『GATCHAMAN/VOL.1 ガッチャマンVSタートルキング』
2009年 04月 10日

オリジナルのTVシリーズを再編集した劇場版が相次いで公開され、それを受けて続編も作られ、今またビデオというジャンルで復活とは、両シリーズはまるで見えない糸で結ばれているかのようです。アニメブーム勃興期には人気投票で一、二を争う間柄でしたし。
それに『YAMATO2520』の音楽を担当したのはMHJQのデビッド・マシューズですが、こちらはEW&Fのモーリス・ホワイトとビル・メイヤーズを起用というのも不思議な縁です。
ただし『YAMATO2520』が一応は”続編”として作られているのに対し、この『GATCHAMAN』はリメイクだという違いがあります。
「ヤマト」の新作が作られると聞いたときは喜んだものですが、「ガッチャマン」に関してはあまり想い入れがないせいか、さほど関心はありませんでした。
ところが発売直前にラジオ局のニッポン放送が特番を放送。これがまた、あの「オールナイトニッポン」の枠!
「オールナイトニッポン」でアニメの特番を組むなんて10年ぶりぐらいのことだったのじゃないかと思いますが、映画の公開前夜祭的特番や4時間生ドラマを眠い目をこすりながら欠かさず聴いていた世代なもので、これで一気に盛り上がってしまいました。
この第1話は、旧TVシリーズの第1話と第2話の前後編の展開をほぼなぞった形で、緊張が高まる世界情勢、その裏側で暗躍するギャラクターの存在、そしてそのギャラクターに対抗すべく、南部博士が秘かに結成した科学忍者隊の活躍を描いています。
キャラクターや設定の紹介編としてはタップリと時間がとられ、作画も丁寧に仕上げられ、スケール感も充分にあり、満点とは言いませんがそれに近い出来となっています。

キャスティングも総裁X役の田中信夫を除いて総入れ替えですが、健の小野坂昌也、ジョーの石井康嗣、南部博士の沢木郁也らはそれぞれ森功至、ささきいさお、大平透を髣髴とさせ、ベルク・カッツェの塩沢兼人に至ってはある面でオリジナルを凌駕する存在感を醸し出していました。
最初は絵柄も声も違和感を持たれるでしょうが、慣れてくるとあまり気にならなくなってくるのではないかと思います。
田中信夫の総裁Xは、もうこの人しかいないという感じでしょうか。
タツノコプロは前後して『新造人間キャシャーン』や『破裏拳ポリマー』のリメイク作品を発表し、それぞれキャストは一新されているのですが、それでも『キャシャーン』ではブライキング・ボスの内海賢二、『ポリマー』なら車錠の青野武といったキーとなるキャラクターだけ、オリジナル・キャストのベテランを残していますが、これは旧作ファンへの配慮なのでしょうか。
キャスティングで面白いと思ったのは、白鳥のジュン。
この作品でのバード・チェンジのシーンで、何故かジュンはキューティーハニーばりのオールヌードを披露しているのですが、ジュンを演じた根谷美智子はこの作品の前に、やはりビデオで復活した『新キューティーハニー』でハニー役を演じているのです。
まさか楽屋落ちではないでしょうが、これまた不思議な縁と言えるのかも知れません。
ちなみにこのリメイク版は全3話。
「ガッチャマン」のエッセンスを3本で描くというのは端から無謀な企画だと思いますが、案の定、2話3話と続くうちに尻蕾になってしまいます。
この第1話のクオリティを維持し、10話20話とは言わないまでも、せめて5話ぐらい掛けて「ガッチャマン」ワールドを描写してもらえれば、もっと注目に値する作品になっていたのではないかと思います。
今回改めて第1話を観直しましたが、本当に勿体無く感じました。