【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『死海殺人事件』(1988)

『オリエント急行殺人事件』から始まる、豪華キャストでアガサ・クリスティーを映画化しようという企画の一本で、権利がキャノン・フィルムに移ってからは『ドーバー海峡殺人事件』に続く2作目。
原作は『死との約束』で、ピーター・ユスティノフ『ナイル殺人事件』『地中海殺人事件』に続いてエルキュール・ポワロを好演。
製作総指揮がメナハム・ゴーランとヨーラム・グローバスのコンビ、脚本はアンソニー・シェーファー(!)、ピーター・バックマン、それにマイケル・ウィナーの連名、音楽がピノ・ドナジオ、そして製作・監督はマイケル・ウィナー。
原作ファンからすればユスティノフのポワロ像には違和感タップリかも知れないが、TVドラマでも何本か演じている(『エッジウェア卿事件』『三幕の殺人』『死者のあやまち』)ことを考えれば、これはもう当たり役。
ただおそらくこの作品が、ユスティノフ最後のポワロだろう。

e0033570_23371548.jpgアメリカ有数の大富豪ボイントンが亡くなり、遺書が公表された。それによると全財産は後妻であるエミリーが相続し、彼女の死後に4人の子ども(先妻との間にレノックス、キャロル、レイモンドの3人、エミリーとの間にジネブラの1人)に分け与えられることになっている。実は死の直前に、エミリーと4人の子どもに均等に分配されるように遺書は書き換えられていたのだが、顧問弁護士コープの弱みを握るエミリーがそれを処分させて全てを手に入れたのだった。かくして4人の子どもと長男の嫁ナディーンを連れ、世界各地を廻る旅行へと出発するエミリー。
レノックスとナディーンの夫婦は上手くいっておらず、ナディーンはコープと不倫の関係にあり、レイモンドは旅先で若く美しい女医サラと出会って恋に落ちるが、他人との関係にも干渉してくるエミリーの存在は邪魔だった。
また子ども達は遺書が書き換えられていたことを薄々察し、高圧的に家族に君臨するエミリーへの不満は高まり、中にはハッキリと殺意を口にする者も。
そして事件は起きた。聖地エルサレム滞在中に、エミリーが毒殺されたのだ。
旅の道連れとなり、エミリーと口論していたウェストホルム卿夫人や、コープと惹かれあうようになった考古学愛好家のクィントンを含め、誰もが動機を持っていた。
一行に同道していたエルキュール・ポワロが、真犯人解明に乗り出す・・・!

ポワロに事件解決を依頼する旧友カーベリー大佐にジョン・ギールグッド、犠牲者となったエミリーにパイパー・ローリー、以下容疑者となったのはローレン・バコール、キャリー・フィッシャー、ジェニー・シーグローブ、デビッド・ソウル、ヘイリー・ミルズ、ニコラス・ゲスト、ジョン・ターレスキー、ヴァレリー・リチャーズ、アンバー・ベゼルという具合に、キャノン・フィルム末期の作品ということもあるのか、総じてキャストは小粒。

ポワロは終始余裕綽々に構えていて、勿体つけることしきり。画面にも華やかさが感じられず、謎解きの妙もない凡作で、犯人の正体や動機にも伏線らしい伏線が張られていないのでかなり唐突に映る。
1時間43分というランニングタイムの作品だが、もうちょっと時間は有効に使って欲しいものだし、逆に2時間クラスの作品にしてそれぞれのキャラクターをもっとしっかり描写して貰いたかったものである。
このあたりがキャノン・フィルムの限界だったのかも知れないが。
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by odin2099 | 2008-09-17 23:39 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)
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