【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『オーディーン/光子帆船スターライト』(1985)

『宇宙戦艦ヤマト/完結編』直後から、西崎義展プロデューサーは再三「ヤマト」の復活を試み、最初に立ち上げた企画が『キング・オブ・デスラー』。「ヤマト」の人気キャラ、ガミラス星のデスラー総統を主人公にした作品で、これは翌84年夏に公開と発表するも頓挫。

続いて84年夏になって新作『光子帆船スターライト』なる企画を発表、合せて「アニメ3年計画」というものを打ち出し、第1弾が『キング・オブ・デスラー』、第2弾が半村良を原作に頂いた『妖星伝』、そして第3弾が『ヤマト誕生編』?!

これは後に「アニメ復活三カ年計画」もしくは「ヤマト復活三カ年計画」と名前を変え、第1弾が『光子帆船スターライト』、第2弾が『デスラーズ・ウォーI/戦艦スターシャ』、第3弾が『宇宙戦艦ヤマト/誕生編』(或いは『宇宙戦艦ヤマト/復活編』)と改められた。
『デスラーズ・ウォー』は「1」とあるように、何部作かの予定だったようだ。

この内、実現したのは『光子帆船スターライト』のみ。
e0033570_2040957.jpg題名は『オーディーン/未知への冒険2099』と変更されたが、公開直前に『オーディーン/光子帆船スターライト』へと再変更。それがこの作品なのである。
「夢よもう一度」とのプロデューサーの想いを乗せた、事実上の「ヤマト」リメイク作品だ。

ところが公開前にプロデューサーが強調していたのは、如何に「ヤマト」とは違うのか、という点。
曰く、『ヤマト』は200年未来の物語だが『オーディーン』は100年先である。
曰く、『ヤマト』は軍艦だが『オーディーン』のスターライト号は商船で非武装である。
曰く、『ヤマト』ではワープを使ったが『オーディーン』では重力遮断航法を採用する。
曰く、『ヤマト』はジャズを基調としたシンフォニーだが『オーディーン』はハードロックである、等々。
しかし違いを強調すればするほど、逆にその類似性が浮き彫りになるという結果となってしまった。

100年先、200年先という時代の差は映像では感じ取れず、太陽系外にも進出し始めている「ヤマト」世界に対し、こちらの世界では木星までしか人類の手は伸びていないという設定だが、ワープ航法に変わる重力遮断航法を使えば外宇宙へ飛び立てるというのであれば、結局は同じことである。
戦艦ではないスターライト号だが、途中で武装強化し、特に艦首に電子スクレーパー砲を装備するにいたっては、絵的には波動砲と何ら変わるところはない。
主題歌にラウドネスを起用したのは目新しく、天野正道らが組んでいた音楽ユニットTPOを参加させたのも新しい試みと言えなくもないが、音楽そのものを担当しているのはお馴染みの宮川泰と羽田健太郎のコンビ。これは正しく「ヤマト」の延長線上にあるものである。ついでながら、SE(効果音)も「ヤマト」から大量に流用されているので、「音」の面からすれば差異は殆どないと断言しても良い(キャストも「ヤマト」縁の人物が何人かキャスティングされている)。

メインスタッフも「ヤマト」シリーズを長く手掛けてきた人が多く、先に紹介した『宇宙空母ブルーノア』でもそうなのだが、「ヤマト」と違う違うと言うのであれば、もっと表面的な、素人でもわかる部分を変えるのが手っ取り早いと思うのだが、そうはしなかったということは前述した通り「夢よもう一度」の想いが強かったとしか言いようがない。

元々はTVシリーズ企画を転用したものだとはいえ、ストーリーは旅の途中で終ってしまうし、相変わらず船長(艦長)は途中で戦死するし、製作が間に合わなかったのか、公開途中でフィルムに手が加えられていたようだし、作品の出来も決して褒められたものではなかった。
興行的にも惨敗だったようで、肝心の「ヤマト」復活まで持っていくことは出来なかったのである。
これならば小細工せず、最初から「ヤマト」復活を前面に押し出して行った方が良かったのではないかと思うのだが、意地というか、欲というか、何か色気があったのかも知れない。
もっとも「ヤマト」を意識せず(知らず)に観ている分には、それなりに評価すべきポイントはあるかと思う。
作画のクオリティの高さ、構図やレイアウト、それらを含めた演出面、それにストーリー展開に余裕を持たせた脚本(「ヤマト」の場合は常に詰め込みすぎで、それを途中で刈り込んでいくため説明不足なシチュエーションや、説明過剰な台詞が散見される)は、「ヤマト」にはない魅力だ。

ところで「ヤマト」の製作体制やプロデューサーに関しては批判的な意見も多く、途中で作品を去ったスタッフも少なくない。また近年は表立って批判的意見を述べている人もいるのだが、何故かそれらのスタッフの何人かはそのまま『オーディーン』に参加、もしくは復帰しているのは謎である。
また最終的にクレジットからは削られているものの、初期段階では「松本零士」の名前もあり、これら人間模様の裏側も興味深いものがある。
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by odin2099 | 2008-09-20 20:43 |  映画感想<ア行> | Trackback(1) | Comments(4)
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Tracked from ぼやき部屋 at 2010-07-05 17:35
タイトル : 裏レビュー@オーディーン/光子帆船スターライト
「オーディーン」は、知ってるだけで見ていなかった作品。西崎氏が「ヤマト」の後に作ったということで、気になってはいたのだけど、気になりつつも未見のまま過ごして来てしまい、ようやく相方さんのご厚意で見ることができました。ありがとう〜! スタッフと声優が「ヤマ....... more
Commented by Brian at 2008-09-21 06:49 x
先日観た、某映画のラストシーンのようですね。(笑)

ファンが望むものと作り手側とのギャップの差でしょうかね・・・。
おいらも観に行く気は無かったし。
さてさて、この歴史を考えると、本当に「ヤマト」復活は成功するのかな?
Commented by odin2099 at 2008-09-21 08:18
スターライト号の航行シーンは綺麗だし、好きか嫌いかと言われれば「好き」な作品なんですけどね。
ヒロインのサラ・シアンベイカーには当時「萌え」ましたから(爆)。
このキャラ、『ヤマトよ永遠に』のサーシャ(真田澪)を気に入った西崎Pが、同じデザイン、同じ声(潘恵子)で再現したものなんですよね。
もっとも性格などは別人といっても良さそうだけど。

ただ作品が面白いかどうかは別物。
色々と持っていきようはあったかと思いますが、根本的には「驕り」があったんじゃないんでしょうかね。
Commented by しゅう at 2008-09-21 12:25 x
 某映画のラストを観たとき、私も真っ先にこの作品と、宇宙からのメッセージを思い出してしまいました(笑)。
 昔は戦艦が飛んでることだけでも驚いたけど、帆船だと宇宙空間
では耐久性が無さそうで(笑)・・・。
Commented by odin2099 at 2008-09-21 12:58
イメージ的には繋がりますけど、この作品といい、『宇宙からのメッセージ』といい、そんなに知名度の高い作品だったのかー?!(爆)

・・・ダレもディズニーアニメの『トレジャー・アイランド』には触れないのかな(苦笑)。

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