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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『海底軍艦』(1963)

物語は、12000年前に太平洋に没したと伝えられる伝説の大陸にあって繁栄を極めていたムウ帝国が、未だ海底で健在であり、再び地上に覇を唱えんと行動を開始するところから始まります。
そのムウ帝国が恐れている存在なのが、海底軍艦”轟天号”。それは第二次大戦末期に叛乱を起して消息を絶った、旧日本海軍の神宮寺大佐らが密かに建造した陸・海・空を制した万能戦艦なのです。この全世界の危機を前に国連の依頼を受けて、海運会社の専務・楠見が密かに神宮寺大佐と接触し、海底軍艦の出撃を要請するのですが、先ず第一に大日本帝国の再興を望む神宮寺大佐は、元上官である楠見の頼みを跳ね除けます。しかし生き別れとなっていた娘の必死の説得を受け、更にその娘がムウ帝国に拉致されたことにより、遂に轟天号はムウ帝国撃滅の為、出撃するのです!

e0033570_22322346.jpg押川春浪の小説『海底軍艦』を基に関沢新一が脚本化し、特技監督に円谷英二、音楽に伊福部昭を擁し、本多猪四郎が監督した東宝特撮黄金期の傑作です。もっとも明治時代に書かれた『海底軍艦』の原作に出てくるのは、空も飛べる轟天号ではなく「電光艇」という特殊潜水艦で、戦う相手もムウ帝国ではなくロシアか何かのようですから、題名だけを借りた全くのオリジナル作品だと言った方が良いでしょう。原作に忠実に作ったならば、かなり地味な作品になったでしょうね。戦争中に「戦意高揚」を目的に作るのであれば、それもありだとは思いますけれども。

この作品、製作期間が短かったことでも知られておりまして、実質2ヶ月程度で撮られたようです。それでいながらこれだけのボリューム、クオリティ! 黄金期の日本映画界のパワーは素晴らしいものがありますな。今ではちょっと無理でしょうね。
そのせいもあるのか、色々と細かい突っ込みどころもなくはないのですが、轟天号の格好の良さが全てを帳消しにしてくれます。発進する過程も円谷特撮はじっくりと見せてくれ、これに伊福部メロディーが見事にはまっています。

そしてそれを率いる神宮寺大佐というキャラクターの魅力!
出番は後半からなのですが、演じる田崎潤の個性もあって、出てきた瞬間に他のキャラクターを全て霞ませてしまうほどです。
実際、物語の主人公はカメラマン役の高島忠夫と神宮寺の娘役の藤山陽子で、他にも藤木悠、小泉博、佐原健二、平田昭彦ら主役クラスの役者さんが大勢いるのですが、神宮寺の印象度は他の追随を許しません。せいぜい上原謙が演じる楠見元少将ぐらいでしょうかね、ポジションを失わずに済んだのは。もっともこの人がいないと、お話は先に進まなくなっちゃうのですが・・・。

唯一、神宮寺に対して異なった魅力を発揮していたのは、小林哲子扮するムウ帝国皇帝陛下でしょうか。
年齢不詳、妖艶さの中にどことなくあどけなさも併せ持つ気品ある美女で、出番も少なく、キャラクター描写もあまりないのですが、かえって神秘性を高めているように思います。また神宮寺の合わせ鏡のような立ち位置なのもファンから支持される所以でしょうか。

SFというよりも”架空戦記モノ”に近い作品ですが、今だからこそ受け入れられそうな作品のように思います。
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by odin2099 | 2008-02-14 22:33 |  映画感想<カ行> | Trackback(4) | Comments(4)
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水面に浮上し、そのまま空中へ浮遊する轟天号、東宝特撮映画史上屈指の名場面ですよね〜。
Commented by odin2099 at 2008-02-17 21:56
ホント、格好良いですよね、轟天号。
でも良く考えると、この作品で空を飛ぶ必然性ってないような・・・?(苦笑)
Commented by スーパーモグラス at 2010-01-24 06:09 x
海底軍艦はリバイバル上映で、十代半ばで見た。轟天号のカッコよさに魅了されてしまったのかその後、サンダーバードのジェットモグラやキングモグラスのプラモデルなどを買って作った。ただこの二つとも苦労させられた。キングモグラスは見る前ではあったが。やはりドリル物は童心をひくか・・・いま作っているシンセサイダーの曲もそれらに影響を受けていると思う。・・・しかしこのサイトで見ると、デザインが小松崎茂さんということなので、あのプラモデルの箱もそうなのかとも思う・・・?まあそれにしても懐かしい作品ではある。
Commented by odin2099 at 2010-01-24 18:56
コメント、有難うございました。

ウルトラ警備隊のマグマライザーとか、男の子はドリル物が好きな気がします。
この作品の轟天号もご多分に漏れず、というところでしょうか。

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