【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

カテゴリ: 映画感想<カ行>( 422 )

TVシリーズ『機動戦士ガンダム』を、三本の映画としてまとめたものの完結編。
TV版43話を単純計算すると約18時間。劇場版3作通算だと約7時間半。ということは半分以上が削ぎ落とされているのだが、それでもこれだけの分量があると『ガンダム』の全てを観た気分にさせてくれる。11時間近くあるフィルムを2時間強でまとめてしまったが故に、どうしても欲求不満に陥ってしまう『宇宙戦艦ヤマト』とはそこが大きな違いだ。
そしてこの3作目は、素材となっているエピソード数も一番少なく、また新たに加えられたカットも増え(かなりの部分を差し替え)、それにスタッフの劇場版に対する経験値も上がってきたのか、非常に見応えのある作品に仕上がった。前2作とは雲泥の差で、一本の映画を観たなという気分にさせてくれるのである。

e0033570_1024069.jpgTVシリーズを知っているか、前2作を観ているか、或いはそれ相応の知識なしでは楽しめないのは致し方ない面もあるが、ただ残念だったのは音楽の使い方。
TV版では最初に音楽をまとめて録音しておき、後は場面に合せてストック音楽から使用するという方法が使われる(途中で追加録音されるケースもある)。つまり第1話であろうが最終話であろうが、似たようなシチュエーションでは同じBGMが流れることも珍しくなく、それが逆にある種の安心感を与えてくれるのであるが、この劇場版では1作目こそTV版の代表的なメロディーの再録音曲が大半を占めたが、以降の作品では一度使ったメロディーの再流用は極力避ける方針が採られたようで、特にこの3作目は新しいメロディーのオンパレードになってしまった。
ということで耳馴染みのないメロディーが全篇を彩ることになってしまい、微妙な違和感を醸し出してしまっているのだ。

さてご存知のように、先日この作品でブライト・ノアを演じていた鈴置洋孝の訃報が伝えられた。
既にセイラ・マス役の井上遥、マ・クベ役の塩沢兼人の諸氏も鬼籍に入られている(主題歌を作曲して歌っていた井上大輔も)。
作品を観ている間は楽しんでいるのだが、観終わったあとで言いようのない寂しさに囚われてしまった。改めて諸氏のご冥福をお祈りしたい
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by odin2099 | 2006-08-13 10:32 |  映画感想<カ行> | Trackback(3) | Comments(2)
e0033570_15213.jpgスタジオジブリファンの人は安心して良いでしょう。立派な後継者の誕生です。例えて言えば、山田康雄亡き後、栗田貫一が『ルパン三世』を引き継いでいるようなものです。
ついでに原作が、『指輪物語』や『ナルニア国ものがたり』と並んで<世界三大ファンタジー>と称されている程の作品だということも忘れた方が良いでしょうね。「ジブリだ~い好き♪」という人、「ジブリ作品に駄作などあり得ない」と信じている人は劇場に足を運んで下さい。

一方、「あのアーシュラ・K.ル=グウィンの『ゲド戦記』の映画化である!」ということに期待している人、つまり平たく言ってしまえば原作のファンの人は、出来ればお止めになった方が宜しいかと・・・。これ以上は申しませんので、怖いもの見たさが勝った方は、ご自分の目でお確かめ下さい。

e0033570_15281.jpg今回は「第一回監督作品」ということを強調しておりますが、普通なら「第二回」なんかありそうもなさそうな内容です。
とは言うもののおそらく作品はヒットするでしょうし、ブランド・イメージもありますからそのうち次回作も発表されることでしょう。その際には、是非とも監督にはオリジナリティで勝負して頂きたいと思います。
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by odin2099 | 2006-07-29 12:30 |  映画感想<カ行> | Trackback(84) | Comments(40)
e0033570_23432164.jpg有尾人帝国ジャシンカと戦う<スーパー戦隊>シリーズ第4弾『科学戦隊ダイナマン』の劇場公開版。
おなじみ<東映まんがまつり>で上映された後、TVシリーズの1エピソードとしても放送されたという変り種。これまでTVの1エピソードをそのまま、或いは手を加えて上映することの多かった<まんがまつり>だが、その逆となると唯一無二。
おまけに放送枠の関係から、短縮版となってしまっているようだ。

ファンからの評判の割りに、自分にはちっとも良さのわからない(苦笑)『ダイナマン』だけに、この作品も「面白くないなぁ」ぐらいしか感想がないのだが、見所といえばアクション演出にかなり力が入っていることだろうか。
特に変身前変身後の両方を演じているJAC所属(当時)の春田純一(ダイナブラック)、卯木浩二(ダイナブルー)の二人は、短い尺ながらかなり派手なことをやらされている。

e0033570_233471.jpgもっともドラマ部分そっちのけでアクション重視という構成こそ、自分にとって面白みを感じない要素なのだが。
変身後のアクション場面や巨大ロボット戦など、思わず早送りボタンを押したくなってきてしまう(爆)。
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by odin2099 | 2006-07-26 22:41 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)
『仮面ライダーZO』に続いて<東映スーパーヒーローフェア>で上映された14人目の仮面ライダー。同時上映は『忍者戦隊カクレンジャー』と『ブルースワット』の劇場版。そのデザインはZOを踏襲したもので、新鮮味はない。キャラクター紹介の手間も省けるし、これならば当初の予定通り『ZO』の続編で良かったのではないかと思うが、営業上必要な戦略だったのだろう。e0033570_1047692.jpg
物語は『ZO』と違って一直線で、宇宙からの侵略者フォッグマザーに生贄として浚われてしまった少女を救い出すためだけに、仮面ライダーがひたすら突っ走るというもの(物語内時間は凡そ一日)。おそらく主人公には「地球の平和を守る」などという意識はないだろう。自分の周囲の秩序破壊者に対する怒りのみだ。このストレートさは、ある意味で上原正三脚本の真骨頂か。

その浚われた少女を演じているのは野村佑香。チャイドルとして人気が高まっていた頃で、やはり可愛い。監督の雨宮慶太はこの作品以降、『人造人間ハカイダー』で宝生舞を、『タオの月』で吉野紗香をそれぞれヒロインに起用していくが、何となく趣味がうかがえる。
肝心の主人公・瀬川耕司を演じているのはJAC所属だった望月祐多で、戦隊モノなどでは珍しくないが変身前のライダーをJAC出身者が演じるのは初めてのこと。ただ既に『恐竜戦隊ジュウレンジャー』での主演経験(ティラノレンジャーことゲキの役)があるので、劇場では子供たちから「あ、ゲキだ!」の声が挙がってしまっていたが・・・。

e0033570_014643.jpgこの作品の最大の特徴は、等身大ヒーローの雄・仮面ライダーが初めて巨大化することだろう。仮面ライダーJの「J」はジャンボの「J」なのだ。
これは前年に発売された『ウルトラマンVS仮面ライダー』というビデオ作品内で、両雄が共闘するというミニドラマが作られたのだが、その劇中で1号ライダーが巨大化して初代ウルトラマンとのコンビネーション・プレイを見せるというシチュエーションが大きな反響を呼んだためだ。結局ファンには受け容れられなかったのか、以後のライダーが巨大化するシチュエーションは(今のところ)継続しなかったが、「ウルトラマン」とは違った巨大感の表現にスタッフの腐心の後がうかがえて見応えのある場面にはなっている。ただ巨大化そのものには説得力がなく、全体的にもアクション面は充実しながらドラマ面では一歩後退の印象だ。翌年も<スーパーヒーローフェア>は実施されたが、そこに新作ライダー映画の姿はなかった。『仮面ライダークウガ』でシリーズが復活するのは6年もの後のことである。
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by odin2099 | 2006-07-22 14:20 |  映画感想<カ行> | Trackback(2) | Comments(2)
19世紀のオーストラリア。アイルランド移民の子ネッド・ケリーは冤罪により投獄されてしまい、出所後も警察はケリーを始めとする家族に執拗に嫌がらせを繰り返した。それに耐えかねたネッドは身を守るために警官を殺してしまい、それを切っ掛けに友人や弟たち4人でギャング団を結成、国中にその名を轟かせるお尋ね者となっていく。また民衆もそんな彼らを支持するのだった。

実在したアウトロー・ヒーローの伝説を、植民地を舞台に、支配する者される者の対立図式を盛り込んで描いた作品で、終始重苦しい。時折映し出されるオーストラリアの雄大な自然も、この雰囲気の中では徒花という感じである。オーストラリアでは国民的英雄なのだろうが、予備知識なしで見ているとなかなか彼らに感情移入しづらい面もあるのだが、ネッドを演じたヒース・レジャーの真摯な演技と相俟って見応えのある作品となり得ている。日本では劇場未公開なのが残念

e0033570_1403377.jpg共演はネッドを追い詰める警視をジェフリー・ラッシュ、ネッドと情を通じる人妻にナオミ・ワッツ、そしてネッドの親友ジョー・バーンにオーランド・ブルームといった顔触れ(『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』のエミリー・ブラウニングも出演していたが、エンドクレジット見るまでは気付かなかった)。今をときめく若手スターのヒース・レジャーとオーランド・ブルームの競演作というだけでも、一見の価値はあるだろう。
クラウス・バデルトが音楽を担当。監督はグレゴール・ジョーダン。
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by odin2099 | 2006-07-18 22:53 |  映画感想<カ行> | Trackback(9) | Comments(4)
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無難、という線は出ない。
雨宮慶太の演出も幾分暴走気味だが、それもこれも上映時間のせいである。48分は短すぎる。せめて90分は欲しい。新しい仮面ライダーを紹介するだけで手一杯のはずなのに、物語にも決着をつけようというのだから。
<20周年記念作品>ということから新ライダーを誕生させたのは、営業戦略的には理解できるつもりだが、こと作劇上では大きなマイナス

企画当初は、ビデオ作品『真仮面ライダー/序章』の続編(第一章?第二章?)にするとか、『仮面ライダーBLACK RX』を題材にした劇場用新作だとか、はたまた1号ライダー=本郷猛のリニューアル(リメイクではなく、デザイン変更)といったアイディアも検討されたようだが、これら既成のキャラクターを用いたストーリーであったならば、キャラクター紹介の手間も省け、もっとドラマ中心に構成出来ていたかも知れない。

e0033570_002481.jpgまた、ファンサービスなのだろうが無駄に豪華なキャスティングは、本当に無駄に終わってしまった。
森永奈緒美(『宇宙刑事シャイダー』、『時空戦士スピルバン』)、大葉健二(『バトルフィーバーJ』、『電子戦隊デンジマン』、『宇宙刑事ギャバン』)、山下優(『特警ウインスペクター』、『特救指令ソルブレイン』)、榊原伊織(『特捜エクシードラフト』)というメンバーは確かに嬉しいのだが、これが全くと言っていいほど生かされていない。
脇を固める犬塚弘もだ。佐々木功(マッドサイエンティストの役!)だけでも十分だろう。これも上映時間の短さに起因している。
主演の土門廣は今後どれだけ<仮面ライダー>として認知されていくのかは不明だが、存在感のある大型新人といったところ。後に『ブルースワット』にも3人組の一人として主演し、子供たちよりも主に主婦層から絶大な支持を得たが、近年芸能界を引退した模様。
――てなことを「しねま宝島」に以前書いたけれど、CGあり、モデルアニメあり、と新技術を注ぎ込んでの画面作りは確かに評価出来るのだが、本当に勿体無いなぁという内容になっている。
『五星戦隊ダイレンジャー』、『特捜ロボ ジャンパーソン』との3本立ての<スーパーヒーローフェア>という興行形態が、作品にとってプラスだったかは微妙なところだ。
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by odin2099 | 2006-07-08 08:56 |  映画感想<カ行> | Trackback(1) | Comments(2)
e0033570_1102522.jpgカサノバと言われても、実は何をした人なのか予備知識はゼロ。せいぜい名うてのプレイボーイ、色事師というイメージがあるくらいだが、実は軍人、法律家、作家、詩人、音楽家、医師・・・と多彩な顔を持っていたそうだ。
もっともこの映画ではそれらは片鱗を窺わせる程度で、やはり”恋愛の達人”としてのカサノバに焦点を当て、その連戦連勝の彼の前にその哲学を真っ向から否定する女性が現れたことで、「追いかけるな、追いかけさせろ」が信条の彼が、逆に彼女を追いかけるようになっていくというラブ・コメディ調に仕立てあげている。

カサノバにヒース・レジャー、彼を否定するフランチェスカにシエナ・ミラー、フランチェスカの母にレナ・オリン、弟にチャーリー・コックス、婚約者にオリヴァー・プラット、カサノバの従者にオミッド・ジャリリ、弾みでカサノバと婚約する令嬢にナタリー・ドーマー、そしてカサノバを捕らえようとする司教にジェレミー・アイアンズとキャストも好演だが、やや弾み具合が足りないか。e0033570_1192240.jpgそして全篇ヴェネチアでロケをしたということだが、こちらも今ひとつ本物の迫力が伝わってこないのが残念。
しかし最後はちょいと捻りを効かせたハッピー・エンドだし、コスチューム・プレイが苦手でなければ気楽に楽しめるだろう。
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by odin2099 | 2006-07-01 20:22 |  映画感想<カ行> | Trackback(20) | Comments(16)
<ファースト・ガンダム>を劇場用にまとめた三部作の第2弾で、春休み興行だった前作に続いて夏休みに公開された。これも一日中映画館で粘って、多分5回くらい観ていた筈。それだけ気に入っていたのか、というと然にあらず、単なる貧乏性だっただけである(苦笑)。

学生だったから時間に余裕があったということもあるのだけれど、この頃は最低でも2回、出来れば3回、4回は観ないと勿体無い、と思っていたのだねぇ。あの『伝説巨神イデオン』劇場版だって、2本立てを2回ずつ観ているし。

e0033570_11111344.jpgその後は時間的余裕がなくなったし、最近はシネコンで観る機会が増えたので入れ替え制が当たり前、それに集中力の限界はせいぜい1時間半という為体。2時間半近くの作品を2回、3回と観るなんて狂気の沙汰である。
今回久々に観直してみたけれど、やっぱり途中で弛れてしまったくらいだし、我ながら堕落したもんだなぁ・・・(爆)。

さてこの第二部、物語は地球上を舞台に進んでいくが、メイン・キャラ、ゲスト・キャラが次々と死んでいくのも特徴。
そこで付いた副題が「哀・戦士」という訳だが、TVシリーズのエピソードの順番を色々と入れ替え、繋ぎ合わせた結果、多くのキャラがまとめて死んでいく羽目になってしまっている。その為に一人一人の印象はかなり薄まってしまった。
それに元々が序章と完結編のブリッジとしての役割に徹しているため、独立した映画としての構成にはなっていない。やはり三本まとめてじゃないと評価出来ない作品だと言えるだろう。
ただ、三本まとめてなら「起承転結」の「承」のパートとして上手く機能したと評しても良い、かな。

なお、回数を観られたのにはもう一つ理由があって、これが三部作で一番上映時間が短いということもあったのを付け加えておこう。
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by odin2099 | 2006-06-27 22:57 |  映画感想<カ行> | Trackback(4) | Comments(2)
『仮面ライダーBLACK RX』を題材にした夕張・石炭の歴史村で上映された3D映画で、「なんで仮面ライダーと石炭の歴史村?」という気もしますが、前年に放送していた『仮面ライダーBLACK』で、TVと映画両方で夕張ロケが行われた際の繋がりでしょう。
その『BLACK』は2本もの劇場用作品が作られましたが、それに続く『RX』では劇場用作品が作られなかったので、これは貴重な映像でもあります。その後は各種イベントでの目玉作品として度々上映され(自分もその時に初めて見ています)、後に(3Dではありませんが)LDでソフト化されました。

e0033570_2320252.jpgRXに苦戦するクライシス帝国は、過去に戻ってRXにパワーアップする前のBLACKを倒そうと目論みます。その計略にはまってピンチを迎えるBLACKの元に、RXが、ロボライダーが、そしてバイオライダーが時空を超えて駆けつけ、デスガロンを始めとする復活怪人軍団と4大ライダーの激闘が繰り広げられる、というストーリーです。
本来は同一人物ですから有り得ない4大ライダーの共闘が売りで、全篇アクション、アクション、またアクションの展開ですが、20分程度の小品なので飽きません。
復活したゴルゴム三神官のうちダロムの声は残念ながら飯塚昭三ではなく依田英助みたいですが、ビシュムを演じているのはオリジナル・キャストの好井ひとみだと思いますし、デスガロンの声はやはりオリジナル・キャストの森篤夫のようですので、スタッフのこだわりも十分に感じ取れる出来です。
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by odin2099 | 2006-06-11 19:56 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)
田中芳樹のベストセラー小説初の映像化。TVシリーズ化を前提に企画され、そのプロモーションを兼ねて作られたビデオ用作品だったが、結果的には劇場公開へと昇格。『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』と比較されて論ぜられることが多く、確か劇場公開やビデオ発売時の謳い文句は”『宇宙戦艦ヤマト』に続く壮大な規模で描かれる宇宙興亡史”というようなものだったと記憶している。
残念ながら劇場では見る機会がなく、ビデオ・リリースされてから程なくして鑑賞。何処もレンタル中で、何日も何軒も足を運んで、やっと借りることが出来たことを思い出す。この時点では原作は興味は持っていたもののまだ読んではおらず、予備知識も殆ど持ち合わせてはいなかったので、『銀英伝』とのファースト・コンタクトはこの作品ということになった。

e0033570_22452222.jpgストーリーは敢えて外伝に材をとって構成。これは正解だったろう。数多くのキャラクターがひしめき合う『銀英伝』の中で、主要なキャラクターの多数が顔を揃え尚且つその立場を明確に表している部分を抽出しているので、パイロット版としては理想的な作り。これにより予備知識無しでもすんなりと物語世界に遊ぶことが出来た。なまじ本編を直接映像化したならば、60分という限られた時間内ではとても消化し切れなかっただろう。また脚本作りもしっかりとしており、60分を短くも長くも感じさせない充実ぶり。作画のレベルも高く、久々に本格的な宇宙を舞台にしたSFアニメを堪能することが出来た。その意味では『ヤマト』『ガンダム』の後継者という扱いも、まんざら的外れではない

その一方で人間ドラマになりすぎているが故に、アニメーションとしての楽しさ、絵で観る面白さというものが欠けているのが惜しまれる。セリフがメインで、大きなアクションもない。絵は勿論綺麗なのだが、綺麗過ぎてリアリティというか重量感が感じられないのが残念で、むしろアニメではなくライブ・アクション作品であったのならば、個々のキャラクターの息遣いまでをも感じ取れたのかもしれないとも思う。それで『銀英伝』という作品の映像化として相応しい作品に仕上がるかというと、ファンからの反応は厳しいものだっただろうが、一つの選択肢として考えてみてもいいだろう。

この作品で特筆すべきはBGMである。全てクラシックの既成曲を用いているのだが、これが抜群の効果をあげている。正直言って後のシリーズ化作品では、無理に曲を画面に合わせようしていると感じることもあるだが、少なくともこの段階ではそれはない。よくこの曲に合わせた場面を構成したな、また、よくこのシーンに合う曲を選んだものだな、と感心する次第である。そして今作品の白眉、<第四次ティアマト会戦>シーンに流れるラベルの「ボレロ」に関しては、SEも抑え、音楽を聴かせるように努力した演出自体がなかなか新鮮であった。

結果的にこの作品はファンに受け入れられることとなり、また多くの新規ファンを開拓するに至った(当然私もその一人であるが)。既にアニメ・ブームは過去のものとなり、ファンの価値観も多様化したために、かつての『ヤマト』や『ガンダム』といった特定作品に人気が集中し社会現象化するということはなかなか起こりにくい時代になってしまっていただけに、過少評価されている作品だと思うのだが、シリーズ化にあたって打ち出した新機軸をはじめ、エポック・メーキング的作品だったことは認めてもよいだろう。
  ×  ×  ×  ×

e0033570_12334343.jpg手抜きして(汗)「しねま宝島」から転載しましたが、この10年以上前(というより20年近く前)に見た時と、今回も殆ど同じ感想を抱くに到りました。
メインサイトである「CHAOS ∞」では『銀英伝』のコンテンツを扱っているくせに、自分の中では最近ちょっと遠い存在になっていたのですが、改めて見ても感動出来るものですねぇ。やっぱり『銀英伝』、好きなんだなぁ。
この機会にシリーズ全話を見直そう!
・・・とはなかなか気力体力それに時間の関係で難しそうですけれど、相方さんの全話レビューも止まってることですし(苦笑)、お任せしっぱなしでは申し訳ないから頑張ろうかな。
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by odin2099 | 2006-06-07 06:13 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(4)

by Excalibur
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