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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

タグ:アレクサンドル・デュマ ( 8 ) タグの人気記事

e0033570_07292486.jpg「日生劇場ファミリーフェスティバル」として上演されている舞台を観劇。2011年の初演から5年、満を持してリメイク再上演とのこと。

脚本:中島淳彦、作曲:NAOTO、演出:田尾下哲は初演と同様で、出演者はダルタニアン:小野田龍之介、アトス:今拓哉、ポルトス:なだぎ武、アラミス:上原理生、リシュリュー枢機卿:福井貴一、アンヌ王妃:沼尾みゆき、ルイ13世:芋洗坂係長、コンスタンス:吉川友、バッキンガム公爵:宮下雄也、ミレディ:樹里咲穂と総入れ替え。

5年前の初演を観に行き、楽屋落ちネタで苦笑した以外にさっぱり楽しめなかったのだが、今回はアンヌ王妃役で沼尾みゆき嬢がキャストインしていると知りチケット購入。
e0033570_07291572.jpg前回の印象が良くなかっただけに全くと言って良いほど期待していなかったのだが、大筋はそのままに細部にはかなり手を入れたせいか、今回はかなり見られるものに。

出演者に芸人がいるせいか、ヘンに笑いを取ろうとしている場面が気にはなるが(客席のこどもたちには受けていた)、脱線しすぎている場面はないのでこれなら二度三度と観てみようかという気になる。

期待していたみゆき嬢だが、歌が2曲だったか。せっかくのクリスタル・ヴォイスもこれでは宝の持ち腐れ。
また彼女の真摯な演技は、こういったテイストの作品だと若干浮き気味なのが残念だった。


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by odin2099 | 2016-08-09 07:33 | 演劇 | Trackback | Comments(0)
e0033570_2355272.jpg何やら邦題はサブタイトルがゴチャゴチャしてますなあ。原題は”THE THREE MUSKETEERS”とシンプルなのに。

勿論これは大デュマの傑作「三銃士」の最新映画ヴァージョン。
ポール・W・S・アンダーソンが監督し、監督夫人のミラ・ジョヴォヴィッチ演じるミレディの比重が高いことや、副題にあるダ・ヴィンチが発明したとされる飛行船の登場が売りだったりということで、かなーりのトンデモ「三銃士」をある意味では期待していたのだけれども、それらを除けば意外に真っ当なお話になっておりました。

まあ飛行船が出てきた段階でトンデモはトンデモだし(この時代だとせいぜい気球どまりでしょうか)、冒頭部分では三銃士とミレディが「007」か「ミッション:インポッシブル」か、てな具合のスパイ・アクション・テイストを醸し出してくれたりしてますが、ダルタニアンや三銃士、国王夫妻、リシュリュー枢機卿などのキャラクター設計は定番から大きく外れるものではないので、ごくごく普通に「三銃士」モノとして楽しむことが出来ました。
ミレディもでしゃばりすぎてはいませんし、コンスタンスとアンヌ王妃もなかなかチャーミング。
”王妃の首飾り”はアンヌ王妃が直接バッキンガム公爵に渡したものではなく、リシュリュー枢機卿の命を受けたミレディが盗み出したもの、というのは独自設定ですけどね。

e0033570_2364145.jpg一番違うのはオーランド・ブルームがノリノリで演じているバッキンガム公爵ですが、見た目や出番の派手さの割にそれほど活躍しないのが惜しい。
ミレディ共々途中であっけなく退場・・・と思いきや、最後の最後にドーン!
このまま続編を作れば、これは原作どころか歴史そのものが変わりそうだけど。

ダルタニアン役のローガン・ラーマンは『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』(続編が来年公開に決定したらしい)で注目された若手ですが、撮影当時は18歳。原作のダルタニアンも18歳という設定なので、同年齢の役者が演じるのは史上初なんだとか。

三銃士はアトスがマシュー・マクファディン、アラミスがルーク・エヴァンス、ポルトスがレイ・スティーヴンソンで、どちらかというと「これから」の役者さんばかりですが、決してダルタニアンやミレディー、バッキンガム公の単なる引き立て役に終わっていないのは好印象。
しっかりと「三銃士」になってましたね。これは東地宏樹、津田健次郎、立木文彦ら吹替陣の力量もあってのことかも知れませんが。

e0033570_2372348.jpg吹替といえばダルタニアンに溝端淳平、ミレディに槙れいを起用してましたが、思ってたよりも良かったです。
とはいうものの、やはりタレント吹替には反対。脇にお笑い芸人さんらしい人の名前がズラズラ並んでるんですけど、この人たちは一体全体何をしに来たの?
西凛太朗(ロシュフォール=マッツ・ミケルセン、渋い!)や小川真司(リシュリュー枢機卿ことクリストフ・ヴァルツ役)らがしっかりと脇を固めてくれているので破綻していませんが。

あと残念だったのがオーランド・ブルームの声。
いやファンの方がいらっしゃったら申し訳ないし、決して中村悠一が悪かったという訳ではないんですが、オーリーはどうしても平川大輔でないと・・・。刷り込み効果ってヤツですが。
DVDはこのまんまでしょうけれど、TV放映の際にはダルタニアンとミレディも新キャストにして、是非とも吹替版を新しく作って下さいませませ。
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by odin2099 | 2011-11-11 23:17 |  映画感想<サ行> | Trackback(40) | Comments(4)
先週は日生劇場の『三銃士』を見に行きましたが、今度は帝国劇場100周年記念公演の『三銃士』を見てきました。なんだかややこしいですね。
おまけにご存知の方はご存知の通り、この二つの劇場は結構ご近所さん。知らないで間違えちゃった人、いなかったのかなあ。
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で、こちらは2003年にオランダで初演され、ドイツ、ハンガリー、スイスなどで評判を取った作品の日本初演で、原作は勿論アレクサンドル・デュマ、脚本はアンドレ・ブリードランド、音楽・歌詞はロブ・ボーランドとフェルディ・ボーランド、演出は山田和也。製作は東宝です。

e0033570_10144633.jpg出演は、ダルタニャンに井上芳雄以下、アトス/橋本さとし、アラミス/石井一孝、ポルトス/岸祐二、アンヌ王妃/シルビア・グラブ、コンスタンス/和音美桜、ロシュフォール/吉野圭吾、バッキンガム公爵/伊藤明賢、ルイ13世/今拓哉、進行役・ジェイムズ/坂元健児、ミレディ/瀬奈じゅん、そしてリシュリュー枢機卿に山口祐一郎という布陣。
今度このミュージカル見に行くよー、と知人に話したところ、「いかにも”帝劇”っていう感じのキャストですね」と言われてしまいました。まぁ一年の内、三分の一から半分くらい帝劇の舞台踏んでます、というイメージの方がいらっしゃいますもんね。

お話はパリへダルタニャンが出てくるところから始まり、その途中でロシュフォールと因縁が付き、三銃士と知り合って意気投合、またコンスタンスに一目惚れ・・・と続き、アンヌ王妃とバッキンガム公爵との密会、そしてクライマックスはイギリスへ行ってダイヤの首飾りを取り戻す大冒険。
ダルタニャンの父親とリシュリューやロシュフォールとの確執、アトスとミレディの過去話もきちんと盛り込まれ、最後に念願叶ってダルタニャンは銃士になるものの、ミレディもコンスタンスも死んでしまうという、ちょっぴりほろ苦いものになっています。

原作通りといえばその通りなのですが、出来ればコンスタンスは殺さずにダルタニャンと結ばれるというハッピーエンドにしても良かったかなあ、という気もしましたが。
ちなみにこの舞台版ではボナシューが、コンスタンスの婚約者ということで出てきますが、ヒロインが原作では実は人妻だった、というのは御存じない方も多いかも知れませんね。普通に独身のヒロインに改変されてるケースも結構あると思いますので。

日本初演なので音楽に馴染みがなく(あんまり耳に残るメロディーもなかったような)、登場人物が多いのでちょっと散漫な印象も受けましたが、そこは大デュマの傑作が土台なだけに面白かったです。
日本独自のネタで笑いを取るようなシーンも少なく、その点先週観た日生劇場版よりもしっかり作られてるなあと感じました。出ている役者さんも違いますしね。

コンスタンス、なんだか”萌え”系でしたけど、可憐で良かったです。そのため、より悲劇性が高まっています。
アトスは抑え気味な役なので、なんか勿体ない気が。終演後のトークショー(今回は三銃士+ダルタニャンで、この組み合わせが一番多いそうな)では弾けてましたっけ。
ロシュフォールはギャグが不発・・・といってもギャグ・キャラではないしギャグ・シーンもないんですが、なんかそういう感じのもどかしさが。オーバー・アクトに反響があまりない、というか。

圧巻だったのは、やはりこの人、リシュリュー枢機卿。
硬軟取り混ぜて、というより気持ち悪いくらいの怪演ですね。古くからのファンかと思われる年配のご婦人の中には、若干引き気味の方もいらっしゃったようで。
それでも存在感は圧倒的。
ダルタニャンと三銃士、国王陛下と王妃、彼らを向こうに回すのは他にはミレディとロシュフォールしかいない訳ですから、その大芝居にも意味があるというもの。確かに好き嫌いは分かれるとは思いますが。
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by odin2099 | 2011-07-31 10:16 | 演劇 | Trackback(1) | Comments(0)
日生劇場で上演中の『三銃士』を見てきました。
歩いて数分の帝国劇場でも『三銃士』のミュージカルを上演しているので紛らわしいですが、こちらは「日生劇場ファミリーフェスティヴァル2011」というイベント企画の一本で、この後はクラシックのコンサートやバレエ、人形劇などが順次上演されていきます。
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e0033570_21321694.jpgこのミュージカル、原作は勿論アレクサンドル・デュマ、脚本は中島淳彦、作曲・編曲NAOTO、演出は田尾下哲。
出演は、ダルタニャンに颯太、アトスに松島健市郎、ポルトスに佐藤弘道、アラミスに野沢聡、アンヌ王妃は星奈優里、ルイ13世に三戸大久、ミレディに鷲尾麻衣、コンスタンスに南海まり、バッキンガム公爵が星智也で、リシュリュー枢機卿は壌晴彦
アンサンブルキャストも含めるとメンバーはイッツフォーリーズあり、文学座あり、二期会あり、元宝塚に元劇団四季、体操のお兄さん(笑)ありと多彩です。

上演時間は休憩時間含め、二部構成で約2時間半。お話も随分とコンパクトにまとめられています。

銃士になることを夢見てダルタニャンがパリへやってくるところから始まるのは同じですが、その途中でリシュリュー枢機卿と出会って銃士隊が解散になることを知らされ途方に暮れ、更に銃士隊の代わりに国防軍へ入ることを勧められ、その条件として大悪党の暴れ者アトス、ポルトス、アラミスを倒せとリシュリューの腹心ミレディに唆されるというのは大改変で、ダルタニャンと三銃士の出会いもこのお芝居独自のものになっています。

リシュリューの手下に襲われていたコンスタンスを助けたダルタニャンと三銃士は意気投合しますが、騒乱の罪で牢獄へ。そこで王妃アンヌとバッキンガム公との密会を知り・・・というのは、後の流れをスムーズに見せるための演出でしょうね。
クライマックスは、王妃がバッキンガム公に渡したダイヤの首飾りを、ダルタニャンたちが舞踏会の日までに取り戻すことが出来るか?のハラハラドキドキの展開となります。
誰ひとり死なないハッピーエンドなのは、これはファミリーミュージカルならではでしょうか。

e0033570_21323977.jpg客席にマナーの悪いガキの集団とその保護者がいたりで、結構劣悪な鑑賞条件だったことを割り引いても、残念ながらあまり面白い作品とは言えませんでした。一部を除いて歌も難しそうな覚えにくそうなものが多く、キャリアを積んでる人は問題ないのですが、主役はちょっと厳しいものがありましたね。

場内がどっと沸いたのは、牢獄に囚われていた三銃士とダルタニャンが、狩りに出る国王のお供で外出する場面。
皆、獲物の鳥を入れる籠を背負って出てくるのですが、ポルトスだけは何故か赤いランドセル。
「天使の羽根が付いてるみたいで軽いんだ」なんてセリフがあり、挙句の果てには「ラララ、ランドセルは~ ててて天使の羽根~」と歌い出す始末(流石に歌詞ではなくハミングだけでしたが)。
唯一盛り上がったのが楽屋落ちのシーンというのが何ともはや・・・。
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by odin2099 | 2011-07-23 21:35 | 演劇 | Trackback | Comments(0)
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが大デュマの傑作を映画化した一本で、これだけ若くて美形を揃えた『三銃士』はかなり画期的だったんじゃないのかな。チャーリー・シーンのアラミス、キーファー・サザーランドのアトス、オリバー・プラットのポルトス、そしてクリス・オドネルのダルタニアンという配役は悪くないと思います。というより、結構好き。
ブライアン・アダムスとロッド・スチュワートとスティングが”三銃士”を気取って歌った主題歌もヒットしたっけ。

e0033570_2392345.jpgお話は、銃士隊に入ろうとパリへ出てきたダルタニアンが、アトス、ポルトス、アラミスの3人と出会って意気投合。王位簒奪を狙うリシュリュー枢機卿の野望から、国王陛下を守ろうと奮闘する、というもので、細部にアレンジが施されたり省略されたりしているものの、大筋は原作に準じております。

他のキャストは、リシュリュー枢機卿にティム・カリー、枢機卿の腹心の悪女ミラディにレベッカ・デ・モーネイ、枢機卿の片腕ロシュフォール伯爵をマイケル・ウィンコット、国宝ルイ13世にヒュー・オコナー、王妃アンにガブリエル・アンウォー、そして王妃の侍女コンスタンスにジュリー・デルピーと、主役同様総じて若い配役。

で、公開当時かなり期待しながら映画館へ行ったんですが、ちょっとなあ・・・。
ガッカリ、とまでは行きませんでしたが、やっぱりダイジェスト版だな、という印象を受けました。
今回観直してもやっぱりそうで、ダルタニアンとコンスタンスは2回しか会わないし、ミラディはあっけなく改心して死んじゃうし、上映時間106分は厳し過ぎる気がします。

ティム・カリーにはカリスマ性がなくて単なる小悪党にしか見えませんし(いや、それが狙いなのかな)、ヒロイン(というほど出番はないけど)のガブリエル・アンウォーとジュリー・デルピーは何だか貧相だし。でもこれってひょっとすると、『ロビン・フッド』のアラン・リックマンやメアリー・エリザベス・マストラントニオを意識してるのかしらん?

ケビン・コスナー主演でヒットした『ロビン・フッド』は、重厚な雰囲気に時折コミカルな要素を挟みこんで成功しましたが、そのラインを狙ってたのかも知れません。
予告編には『ロビン・フッド』の音楽流してたし(どちらの作品も音楽担当はマイケル・ケイメン)、主題歌はブライアン・アダムスが歌ってたし。

一応はダルタニアンと三銃士の活躍は描かれていたし、最後の方では国王と王妃が意外な活躍を見せるし、最後は悪の野望が潰えてメデタシメデタシで終わるから(えーと、リシュリュー枢機卿はどうなっちゃったの?)、ディズニー印のファミリー・ピクチャーとしてはこれで良いのかも知れません。

個人的にはレベッカ・デ・モーネイが色っぽくて良かったなあ。
この頃好きだったんですよね、『ゆりかごを揺らす手』を見て以来。
『ギルティ/罪深き罪』とか『ビジター/欲望の死角』とか『ストレンジャー』とか、彼女目当てで見てたっけ。そういえばこの頃は、ヒラリー・クリントンのソックリさん扱いもされてたこともあったのも懐かしいです。

最初にも書きましたけど4人のキャスティングは良いと思うし、これでシリーズ化して欲しいなと思ったり。
あ、でも原作の「第二部」は20年後が舞台だから、今からでも十分間に合うか。

ただねえ、この原作ってフランスの文豪が書いた作品じゃないですか。
それをアメリカ人主体の俳優さんで映画にすることを、フランスの人たちはどう考えているのでしょうか?
例えば『忠臣蔵』を同じアジア系とはいえ全てタイとかインドの俳優さんで映画化されたら、われわれはかなり違和感を覚えると思うのですが・・・。
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by odin2099 | 2011-05-26 23:13 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(2)
恋人メルセデスとの結婚を控え、若くして船長にも抜擢されることになり、幸せの絶頂にあった船乗りのエドモン・ダンテス。しかし彼は突然、シャトー・ディフの闇牢へ投獄されてしまう。
漁師のフェルナンはメルセデスに横恋慕していたため、船会社の会計士ダングラールは不正の発覚を恐れ、そして検事代理のヴィルフォールは、ダンテスが父親宛のナポレオンの手紙を託っていたために保身を図り、共謀して無実の罪を着せたのである。
絶望に駆られたダンテスは牢獄の中で死を願うが、同じく囚人となっていたファリア神父と出会い、生きる希望を取り戻す。そして神父の持つ知識・教養を身に着けた彼は14年後、神父の死に乗じて脱獄し、神父の残した手掛かりから莫大な財宝を手に入れ、”モンテ・クリスト伯爵”を名乗りパリの社交界にデビュー。彼は人々を魅了し、一躍”時の人”となる。
そんな名士の中にはメルセデスと結婚し軍人として出世したフェルナンことモルセール伯爵、銀行家として成功を収めたダングラール男爵、それに検事総長となったヴィルフォールの姿もあった。ダンテスは三人に近付き、徐々に復讐の手を伸ばし始めていた・・・。

e0033570_231856.jpg『巌窟王』の邦題でも知られるアレクサンドル・デュマの傑作を、<痛快 世界の冒険文学>シリーズの一冊としてリライトしたもの。
この作品との出会いは1991年、萩原流行主演のミュージカル版を観に行ったことに遡る。
他の出演者は大輝ゆう、別所哲也、真矢武、荒川亮、堀米聰、鈴木真弓、北村由紀、菱谷紘二、北川潤、壌晴彦ら。
そして音楽は宮川彬良。

このミュージカル『GANKUTSU OH』は原作の忠実な舞台化ではなく、作家デュマが新作を七転八倒しながら作り上げていく過程と、その書きかけの「モンテ・クリスト伯」という作品を劇中劇という形で並行して描き、やがてその二つが渾然一体となっていくという構成になっていて、出演者もそれぞれ二役を演じるという趣向になっていた。
その為に肝心のお話の方はかなりわかりづらいものになってしまっていたのだが、何か異様な迫力を感じ、その後は1942年に作られたロベール・ベルネ監督の映画版を観たり、遂には今では絶版になってしまっている講談社文庫の5巻本に手を出したり・・・という具合。近年作られたケヴィン・レイノルズ監督作品も観ている。

完訳版は他に岩波文庫から出ているだけで(手にとってパラパラめくったことはあるが、何やら読み難そうであった)、あとは抄訳ばかり。
これだけ長大で波乱万丈な物語を、はたして子ども向けの抄訳版で楽しめるのかどうか、という興味でこの本を手にしたのだが、物足りなさは残るものの、やはり元のお話が面白いとワクワクしながら一気に読み終えてしまった。
それでも出来得れば、完訳版を探し出して読んで欲しいと思うものである。
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by odin2099 | 2009-02-03 23:01 | | Trackback | Comments(0)
e0033570_2122996.jpgアレクサンドル・デュマの<ダルタニャン物語>第三部『ブラジュロンヌ子爵』の中から、「鉄仮面」にまつわるエピソードを抽出して映画化したものである。といってもピンとこない人には、『三銃士』のお話の続々編にあたると言えばわかりやすいだろうか。
<ダルタニャン物語>は第一部が有名な『三銃士』、第二部が『二十年後』、そして第三部が『ブラジュロンヌ子爵(十年後)』と三部構成の大長編物語なのである。
日本ではこの手のコスチューム・プレイは当たらないと敬遠されがちだったが、『タイタニック』が大ヒットした直後という公開タイミングだったことも手伝って異例のヒットに繋がった。恐るべしはレオナルド・ディカプリオのパワー、というよりレオ・ファンの女の子のパワーと言うべきだろうか。

但し太陽王ルイ14世とフィリップの双子を演じたディカプリオの頑張りよりも、映画を見終わって印象に残るのは脇を固めるダルタニャンと三銃士たちを演じるベテラン俳優たちで、殊に事実上の主役であるダルタニャン役のガブリエル・バーンが光っている。他にも何か裏のありそうなアラミス役のジェレミー・アイアンズや、実直なアトスを演じたジョン・マルコビッチ、それに天然児そのものといえるポルトスを演じたジェラール・ド・パルデューといった渋い面々が顔を揃えているが、バーンには一歩譲っている。原作を想定するならばバーンはかなりイメージが違うのだが、原作にはない設定を与えられ、役回りが大きく変化した新たなるダルタニャン像には見事にハマっている。ただ、フランス文学を代表する傑作の映画化にしては、フランス人俳優がド・パルデューだけなのは少し寂しい。

e0033570_21222641.jpgメル・ギブソン監督・主演の『ブレイブハート』の脚本も手掛けたランダル・ウォレスは宗教や歴史に造詣が深いようで、『三銃士』の映画化というより、自分なりの『三銃士』物語の構築を目論み、原作とは様々な部分で異なる独自の解釈、設定を盛りこんでいる。
例えばルイとフィリップの出生の秘密にダルタニャンを絡ませたり(余談だが原作ではフィリップが兄、ルイが弟であるが、本作では何故か逆になっている)、ラウルとクリスティーヌ(原作のルイーズ)のエピソードをあっさりとまとめたり、フーケやシュヴルーズ夫人ら重要な人物を割愛したり、と枚挙に暇がないが、最大の改変はやはりルイとフィリップに訪れる結末が、原作とは全く逆であることだろう。これにより幾分かハッピーエンドになったのはハリウッド風と言えるが、原作の持つ独特の香り、重み、悲劇性といったものが損なわれてしまったのは如何なものだろうか。
ただ「仮面の男」とは鉄仮面を被せられて育ったフィリップのことではなく、心に仮面をつけていた(と解釈される)ダルタニャンである、とする映画の流れからすれば、この改変は一貫性を持ったものだとの断言は出来る。フィリップに感情移入して見ていた観客には違和感なく受け入れられるだろう。
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by odin2099 | 2007-10-06 21:25 |  映画感想<カ行> | Trackback(3) | Comments(4)
e0033570_23383870.jpg無実の罪を着せられた船乗りエドモン・ダンテスが、やがて幽閉された牢獄から脱獄、隠された財宝を得て”モンテ・クリスト伯爵”を名乗り、自分を陥れた者達への復讐を果すという波乱万丈の物語は、『巌窟王』というタイトルでも知られている。
このアレクサンドル・デュマの傑作を、その生誕200年を記念して映画化したのがこの作品で、監督はケヴィン・レイノルズ、出演はジム・カヴィーゼル、ガイ・ピアース、ダグマーラ・ドミンスク、そしてリチャード・ハリス。
ビデオ&DVD発売に際して『モンテ・クリスト/厳窟王』と改題されている。

上映時間は約130分あるが、なにせ原作が膨大であるためにその枠に収めるにはかなりの苦心のあとが窺える。かなりのキャラクターやエピソードが省略もしくはアレンジされているのもその為だが、中でも一番変更されているのがキーパーソンのメルセデスだろう。
メルセデスはダンテスの婚約者であり、それを嫉んだフェルナンがダンテス失脚を画策した一人なのだが、そうと知らないメルセデスは失意の中フェルナンと結婚し、一子アルベールを儲けるというのがオリジナルの設定。ところがこの映画版ではアルベールが実はダンテスの子供であり、その事実を隠す為に急いでフェルナンと結婚したということになっており、その堂々たる貫禄ぶりは主人公ダンテスが霞んでしまうほど。ただの”悲劇のヒロイン”にとどまらず、女の強かさを発揮したキャラクターになっているのは現代的アレンジなのか。霞むといえばダンテスの恋敵フェルナンに重きを置いているのもこの映画の特徴だが、演じたガイ・ピアースの魅力もあってダンテスがやはり霞んでしまう。

それでも最後まで見通すと、実はダンテス役ジム・カヴィーゼルの受身の演技あってこそのフェルナンであり、メルセデスであることがわかり、ああやはり主人公はダンテスなんだなと実感させてくれる。そしてダンテスの師となるファリア神父を好演したリチャード・ハリス。この作品と、続く『ハリー・ポッターと秘密の部屋』が遺作となってしまったが、返す返すもその死が惜しまれる。

e0033570_23385793.jpg物語は囚われのダンテスが脱走するまでに半分近くが費やされ、またクライマックスはダンテスとフェルナンの一騎撃ちに割かれているため、社交界に華々しくデビューした”モンテ・クリスト伯爵”が、ジワジワと復讐の計画を進める部分は意外に少ない。この部分がなかなか陰湿であり、かつ快感をもたらすのだが、「すぐには殺さない、自分と同じ苦しみをたっぷりと味合わせてから」という宣言とは裏腹にあっさりし過ぎているのがやや物足らない。が、史劇というよりもアクション映画として作られていることを考えればこれは致し方ない部分だろう。
ただ復讐を果たした”モンテ・クリスト伯”=ダンテスが、メルセデスやアルベールと共に旅立って行くラストシーンは驚愕。この強引なハッピーエンドの導入がハリウッド流なのだろうか・・・?
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by odin2099 | 2007-10-03 23:41 |  映画感想<マ行> | Trackback(2) | Comments(4)

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