【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『アリオン』(1986)

アニメーター・安彦良和が、初めて描いた連載漫画を自らの手で映画化した作品。
徳間書店が『風の谷のナウシカ』に続いて製作した、長編アニメーション映画の第2弾(『天空の城ラピュタ』は3作目)。製作母体は、初監督作品だった前作『クラッシャージョウ』と同じくサンライズ。スタッフにもお馴染みの顔触れが並んでいる。
音楽担当の久石譲だけは『ナウシカ』からの連投で、独立した作品として楽しむ分にはかまわないのだが、『ナウシカ』と続けて聴くと似たフレーズが耳につく。この傾向は久石の次回作『ラピュタ』へも持ち越され、残酷な言いかたをするならば作曲家としての引出の大きさを問われることになっている。

e0033570_2133254.jpg「昔、神と人が分かたれる以前(まえ)」というのがコピーにひとつだが、ギリシャ神話に材を採りながらも神々の話にはならずに「人」の物語になっているのが特徴。ヒロイック・ファンタジーというよりも史劇といった趣きである。
ただし複雑な人物関係が絡み合い、単行本にして4巻に及ぶ長大なストーリーを2時間弱でまとめるのはいささか無理があったようで、夫々のキャラクターの掘り下げが足りずに魅力を損ねた面があるのは残念。
その反面、原作よりも端的に人物関係が浮かび上がって、よりキャラクターの配置が見えやすくなっているという利点もある。これは第三者的立場で構成として参加したSF作家・川又千秋の功績だろうか。原作を知ってからでは感激が薄れるという部分もなきにしもあらずだが、それを補って余りある映画としてのパワーもあり、金払って見る価値はある作品だ。

ちなみに当時「(有楽町)マリオンで『アリオン』を見よう!」と言う合言葉(?)もあったが、そのマリオンでの試写会で鑑賞。
徳間康快社長や安彦監督、主題歌を歌う後藤恭子らの舞台挨拶もあったが、観客席の中に『クラッシャー・ジョウ』の高千穂遙を発見。指定席ではなく一般席だったので好感が持てた。
「しねま宝島」より転載。
この作品は、生まれて初めて試写会で観たという想い出の作品。
原作は知らずに観たのだけれども、2時間弱の時間でありながらしっかりと骨太なドラマが展開されていたので圧倒された覚えがある。
ギリシャ神話を、こういった切り口でアレンジしているのも斬新。ティターン族の設定が今ひとつわかりづらいが、純粋な”人”とは呼べないものの、さりとて”神”でもない、という解釈は面白い。

元々この作品、西崎義展プロデューサーの依頼によって立てたアニメ企画の一つだったそうだが、敢無く不採用。尤も”西崎印”で映像化されていたとしたら、かなり毛色の違ったものになっていたことだろう。結果的に作品にとっては幸いだったというべきか。

なお、同時期に劇場公開されていた『北斗の拳』には、何故かモブ(群集)シーンにアリオンがいる・・・!
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by odin2099 | 2008-09-21 21:33 |  映画感想<ア行> | Trackback(1) | Comments(4)
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Tracked from マー坊君の映画ぶろぐ(新.. at 2011-01-17 12:24
タイトル : アリオン
「アリオン」監督:安彦良和出演:中原茂、高橋美紀、田中真弓、鈴置洋孝、勝生真沙子、大塚周夫、小林清志、永井一郎配給:東宝 概要:人と神が分かたれる以前の時代、ティターン ...... more
Commented by よろづ屋TOM at 2008-09-22 00:30 x
原作のファンではありますが、アニメ化された時妙にアポロンがシャア的なキャラに変わっていたのが良かったのだかどうか…って友人と語り合いましたね。
安彦氏、かなり神話や古代に傾倒されてるようで、昨今の『ジャンヌ』や『イエス』などは他の作家では味わえないちょっとしたスペクタクル映画の風格すらあります。
アリオンも含めてそうした経験をいま『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でうまく開花させてるな〜と思うんですよ。お読みですか?そういえば安彦氏は宮崎 駿氏とは逆で、漫画家になるのが夢でアニメーターになったひとでしたね。
Commented by odin2099 at 2008-09-22 23:24
>TOMさん

『アリオン』に関しては映画を観てから原作漫画を読んだクチなので、逆に「なんだ、あのアポロンは?!」とか思ってしまいました。
まぁシャアというか、同時期のクワトロ・バジーナですよね、あれは(苦笑)。

他の作品ではきちんと読んだのは『ナムジ』くらいでしょうか。
あと『ヴィナス戦記』もちょこちょこ読んでますけど、絵は好きなんですけど「漫画家・安彦良和」は必ずしも好きな作家じゃあないですねぇ。
『ガンダム』も単行本でいうところの3巻の途中くらいまでしか読んでいないはずです。
相方さんは追いかけてるはずで、本家サイトにもレビューがありますです(笑)。
Commented by はぎお at 2008-09-23 23:20 x
あー懐かしいですね。確か映画館に観に行きました。
当時購入していたアニメ雑誌で連載されていた記憶があるんですが・・・ほとんど覚えてないです(苦笑)
確かに、西崎Pで製作されていたら・・・それはそれで面白そうですが(笑)
Commented by odin2099 at 2008-09-24 23:21
厳密に言うとアニメ誌ではなく、「アニメージュ」の姉妹誌「リュウ」での連載でした。
西崎Pは企画を欲しがっただけなので、もし採用したとしても安彦さんのワンマン作品にはならなかったでしょうね。
でも自ら「企画・原案・製作・総指揮」の四枚看板を背負って、前面に出ることもなかっただろうなぁ(苦笑)。
TVの『宇宙空母ブルーノア』や『メーテルリンクの青い鳥』よりももっと後ろに退いて、映画の『北壁に舞う』とか『わが青春のイレブン』とか、その程度の関わりになったかもしれません・・・って、例えがわかり難いですね。。。

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