【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

タグ:ジョン・グリシャム ( 5 ) タグの人気記事

e0033570_2321097.jpg選挙で歴史的な大敗を喫したモーガン大統領が、公職を去る前に下した特赦。その中にはかつては辣腕ロビイストとして鳴らしたものの、スキャンダルによって獄中の人となった元弁護士バックマンの姿もあった。彼はCIAの庇護の元、イタリアで別人になりすまし新しい人生を送ることになったのだが、実はこの特赦はCIA長官メイナードの策略だったのだ。バックマンの持つ、所有国家不明の最新軍事衛星システムの謎を巡り、各国の諜報機関はその行方を追い求める。そしてそのことに気付いたバックマンもまた、決死の逃亡生活を繰り広げるのだった・・・!



e0033570_2322460.jpgアカデミー出版から「超訳」として刊行されたり、また旧作のお色直し版だけでなく新作も小学館から出版されたりと、このところ紆余曲折が激しかったグリシャムの最新作が久々に新潮社から発売されている。今回はリーガル・サスペンスという枠からは随分とはみ出し、ハイテクを駆使した最新のスパイ兵器(偵察衛星)の争奪戦が中心。だがそこはグリシャムのこと、スパイ・アクション物やポリティカル・フィクションとは一線を隔しており、あくまで法曹界出身者らしい内容に留まっている。そして御馴染み”ジェット・コースター・ノベル”と称される怒涛の展開も健在。
ただこの作品に関しては若干尻切れトンボの嫌いもあり、キャラクターを使い切っていないなと感じる部分もあるのだが、もしかすると続編を想定しているのかも知れない。そう思わせるだけの含みを持たせて作品は幕を閉じている。
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by odin2099 | 2007-10-04 23:04 | | Trackback | Comments(0)
銃乱射事件で夫を失った女性が、銃器メーカー相手に責任問題を問う民事訴訟を起こした。原告側、被告側共に陪審コンサルタントを雇い、自分たちに有利に裁判を進めようと暗躍を始める。そんな中、陪審団に潜りこんだ一人の男が怪しい動きを見せ始めた。時を同じくして、双方に評決を金で買わないかと持ちかける謎の女性が現れる・・・。

原作はジョン・グリシャムの『陪審評決』。ただし原作での設定はタバコ訴訟だったが、映画ではこれが銃規制問題に変えられている。
この改変が原作の味を損なうのではという危惧もあったが、見終わって全く違和感はなし。土台がしっかりとした物語は、少々のことでぐらついたりはしないものだ。
またもう一つの柱である陪審制度の問題、こちらは原作の要素をしっかりと掬い取っている。実際に陪審員への脅迫や買収が行われているかどうかはさておき、そう思わせるだけのリアリティは感じられた。日本でも裁判員制度が導入されれば、あながち他人事とは言っていられないだろう。

e0033570_21332230.jpgジョン・キューザック、レイチェル・ワイズ、ジーン・ハックマンそしてダスティン・ホフマンの演技合戦も見応えがあり、グリシャム作品の映画化作品としては上出来の部類。主人公の行動の動機付けを、ある特定の個人への復讐に特化したのは映画での変更点だが、限られた時間内で物語を転がす上では悪くない改変であろう。
ただ毎度思うことだが、こういうディスカッション・ドラマだとやはり字幕スーパーは不利。日本語吹替の方がお勧めだ。

ところでこの作品、原作も映画も原題は”RUNAWAY JURY”。直訳すれば”逃げる陪審員”で、原告側と被告側で票の取り合いをすることを指しているのだろうけれど、陪審制度に馴染みの薄い日本で原作小説が『陪審評決』という邦題になったのはわからないでもない。
しかし映画版の『ニューオーリンズ・トライアル』という邦題は全く意味不明。確かに舞台となっているのはニューオーリンズだし、審判(トライアル)が行われるのもニューオーリンズ。しかしこれでは最早別物だ。
更にビデオ&DVD化に際して『ニューオーリンズ・トライアル/陪審評決』と改題。最初からそうしておけば、原作ファンにもアピール出来たものを・・・。
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by odin2099 | 2007-09-11 21:34 |  映画感想<ナ行> | Trackback(8) | Comments(8)
e0033570_232015100.jpg二人の最高裁判事が、一夜にして殺害されるという痛ましい事件が起こった。法学生のダービー・ショウは、興味本位から殺害犯人に関する仮説を立てて論文にまとめ、これを恩師であり恋人でもあるキャラハンに見せるが、やがてその文書はキャラハンの手からFBIを経て、遂には大統領の下へと届いてしまう。「ペリカン文書」と名付けられたその論文には、ホワイトハウスを震撼させる内容が記されていたのである。
車に仕掛けられた爆弾によってキャラハンが殺され、自分の命が狙われていることを確信したダービーは必死の逃亡を図り、これを謎の集団が追い回す。周囲の誰も信用出来なくなった彼女は、敏腕記者のグレイ・グランサムにコンタクトを取り、彼に全てを賭ける決意を固めるのだった。

ジョン・グリシャムのベストセラーを映画化したものとしては2本目で、後半からラストに至るまで原作を改変しまくった前作『ザ・ファーム/法律事務所』(原作は『法律事務所』)に比べれば、監督のアラン・J・パクラは原作を手際よく整理して遥かに忠実にまとめあげている。もっとも判事殺害の目的などは、映画を観ているだけではあまりピンとこないだろうと思うが。原作を読んで、2~3回くらい見直した方が良いだろう。
e0033570_23203367.jpgそれに、グリシャム作品ということで法廷サスペンス物を期待される方にはあまりお勧め出来ない。確かに主人公こそ法律に携わってはいるものの、全体は大統領を中心にした政治絡みのスキャンダルを追いかけるジャーナリストの物語だからである。

ダービー・ショウを演じているジュリア・ロバーツは、今ひとつ知的な大学生には見えないのが難だが、グリシャム自身は端から彼女を念頭においていたんだとか。対するグランサム役のデンゼル・ワシントンは、これははまり役。サム・シェパードやジョン・リスゴーら脇役陣も好演で、それだけでも一見の価値はあるのでは?
なお『ザ・ファーム』と本作には共通するキャラクターがいるが、製作会社が違うために出番が割愛されたり、別キャストになっているのがやや残念(次作『依頼人』に至っては、まるごと削除されてしまっている)。
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by odin2099 | 2006-09-17 15:01 |  映画感想<ハ行> | Trackback(4) | Comments(6)
e0033570_19362059.jpgエリート法学生のミッチェル・Y・マクディーアは、大手法律事務所からの誘いを断り、破格の条件を提示してきた少数精鋭の事務所を選択した。しかしミッチはやがて、この事務所の隠された裏の顔を知ることになる・・・。

ジョン・グリシャムのデビュー作は『評決のとき』だがサッパリ売れず、2作目のこの作品からベストセラー作家の仲間入りをすることになった。映画化されたのもこれが最初である。

  × × × ×
野心家の若き弁護士、という主人公のキャラクターは正にトム・クルーズに適役で原作のイメージ通りなのだが、残念ながら映画化にあたって大きくキャラクターが変貌してしまった。
クライマックスでミッチは、マフィア、FBI双方から追われる事になり、それに完全と立ち向かって遂には両方とも出し抜く、というコン・ゲームの爽快感があるのが原作の筋なのだが、映画ではその件がバッサリとカットされ、安易で落ち着いた生活を求めるかのごとく小市民的な選択をして終わる、というなんとも拍子抜けする結末になってしまっているのだ。
原作をそのまま映画に置き換えるのが必ずしも良いとは思わないが、これによってミッチは「精悍で強かな奴」から「保守的な安定思考の男」になってしまった。
自分勝手で独り善がりなキャラクターこそトム・クルーズの真骨頂ではないのか?原作者も気に入らなかった(らしい)この改悪にも拘らず、『ジュラシック・パーク』、『ラスト・アクション・ヒーロー』といった並居る強敵を相手に大健闘をみせたのは不幸中の幸いか?
(「しねま宝島」からの引用)

  × × × ×

e0033570_1138892.jpgという訳で、先に原作を読んでいて期待していただけに、不満も大きかった。
長いお話だけに省略や改変は常ではあるのだけれど、一番面白い部分をソックリ入れ替えてしまうのはどうにも納得いかない。
ジーン・ハックマン演じる上司のキャラクターを膨らませたり、ジーン・トリプルホーン扮するミッチの妻アビーを大筋に絡ませたりする前に、もっときちんと押えておくべきポイントがあったんじゃなかろうか、と思う。
こずるく立ち回って自分を正当化するミッチはミッチじゃない。何度見てもその点は不満だ。
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by odin2099 | 2006-04-23 14:35 |  映画感想<サ行> | Trackback(2) | Comments(0)
e0033570_15544328.jpg死期が迫った元判事の父に呼び出され、大学教授のレイとその弟である薬物中毒患者のフォレストは久々に実家へと戻ることになったが、既に父ルーベン・アトリーは息を引き取っていた。しかしそこでレイは、清貧で品行方正だったはずの父が、一切の記録を残さなかった300万ドルもの現金を見つけてしまう。父は何故こんな大金を残すことが出来たのか。そして記録に残っていないのは何故なのか。レイはフォレストにもその存在を知らせず、父の友人だった弁護士や元秘書だった女性らから情報を得ようと務めたが、依然金の出所は謎のまま。そうこうしているうちに、レイの元へ脅迫状が届き、家が荒されるという事件が起こり始める。必死に手がかりを探すレイは、父の担当した公判の記録を調べ、やがて・・・。

『裏稼業』同様にアカデミー出版の超訳として刊行されたジョン・グリシャム作品の2作目。ハードカバーで発売されたときは『召喚状』という書名だったが、ソフトカバー版では何故か表題のように改められた。

”超訳”故の読みやすさか、それとも元々持っている”ジェット・コースター・ノベル”、”グリシャム・マジック”故かはわからないが、上下巻を一気に読ませる勢いは健在。しかし『裏稼業』もそうだったけれども、読んでいてどうもこれまでのグリシャムらしさを感じない。
そもそもストーリーがそうなっているのか、それとも”超訳”のスタイルがグリシャム作品と合わないのか。この作品も、結局は金を巡っての汚い争いということで落ち着いてしまい、ラストも何だか釈然としないものだった。
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ところで作品中にタバコ訴訟が云々という台詞があるのだが、これはもしかすると『陪審評決』での事件を指しているのだろうか。だとすれば作品世界の幅が広がっていくようで面白い。
かつては『法律事務所』、『ペリカン文書』、『依頼人』の3作品に共通する人物を出したり、『処刑室』では『評決のとき』の事件に言及させたりしたグリシャムのこと、ありえないことではないと思うが。
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by odin2099 | 2006-03-06 06:27 | | Trackback | Comments(4)

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