【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

『帝都物語』(1988)

帝都壊滅を目論む魔人・加藤保憲と対決する人々を描いた荒俣宏の伝奇SF小説を、勝新太郎、原田美枝子、石田純一、姿晴香、寺泉憲、桂三枝、佐野史郎、寺田農、峰岸徹、中村嘉葎雄、宍戸錠、井川比佐志、島田正吾、大滝秀治、坂東玉三郎、西村晃、高橋幸治、平幹二朗ら豪華な顔触れを揃え、実相寺昭雄が監督した作品。
魔人・加藤を演じているのは、”大型新人”として注目されていた嶋田久作で、一世一代の怪演である。

e0033570_22371658.jpg映画化が決まるまでは原作小説のことは何も知らなかったのだけれども、公開が近付くにつれ店頭には原作本が平積みされ、TVでもスポットCMが頻繁に流れるようになったので、一体どんな内容なんだろうかと気にはなっていた映画だった。
結局映画館へは行かなかったのだけれども、ビデオが出てすぐに借りて観て、そして圧倒された。
日本でもこれだけスケールが大きく迫力ある映画が撮れたんだなあ、海外の作品に比べても遜色ないねえ、などと感動したのだが、それでもストーリーのわかり辛さには閉口した。

予備知識ナシで観ているこちらが悪いのかもしれないけれど、この映画は明治から大正、昭和初期の約20年間を舞台に、多くの実在の人物を織り交ぜ、虚々実々の活躍を描いた物語。
渋沢栄一、幸田露伴、寺田寅彦、森鴎外、泉鏡花、早川徳次・・・と近現代史上の人物の名前がズラズラ出てきても、その人がどういう人でどういう意味を持ってこの物語に登場したかは兎も角として、単純に観ていて誰が誰やらわかり辛いのは頂けなかった。せめて人物名をテロップ表示するくらいの配慮が欲しかったものである。

その後、原作を読んでようやく人物の相関関係が掴め、映画は更に面白く感じられるようになったのだが、そうなると今度は映画としてのまとめ方には感心したものの、勝手なもので物語そのものと原作との乖離具合が気になったりもするようになってしまった。
ちなみに原作はこの当時、ノベルズ版と文庫版それぞれで全10巻で刊行されており(公開に合せる形で、外伝的な11巻が追加された)、映画はそのうちの1巻から4巻までをまとめている。

あれから早20年。
当時の記憶はすっかり薄れてしまった中でもう一回観て、はたして面白く感じられるものかなあと思っていたのだが、やっぱり面白い。
世紀の大傑作だと大上段に構えるつもりもなく、この面白さは多分にカルト的なものだと思うが、それでも歳月を乗り越えるだけのパワーを持った作品だ。
むしろサブカルチャーだ、トリビアだ、と騒がれる今日の方が、より受け入れやすい作品なのではないだろうか。
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by odin2099 | 2009-03-04 22:37 |  映画感想<タ行> | Trackback(1) | Comments(6)
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Tracked from 映画と出会う・世界が変わる at 2009-06-13 08:59
タイトル : 実相寺昭雄の世界■「帝都物語」を誰が受け継ぐのだろうか?
実相寺昭雄原作の映画化「希望ヶ丘夫婦戦争」について何度か書き込みをいただいた。ありがとうございます。「実相寺昭雄を受け継ぐものたち」というトークショーも非常に興味深い。とりわけ実相寺の世界を具体化した美術監督池谷仙克の話を聞けるのは素晴らしい。こういう...... more
Commented by Brian at 2009-03-05 20:00 x
こんばんわ。
このロケがあった場所も今では建物がいっぱい建ってます。
20年もの月日が流れたのですね~。
Commented by odin2099 at 2009-03-05 20:44
Brianさん、こんばんは。

この映画、確か昭島市に広大なオープンセットを組んだので話題になってましたっけ。
『帝都大戦』は佐世保市だったかな。
金掛けただけの”絵”は、しっかりとフィルムに焼き付けられていると思います。

予算がなければアイディアで勝負、が日本映画の合言葉みたいになってますが、ただケチなだけじゃやっぱりダメなんですよね(苦笑)。
Commented by cinema-can at 2009-03-08 23:34
うぁ〜、懐かしいなぁ〜!もう20年前なんですねー。
原作面白くて、文庫で10何巻読破しましたよー。
それに、私は劇場で映画も観ましたよ〜。
嶋田久作は、この時初めて見ましたが、
顔が長い人だなぁ〜っていうのが第一印象でした!(笑)
そう言えば、加藤保憲は「妖怪大戦争」にも登場してましたね。
その時は、トヨエツでしたけど・・・。

Commented by 小夏 at 2009-03-09 11:44 x
ほとんど邦画を映画館で観ない私が珍しく足を運んだ作品です。

案の定ストーリーはさっぱりだったんですが、嶋田久作さんが演じたあのキャラクターだけは強烈すぎて忘れようにも忘れられませんですよ。(まさに怪物!魔人!← 褒めてます)
なので、その後の彼の活躍度がイマイチ低めなのは、あの役がいろんな意味で凄すぎたせいじゃないかとひそかに思っとるんですが・・・、余計なお世話ですね。(^^;

ちなみに、wikiで知ったのですが「ラヴクラフト嶋田」という芸名にする案もあったみたいです。
ラヴクラフト嶋田・・・いや、方向性としてはわかんなくないんですが、こっちだったら後々バラエティ路線まっしぐら!だったかも。
Commented by odin2099 at 2009-03-09 21:26
>ルナさん

嶋田久作は映画に出る前、『帝都物語』を原作にした舞台で加藤役を演じていたと聞いてます。
僕は映画を観てから小説を読んだクチですが、最初にこのキャスティングが発表された時に、ファンはあまりにピッタリなので驚いたという話ですね。
その後『帝都大戦』やOVAの『帝都物語』でも加藤を演じて、正にはまり役でした。
『帝都物語外伝』や『妖怪大戦争』には出演してなかったのが残念です。
特にトヨエツはなぁ・・・。
Commented by odin2099 at 2009-03-09 21:48
>小夏さん

個性的過ぎる風貌ですから、役柄は狭まりますよね~。
正直言って今日まで役者として生き残るとは思ってませんでした(苦笑)。

結構意外なのはOVの『ウルトラマンネオス』で、防衛隊の隊長を演じたこと。
比較的二の線の役どころで格好良いんだな、これが。

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