『黒猫/モルグ街の殺人』 エドガー・アラン・ポー
2009年 04月 08日
「黒猫」、「本能vs.理性――黒い猫について」、「アモンティリャードの樽」、「告げ口心臓」、「邪鬼」、「ウィリアム・ウィルソン」、「早すぎた埋葬」、「モルグ街の殺人」の8編を収めたエドガー・アラン・ポーの短編集です。
名前だけは知ってはいるものの、その作品に付いては殆ど知らなかったポー。
新訳が出たのを見つけ、それなら読んでみようかなと手に入れたものの、ずっとそのまんまになっていたのですが、ここのところミステリー付いていることもあって、ようやく読みました。
丁度、NHKのBS-hiで特番が放送されたのも、巡り会わせが良かったですね。
ただ期待値が高かったせいか、読み終わっても「ふーん、こんなものか」という思いの方が強かったです。
前振りが長く、なかなか本筋に入らないなーと思いながら読み進めていくと、本筋の方はなんかあっけなく終ってしまう。
どの作品もそんな印象でした。
「山椒は小粒で・・・」ではないですが、小粒ながらピリっとした辛さはありましたが、メインディッシュにはなり得ない、そんな物足りなさ、食い足らなさが残ってしまいました。
ただ、この中では一番分量の多い「モルグ街の殺人」、流石にこの作品だけは他の作品とは違った読み応えがありましたね。
コナン・ドイルはこの作品に影響を受けて<シャーロック・ホームズ>物を書いたという話ですが、正にその原型といった感じがしました。
今読むと「どこが?」レベルなんだろうけど、小学高学年になっても電気消して真っ暗で寝るのビクビクしてた自分としては(汗)、「壁の中から猫の声」なんてシチュエーション、マジびびりますって。
ま、こういうのは子供時代に読んでおいて正解ってことですね。
そういう意味で読むのに時期を逃した本ってたくさんあるんだろうな。
理詰めじゃなく、感性で読まなきゃいけない本ってのは、確かに存在してるんだと思います。
本との出会いも「一期一会」。
やっぱりタイミングが大事なんでしょう。
同級生に比べると本を読んでる方だったと自負してるんですけど、それでも「あの頃読んでおけば」って本は、もう枚挙に暇がありません。