【徒然なるままに・・・】

odin2099.exblog.jp

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

カテゴリ: 映画感想<ア行>( 402 )

<マーベル・シネマティック・ユニバース>の3作目にして「アイアンマン」の続編。
今のところ前の作品のラストから直接繋がっている<MCU>はこれだけ。
これから作られる「スパイダーマン」の2作目は「アベンジャーズ4」の直後から始まるという話だが、「アベンジャーズ4」がどう終わり「スパイダーマン2」がどう始まるのか、その答えがわかるのは来年の夏だ。

ただアバン部分こそ「アイアンマン」のラストシーンを引き摺っているが、タイトルクレジットが終わって本編が始まると、時間経過を置いて「6カ月後」となる。
その間にトニー・スターク自身も、彼を取り巻く環境も大きく変わり、あれ?トニーの親友ローディがすっかり別人に?!

e0033570_08223233.jpgすったもんだがあって前作のテレンス・ハワードは降板、この作品以降はドン・チードルが演じるようになったからだが、同じ黒人とはいえこの二人もまるでタイプが違う。
ブルース・バナーがエドワード・ノートンからマーク・ラファロに変わったほどの衝撃はないものの、マーベル・スタジオは代役を立てる際に元の役者に似ていることは考慮してないのかな、と思ってしまう。
これも、もしテレンス・ハワードが続投していたなら、トニーとローディの関係にももっと深みが出たんじゃないかなあと考えるとやっぱり勿体ない思いの方が強い。

今回一番の儲け役はハッピー・ホーガンじゃないかと思うけれど、色々な意味で注目なのはナタリー・ラッシュマンことナターシャ・ロマノフことブラック・ウィドウ(ややこしい)。
スカーレット・ヨハンソンもこの頃は可愛げがあるというか、初々しい感じがして良かったなあ。

「アベンジャーズ」で再登場して以降はその活躍ぶりがあまりに超人化しすぎてる気がするのだけれど(周りにいるのが超人ばっかだから仕方ないけど)、この作品における彼女は地に足がついたというか、あくまでも凄腕のエージェントの範囲に留まってる気がする。

また「アベンジャーズ」以降の彼女は比較的露出が抑えめになるのだけれども(スカーレット・ヨハンソンが妊娠していたりといった事情もあるのだろうけど)、この作品では車の中での着替えシーンでセクシーな下着姿をチラっと見せてくれたり、戦闘コスチュームの時も胸元を開けてくれたりとサービス精神旺盛。そして吹替の声も米倉涼子じゃなく佐古真弓だから、がさつじゃなく品の良さも感じられ出色だ。
以前から「企画はある」と伝えられる彼女の主演作品の実現に、最近一歩近づいたとの報道が流れたが、ヨハンソンが健在なうちになんとか添え物じゃない彼女が見たいもんである。

【ひとこと】
スターク・エキスポにいたアイアンマンのお面を被った少年、これが後のスパイダーマン、ピーター・パーカーだというのは、そのうち本当にオフィシャル設定になっちゃうのかな。
後付け設定でも、こういう解釈が出来るというのは面白いなとは思うんだけど。
似たような例では<DCFU>の「マン・オブ・スティール」に、密かに(?)アクアマンが出演してる、というのもあるけれど。

<過去記事>
http://odin2099.exblog.jp/12788410/
http://odin2099.exblog.jp/16241370/
http://odin2099.exblog.jp/19474363/
http://odin2099.exblog.jp/22748725/
http://odin2099.exblog.jp/24036415/
http://odin2099.exblog.jp/24929011/


[PR]
by odin2099 | 2018-01-13 08:30 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)
<マーベル・シネマティック・ユニバース>の二本目。
日本での公開順で言えばこれが一本目。「アイアンマン」より先に公開された。
といってもアメリカ公開後すぐに日本に来たわけじゃなく、公開は約2カ月後。「アイアンマン」が5カ月ぐらい遅れて公開されたといえば、当時この二本が特に期待されていたわけじゃなかったことが窺える。
それでも「ハルク」は夏休み真っ只中の8/1に公開されているが、その大半は吹替版。しかもタレント吹替だったのだから、少なくても夏休み興行のメイン番組ではなかっただろう。

e0033570_19441700.jpg斯様に日本では不遇だったこの作品だが、結果的に<MCU>全体でも不遇な存在に。
その最大の原因は主演のエドワード・ノートンとの軋轢で、フェイズ1の単独ヒーロー作品はいずれも三部作となり、フェイズ2、3の作品も続編、続々編が動いているにも関わらず、この「ハルク」には続編がない(これは権利関係の問題も絡んでいるのだが)。
ロス将軍は後に「シビルウォー/キャプテン・アメリカ」に再登場したが、この作品の他のメインキャラクター、バナーの恋人ベティ、アボミネーション/ブロンスキー、Mr.ブルーことスターン博士らは現段階で再登場の予定はない。いずれも続編が作られればそれぞれドラマが用意されていただろうに。

「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」以降、バナーはブラック・ウィドー=ナターシャと良い仲になりつつあるが、ベティのこと忘れちゃったんだろうか。
しかし今更リヴ・タイラーが復帰したところで、マーク・ラファロ演じるところのバナーとでは釣り合いが取れないだろうから、仮にベティが再登場したとしてもキャストは変更になるのかもしれない。

<MCU>では唯一ヌードシーン(というほど大げさなものじゃないが)があったり、ヒロインの露出が高めだったりと全体的にアダルトムードが高めの本作は、作品のトーンそのものも<MCU>では異端になってしまった。

<過去記事>
http://odin2099.exblog.jp/8504915/
http://odin2099.exblog.jp/16185055/
http://odin2099.exblog.jp/19466280/
http://odin2099.exblog.jp/22733419/
http://odin2099.exblog.jp/23986945/
http://odin2099.exblog.jp/24907953/
[PR]
by odin2099 | 2018-01-11 19:46 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(1)
「エマニエル夫人」「続エマニエル夫人」「さよならエマニエル夫人」に続くシリーズの4本目。
主役はシルヴィア・クリステルからミア・ニグレンに交代。
そしてタイトルも「エマニエル」→「エマニュエル」に変更。

かつての恋人から逃れるために全身整形手術を受け、若く美しい別人に。
再び処女となった彼女は新たな愛の遍歴を続けるが、結局は忘れることが出来ずに彼の処へ帰っていく、というお話で、主演女優の若返りを図っただけという身も蓋もないお話。

e0033570_19240846.jpg撮影当時のミア・ニグレンは23~4くらいだと思うが、シルヴィア・クリステルにしたって31~2くらいのはず。それでシリーズ活性化を狙っての若手への切り替えとは随分と失礼な話だ。
結局ミアの出演はこの一本だけで以降もシリーズは続き、中にはシルヴィアが出演してるものもあったはず。

前作との繋がりはなく、というより主人公の名前が「シルヴィア」で、変身した姿が「エマニュエル」と呼ばれているという非常にややこしい状況。
一種のメタフィクション? なんでこんな設定にしたのだろう。

シルヴィアは冒頭部分と、後は「心の声」という形での出演に留まり脱ぎはなし。代わりに新星ミアが均整の取れた肢体を全編に亘って披露する。
以前見た時は全然感じなかったのだが、言われてみるとミアの顔立ちは、どことなくシルヴィアに似てるような。それを見越しての、演技経験ゼロの彼女の起用だったようだが。

まあお話はあってないようなもんだし、綺麗な裸が一杯拝めればそれで良し、とすべきなんだろうな。


[PR]
by odin2099 | 2018-01-07 19:26 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)
e0033570_21134400.jpg4時間近い大作「美しき諍い女」を監督本人が2時間10分ほどに短縮編集。
なんでもテレビ放映を前提にしたものなんだとか。
確かに4時間の作品、それも大半がヌードシーンという映画をテレビで放送するのは難しいだろう。

日本では劇場公開されたので見に行っているし、以前はビデオソフトも発売されていたのだけれども、その後商品化はされず、「美しき諍い女」の再DVD化及び初のBlu-ray化に伴い、Blu-rayソフトのみの特典ディスクに収録され、久々に日の目を見ることに。

正直言うと4時間もの長い間お付き合いするのはかなり辛いので、その約半分で済むというのは有難い。
その分監督の意図が上手く伝わっていないのではないか、との声もあるようだが、一般向けにはこれで十分な気も。どうせ観客の目当ては殆どエマニュエル・ベアールの裸にあるんだろうし。

e0033570_21133269.jpg当然彼女のヌードシーンもその多くがカットされてはいるものの、それでも無粋な修正もないその美しい曲線は十分に堪能できるし、物語そのものもわかりやすくなっていると思う。ただ「ディヴェルティメント」と謳われているほどの娯楽性はまだ感じられず、十分「芸術映画」だと言い訳しながら鑑賞できるレベルに留まってる。

ちなみにこのヴァージョンは単純に場面を削って短くしただけでなく、別テイクを使ったり、シーンの順番や台詞を差し替えたりしているので、独立した別映画として捉えた方が良いのかも知れない。


[PR]
by odin2099 | 2018-01-06 21:18 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)
この作品が公開されたのは10年前。ということで主演のロバート・ダウニーJr.も若いです。
そして何度見ても面白いですね、やっぱり。
年に一回ぐらいのペースで見直してるのかな。

それに今年は<マーベル・シネマティック・ユニバース>の集大成、「アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー」の公開をゴールデンウィークに控えているので、どこかのタイミングでお浚いしておかなきゃ、と思っていたところだったので、ちょいと早めにスタート。

この映画のランニングタイムは約2時間ですが、ハリウッド映画のパターンに則って分析すると、だいたい30分ごとにヤマというか、物語上の区切り、言ってみれば句読点みたいなものが打たれています。

e0033570_19201829.jpgまず最初のヤマ場ですが、テロリストに拉致誘拐されたトニーが最初のアイアンマンを完成させ、なんとか逃げおおせるのが始まってから30分後くらいです。
このパートで犠牲になるのがインセン。彼なくしては<MCU>は始まらなかった、と言っても過言ではないキーパーソンで、後に「アイアンマン3」で僅かですがフォローがあったのは嬉しかったですね。
ちなみにこの10分後くらいに、やはり<MCU>の重要人物がさりげなく初登場。そう、シールドのコールソンさんです。
この段階ではこんな大きな役になるとは、観客のみならずスタッフも役者さん自身もおそらく思っていなかったでしょう。

次の30分後、開巻から概ね60分が過ぎた辺りでトニーはアイアンマン試作スーツの飛行テストを行っています。
アイアンマンの性能のお披露目、それとやがて助力を請うことになる親友ローディにもスポットを当てています。
そしてその10分後にはまたコールソン捜査官が登場し、今度はトニーと面識が出来ます。前回の登場シーンでは、彼はペッパーとしか会話してませんからね。

そして次の30分後は全体の90分後ですから、いよいよクライマックスへ差し掛かるところ。
オバディアが隠されていた本性をむき出しにし、トニーからアークリアクターを奪い、自らの野望を実現すべく行動に移します。
トニー絶体絶命の危機に動くのはポッツとローディ、そしてコールソン率いるシールドのエージェントたち。こうして見るとエージェント・コールソンは節目節目の美味しいポイントに出てくることがわかります。彼が映画全体の一種の狂言回しも兼ねているのでしょう。

その30分後は大団円。「私がアイアンマンだ」とトニーがカメラ目線で決めてくれます。
この台詞を言う直前までトニーはカメラを見ていないのですが、最後はバッチリ。観客に対して大見えを切っているワケですね。

ポストクレジットではニック・フューリーがいきなり出てきて、「君にアベンジャーズの話をしに来た」。
最後まで席を立たなかった観客は、誰だ誰だ、アベンジャーズって何だ?と狐につままれ、原作ファンならニヤリとするという寸法です。

資料を見てみると「アイアンマン」はオーストラリアで4/14に先行公開、アメリカでは5/2、日本では何と9/27の公開ですから今となってはちょっと考えにくいです。
その間に本国では6/13に公開された第2弾の「インクレディブル・ハルク」が、わが国では先に8/1に公開されるという逆転現象が起こりました。

「アイアンマン」と「ハルク」の知名度を比較した場合、「ハルク」の方が高いだろうということで優先したのでしょうが、先に「ハルク」を見た我々はそのラストに登場したトニー・スタークに、「コイツは一体何者なんだ?」と首をひねらされたものです。
ただそのお蔭で「アイアンマン」公開の時には、何やら不思議なシリーズ(その頃は「ユニバース」などという表現は知りませんでしたから)が始まってるようだぞ、という予備知識は持てましたが。

しかしオバディアって本当は何をしたかったのでしょう?
単にトニーを排してスターク・インダストリーズを乗っ取りたかっただけなら小さい小さい。
でも彼がトニー襲撃をテロリストに銘じなければ、九死に一生を得たトニーがアイアンマンになることもなかったのですから、やはり<ユニバース>立ち上げには不可欠な人間だったということになりますな。

<過去記事>
http://odin2099.exblog.jp/8675042/
http://odin2099.exblog.jp/14300070/
http://odin2099.exblog.jp/16096575/
http://odin2099.exblog.jp/19456760/
http://odin2099.exblog.jp/22723651/
http://odin2099.exblog.jp/23951225/
http://odin2099.exblog.jp/24902076/


[PR]
by odin2099 | 2018-01-05 19:23 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)
創立10周年を記念して東映オールスターキャストで作られた2時間半の大作。
原作は大佛次郎、大石内蔵助に片岡千恵蔵、脇坂淡路守に中村錦之助、堀部安兵衛に東千代之介、浅野内匠頭に大川橋蔵、立花左近に大河内傳次郎、清水一角に近衛十四郎、片岡源五右衛門に山形勲、堀田隼人に大友柳太朗、吉良上野介に月形龍之介、千坂兵部に市川右太衛門、監督は松田定次。

e0033570_22340707.jpg原作小説では堀田隼人が主人公だからなのか序盤では彼がメインを張っているが、やがて堀部安兵衛ら赤穂藩士が徐々に登場。吉良上野介の苛めに悩む浅野内匠頭を励ます脇坂淡路守との友情を織り交ぜながら、遂に刃傷に及ぶまでを丁寧に描いて行く。内匠頭切腹から上杉家家老・千坂兵部の紹介、そしてようやく大石内蔵助が登場するまでが約1時間。赤穂城受け渡しの使者として脇坂淡路守が内蔵助と対面し、皆が去っていくところまでが1時間半ほど。
その後は遊興を経ての内蔵助の東下り。立花左近の名を騙っての道中で何と本物が現れるというスリリングな場面があり、ようやく江戸入り。ここまでが2時間。
概ね30分ごとに物語に区切りをつけ、全体的に長さをあまり感じさせない配慮がなされているようだ。

ただ有名な物語だから周知のことと判断されたのか、それとも東映としては1956年からの5年間という短期間に3度目のオールスターキャストによる「忠臣蔵」映画ということで差別化を図ったのか、有名ではあっても本筋にあまり関係しないエピソードを省いたり、あるいは取り入れたもののさらっと流す程度に留めたりということが目立ち、これ一本だけ見た場合には何となくわかりづらいものになっているように思える。

例えば序盤に出てくる畳替えのエピソードにしても、大騒ぎする場面はなく既に事後として処理されているので、事の重大さがわからないのではないだろうか。
堀田隼人の素性やその心情の移り変わりも釈然とせず、堀部安兵衛とも友情を結ぶまでには至っていないのは勿体ないし、浪士たちが脱落していく様も台詞で語られるのみ。

その一方で、討ち入りを決意した内蔵助が瑤泉院を訪ねる場面では、彼女は全てを悟って決して内蔵助を責めない、というのはパターン崩しで目新しいし、また吉良邸討ち入りのシーンも割とあっさりしていて、赤穂浪士たちが吉良を討ち取るシーンよりは、それと並行して挿入されている上杉綱憲と千坂兵部とのやり取りに力点が置かれているのも面白い。

斯様に「忠臣蔵」映画の決定版とは言えないだろうが、やはり豪華キャストの熱のこもった演技合戦は見応え十分である。
特にかつて山鹿門下で龍虎と称されていたという内蔵助と千坂兵部が、全編で唯一直接に対峙する場面。
知恵蔵と右太衛門は台詞なし。互いのアップをカットバックし、その表情の変化だけで全てを語ってみせる。今の日本映画では成立しない演出だろう。
[PR]
by odin2099 | 2017-12-13 23:18 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)
ケネス・ブラナーの監督・主演、トム・ベイトマン、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ、ジョニー・デップ、ジョシュ・ギャッド、デレク・ジャコビ、レスリー・オドム・ジュニア、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、マーワン・ケンザリ、オリヴィア・コールマン、ルーシー・ボイントン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、セルゲイ・ポルーニンと豪華キャストを揃えたお正月に相応しいゴージャスな一篇。

e0033570_21014505.jpg既に決定版とも言えるシドニー・ルメット監督版が存在するので、ケネス・ブラナー版は自ずと異なるアプローチを試みている。
まずは車内や車窓を映してるショットを多用し豪華列車の旅ムードを演出し、次に鉄道会社の重役にしてポアロの友を若返らすとともに、アンドレニ伯爵やアーバスノットをアクティヴなキャラクターに替え、更にポアロにもちょっとしたアクションシーンを用意してテンポをアップ。これはポアロ役がアルバート・フィニーでは考えられない改変で、本作でのポアロの独自色を出すことにも繋がっているが、一方で映画がある意味で”軽く”なってしまった感があるのも否めないところ。

そして本作のポアロは自分で「おそらく世界一の探偵だ」と言ってしまう反面、事件解決の糸口がなかなか掴めず、激高し取り乱し苦悩するという未熟な一面も見せる。
鼻持ちならない変人でありながら、一方で”灰色の脳細胞”を駆使し事件を解決へと導く超人的なキャラクターは現代では受け入れられないと考えたのだろうか。その分ポアロらしさは希薄になってしまっているが。

またシドニー・ルメット版では、ポアロが手掛かりを掴む容疑者からの尋問シーンを丁寧に見せてくれたが、本作では幾つかの省略もあってこれでどうやってポアロが真相に辿り着いたのかが不明確な点があるのだが、どうやら謎解きの妙味は初めから二の次で、ポアロの”人間性”を描くことに主眼が置かれていたような節がある。

ということでミステリー映画としては多少もどかしさが残るものの、全体的な雰囲気は悪くはない。
ラストにポアロはエジプトで起きた殺人事件の為に召還されるが、続編として予定されている「ナイル殺人事件」のリメイク映画版の実現も期待したい。

ところで今回は吹替版を見たが、俳優たちが丁々発止のやりとりを見せる本作のような作品は、吹替版でじっくり見たいもの。
ところがポアロ役で起用された草刈正雄は元々特徴のある声の持ち主であるだけでなく、癖のある個性的な喋り方。それが更に役を作り込んで喋るので、聴いていてポアロにもケネス・ブラナーにも見えずに落ち着かなかった。優劣とは別に吹替に向かない人なのだ。
二枚看板のもう一人、山村紅葉は特別問題がなかっただけに残念だ。

【追伸】
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」ではあまり女性らしさを感じなかったデイジー・リドリーだったが、改めて美人女優なんだなと感じた。吹替は「スター・ウォーズ」同様に永宝千晶で、このまま彼女で固定化されそう。


[PR]
by odin2099 | 2017-12-10 21:09 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(2)
e0033570_11003604.jpg雪に閉ざされ、身動きの取れない列車内で起こった殺人事件。犯人は乗客、乗員の中にいる。
ということで、これは一種の密室殺人になるのだろう。
偶然乗り合わせたポワロが事件解決に乗り出すのだが、容疑者にはアリバイがあり、更に殺害されたのは実は5年前に起きた残虐な幼児誘拐殺人事件の黒幕と黙される男だった。
マフィア同士の抗争の結果か、それとも復讐か。
ポワロは最後に二つの解答を示す。
一つは単純なもの、そしてもう一つは複雑に絡み合ったもの……。

最初から胡散臭い登場人物ばかりなのはミスリードを誘う演出だろう。
そしてそれを演じる俳優陣。これは豪華キャストならではの味で、正に大作に相応しいもの。
ポワロが終始尊大で、厭味ったらしく鼻持ちならない奴として描写されてるが、これは物語の悲劇性を強調する効果もあったのかもしれない。
約2時間の映画だが、事件が起きるまでが30分、ポワロの操作に60分、そして導き出された真相のお披露目に30分、と時間配分も宜し。

ポワロが一人一人を尋問するシーン、今までは何でそんな質問で核心に迫れるのかと思っていたものだが、久々にじっくりと見直してみると伏線はきちんと貼られていたのに気づく。
といってもこれだけの手掛かりから犯人を割り出せる観客がいるとも思えないし、アンフェアだと謗られても仕方ない部分もあるが、娯楽作品としては十分に堪能できる。
ケネス・ブラナーの監督・主演によるリメイク作品がもうじき公開になるが、そちらはどんな出来栄えになっているだろうか。

ちなみにこの物語は、実際に起きた著名な飛行士リンドバーグの子供が誘拐、殺害された事件にヒントを得たとのことだが(更にはオリエント急行が立ち往生したことも実際にあったらしい)、この映画の製作が始まったころはまだリンドバーグは存命だったのだな(映画の公開年に亡くなっている)。
原作小説の発表は事件より2年後のことだが、この作品に対するリンドバーグのコメントは残っているのだろうか。

ところでポワロは途中で部屋を移動しているが、もし当初のまま某氏とずっと同室だったら事件は起きなかっただろうか。
また被害者が誘拐殺害の実行犯ではなく、関係者と直接面識のない黒幕だったからこそ可能な犯行だった、とも言える。色々と考えさせられる一本であった。

<過去記事>
http://odin2099.exblog.jp/3390556/


[PR]
by odin2099 | 2017-11-26 11:01 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)
e0033570_21200831.jpg東西冷戦末期のベルリン、MI6の諜報員ガスコインがKGBの暗殺者バクティンに殺害され、世界各地で暗躍するスパイの名前を記したリストを奪われてしまう。バクティンはKGBをも裏切り、闇ルートでリストを捌こうとしていた。
もしこのリストが明るみに出れば、国際情勢は大きく揺らぎかねない。MI6はCIAの協力を仰ぎ、リストを奪還すべく凄腕のエージェント、ロレーン・ブロートンを派遣、ベルリン支局のエージェント・パーシヴァルと共同で任務にあたらせる。
しかし極秘のはずのロレーンの到着は同じくリストを狙うKGBに筒抜けで、おまけにパーシヴァルも不可解な行動を見せる。実はロレーンにはもう一つ、二重スパイを探し出すという極秘任務も帯びていたのだ。

女スパイが主人公のスタイリッシュなアクション物かと思いきや、ハードで泥臭いサスペンスタッチの映画。誰が敵で誰が味方か、二転三転のどんでん返しが売りで、イアン・フレミングかと思ったらジョン・ル・カレだった、といったところ。
シャーリーズ・セロンはセクシーではあるものの、「女」の部分を強調したお色気サービスなシーンは皆無に近く(一応ヌードシーンは用意されてはいるものの)、ひたすら逞しいクール・ビューティーぶりを発揮している。

e0033570_21201983.jpg登場人物がやたらと多く、それも皆腹に一物ありそうな胡散臭い連中ばかりな割に外見的な特徴に乏しく、途中で誰が誰やら混乱してくる。
混乱と言えばクライマックスの怒涛の展開。裏切り者である二重スパイは、他人に罪を着せて始末し高跳びを図ろうとしたということなのか、あるいはそもそも二重スパイなどは存在せず、それさえも敵味方を欺くための周到に用意された罠だったということなのか。
今一つ得心がいかずに思っていたほど愉しめなかった。

ところでこの作品、シャーリーズ・セロンとジェームズ・マカヴォイは終始タバコをスパスパ。
おかげで見ていて気持ち悪くなってしまった。


[PR]
by odin2099 | 2017-10-30 21:21 |  映画感想<ア行> | Trackback(14) | Comments(0)
**ネタバレ回避の方は回れ右をお願いします。**

第三章は第七話「光芒一閃!波動砲の輝き」、第八話「惑星シュトラバーゼの罠!」、第九話「ズォーダー、悪魔の選択」、第十話「幻惑・危機を呼ぶ宇宙ホタル」から構成されています。

e0033570_20101926.jpg前章のラストはヤマト絶体絶命の危機で終った様に記憶してましたが、直接的な危機ではなかったようで。
今作最大の問題、封印された波動砲をヤマトはどうするのか、が描かれますが、古代は散々逡巡した挙句、あっさりと使用を決断。何故その結論に至ったのか、個人的には全く理解できませんでした。ドラマを盛り上げるためだけの枷なら、中途半端に扱わない方が良かったように思います。

おそらく今後の戦いを通じて更なる決断を迫られる局面も出てくるかと思いますが(スターシャが再登場し、古代たちと直接対面する場面があるのかどうかはわかりませんが)、既に二発目も撃ってしまった以上、どのような言い訳をするつもりなのか。「2199」スタッフによる些か意地悪な宿題をどう解決するのか、「2202」スタッフのお手並み拝見といったところでしょう。

古代に黙って密航していた雪、は「さらば」「ヤマト2」共通のシチュエーション。しかし今回は佐渡先生のみならず、島や山本ら多くのクルーがそのことを知っていて雪を匿っていたらしいことが明かされます。女性乗組員の多い「2199」「2202」ならではの改変でしょうか。
重圧に耐えかね、精神的にボロボロになった古代の前に敢えて姿を見せる、というのも「2202」らしい改変ですね。
その後、古代と雪は離れ離れになり、古代は究極の選択を迫られますが、そこは「ヤマトよ永遠に」を意識したところなのでしょう。雪のコスチュームも「永遠に」の時のパルチザン・スタイルを踏襲しています。
また何とか無事に再会を果たした古代と雪のシーンは「さらば宇宙戦艦ヤマト」を彷彿とさせます。他にも「さらば」のクラマックスを連想させるシーン(古代と沖田の会話など)もあるのは、これは「さらば」と同じ結末にはならないとのスタッフの決意表明のようにも思えます。

「さらば」でも「ヤマト2」でも終盤まで出会うことのない古代とズォーダーが早くも対面。併せて複雑なガトランティス人の成り立ちの一端も明らかになります。
人工的に作られた戦闘に特化した種族というガトランティス、それは古代アケーリアス文明と大きな関係があるようで、更にそのアケーリアス文明とテレサにも密接な繋がりがあることが示唆されます。
「星巡る方舟」ではテレサのテーマ曲がジレル人の描写に使われましたが、地球人、ガミラス人、ジレル人、それにガトランティス人も「遠きアケーリアスの子ら」なのでしょうか。
戦いにのみ生き、自身では生殖能力を持たないというガトランティス人の設定は、どこか暗黒星団帝国のような歪さも窺えます。

e0033570_20155687.jpg第二章のラストでは生死不明だった土方は空間騎兵隊により救われ、ヤマトに収容されます。艦長代理の古代の不在時に真田に代わって戦闘を指揮、その後古代の要請によりどうやらヤマトの艦長に就任するようですが、これは土方が「ヤマト2」ではなく「さらば」寄りの扱いになることを意味しています。おそらく「ヤマト2」での土方の立場(地球艦隊総司令)は、そのまま山南が引き継ぐのでしょう。
ヤマトの危機に流石の指揮ぶりを見せた土方が、今後どのようにヤマトを率いて行くのか。旧作通りであれば次章で早速ゴーランド艦隊との決戦が待ち構えていますが、楽しみです。

全体的に「さらば」寄りの設定やシチュエーションが目立つ「2202」ですが、斉藤は「ヤマト2」寄りです。
第十一番惑星の生き残りとしてヤマトに乗り込み、古代や加藤とぶつかる辺りは斉藤らしいと言えますが、「ヤマト2」ほど子供じみた性格ではなさそうなので、単なる暴れん坊にはならないことを願います。
クライマックスでは古代と斉藤で泣かせる場面があるのでしょうか。

ガトランティスも複雑な設定になっていましたが、ガミラス側も一枚岩とはいかないようです。現政権に反旗を翻す反乱部隊はデスラー信奉者と思いきや、デスラー以前の状態に戻すことを望んでいるようですし、現政権の中にあって重要な地位もしくは出自を持つらしいキーマンは、やはり彼を中心とする独自の勢力を持っているようです。
ガトランティスを含め、ヤマト艦内における不穏な動き。「2199」でもイズモ計画派による反乱劇がありましたが、二作続けて陰謀劇というのは如何なものでしょうね。個人的には一番見たくない展開かも知れません。

そして最後、エンドロール後のオマケシーンについに姿を見せるデスラー総統。
「さらば」とも「ヤマト2」とも違った運命が待ち構えていそうですが、「2199」で全く理解できなかった彼の行動原理が、今度は得心の行くものになっているでしょうか。

また今章では特に触れられていませんが、ただ一人だけテレサのメッセージを受け取らなかった雪も気になります。
結局「2199」では明らかにならなかった雪の正体が、今度こそ明らかになるのか否か。その結果、古代と雪に最大の試練が…?! などという展開は願い下げですが、これも「2199」スタッフから託された宿題ということになりますか。

第四章「天命篇」は来年1月27日公開予定。
自分が望んでいる方向とは少し違う方向へ進み始めたヤマト。
聞こえてくる絶賛の嵐に違和感を抱きつつ、次なる航海を待ちたいと思います。


[PR]
by odin2099 | 2017-10-16 20:16 |  映画感想<ア行> | Trackback(5) | Comments(2)

by Excalibur
ブログトップ