『老人と海』(1999)
2009年 04月 14日
ペドロフは、ガラス板に直接指で絵を描くという独特の手法で作品を作り上げていきます。絵を描き、それを撮影すると、次はその絵を消してまた新しく描く、という気の遠くなるような手順を繰り返していくのです。
これは”レンブランド手法”というものらしいのですが、この短編も絵を描くだけで2年半もの時間を費やしているそうで、トータルの製作期間は4年以上になるとのこと。その根気、集中力も賞賛に値すべきものだと思います。
そのタッチはかなり写実的な油絵調のもので、海や空を表現する色使いの素晴らしさ、老人と魚との躍動感溢れる生命の遣り取り、それら丁寧に描きこまれた美しさがアイマックスの大画面に映し出された瞬間は、月並みですがただただ"感動”の一語でした。
今ではアイマックス・シアターで”体感”する機会はなかなかないかと思いますが、この映像美の一端はDVDでも味わうことが出来ますので、未体験の方は是非に。何年ぶりかで観直してみましたが、心が洗われる想いでした。
ただ一つだけ難を言えば、DVDに収録されているのが<日本語版>のみなこと。
劇場公開時は致し方ないかと思いますが、せっかくDVDでリリースするのならば原語版でも観て(聴いて)みたかったものです。
ちなみに<日本語版>では、老人が三國連太郎、少年が松田洋治という配役になっています。