マーシャル監督には悪いが、もしこれがデ・パルマの監督作品であったなら、とついつい夢想してしまう。
ローラ・リニー、ディラン・ウォルシュ、アーニー・ハドソン、グラント・ヘスロフ、ティム・カリー、ジョー・ドン・ベイカー、ブルース・キャンベルといった通好みのキャスティングや、せっかくのジェリー・ゴールドスミスのスコアも勿体無い限り。
尤もあれから十年以上経ち、原作の細々したところも忘れているし、劇場の大スクリーンではなく家でのんびりとDVD鑑賞している分には決してつまらないという訳ではない。当時は期待が大きすぎたということもあったのだろう。
Tracked from mama at 2008-02-02 23:02
タイトル : コンゴ
1995年:アメリカ 原作:マイケル・クライトン 監督:フランク・マーシャル 出演:ローラ・リニー、ディラン・ウォルシュ、アーニー・ハドソン、ジョー・ドン・ベイカー、ティム・カリー アフリカ奥地で、レーザー通信の核となるダイヤモンドの鉱脈を調べていたトラ...... more
Commented by mama at 2008-02-02 23:08 x
そんな映画化の経緯があったのですね。
いまいちテーマがぼやけてしまっていて、
エイミーもあまり活かされていなかったと思います。
ブライアン・デ・パルマ監督で観てみたかったですね〜(^^;;

Commented by odin2099 at 2008-02-02 23:59
原作ではエイミーが中心になっていますね。
映画ではエイミーを自然に帰すところで終っていますが、原作では「その後」も描かれています。
まぁ自分も細かいところは忘れちゃったので(苦笑)、そのうち読み直してみようと思っているのですが、mamaさんも興味をお持ちならばご一読下さい。
少なくても映画に抱いた不満点の多くは解消されるのではないかと。
by odin2099 | 2008-02-02 22:43 |  映画感想<カ行> | Trackback(1) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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