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『大ヤマト零号/Vol.1 発進編』

『大ヤマト零号/Vol.1 発進編』_e0033570_6244975.jpg強大な七つのメタノイド艦隊の侵攻により、A銀河(天の川銀河)連合の艦隊は次々と撃破されてゆき、数億の惑星の艦隊も残るは僅かに六つ。
そんな中、地球から大ヤマト零号がA銀河連合に参戦を表明。
誰からも期待されないボロ艦である大ヤマト零号の目的は、その秘められた謎とは一体何なのか?

というわけで(どういうわけ?)、今度は『大ヤマト零号』です。
いやー、この作品も紆余曲折ありましたなぁ。
この作品について語るには、まずその紆余曲折から説明しなきゃいけないと思いますので、かいつまんで説明すると…?

そもそもはこの作品、松本零士のマンガ『新宇宙戦艦ヤマト』のアニメ化に端を発しているワケです。
あの「古代進32世」が出てくるヤツですね。
で、元々このマンガ自体が非常にグレーゾーンというか、かなりブラックに近い存在だったのですが、案の定権利関係のゴタゴタから連載は中断し、アニメ化は頓挫。
そこで急遽企画変更して、今度は『大銀河シリーズ 大ヤマト編 7 VS. 7』というTVシリーズに鞍替えして製作が始まったものの、またもや中断。
で、それを再構成してOVAとして発売されたのがこの作品ということになるのです。
まあ、お蔵入りしなくて良かったよなぁ、というべきか、それとも掛かった製作費は少しでも回収しようという商魂の逞しさの表れというべきなのかの判断は皆さんにお任せしますが。
あ、アニメ作品としてよりも、「大ヤマト」はパチンコや中古車メーカーのキャラとして、一部には知られる存在になってましたっけ。

しかしながらこの『大ヤマト零号』、わざわざこんな注釈が付いてます。
「今回発売される「大ヤマト零号」は、オリジナルビデオアニメーション用に松本零士先生によって創作され、(株)ベンチャーソフト社が新たに製作したSFスペクタクル巨編であり、テレビアニメーションシリーズ予定の「大銀河シリーズ 大ヤマト編 7 VS. 7」とは異なる設定となっております。こちらも現在企画進行中ですのでお楽しみにお待ちください。尚、上記2作品は共に「宇宙戦艦ヤマト」と関連する作品ではありません。」
…おいおい。

先に発表されてた『大銀河』のお話は、正にこの作品と同じなんですけど、そうすると何かい?また一から設定を作りなおして別に『大銀河』を作ろうっていうんですかね。
それに大ヤマトのデザイン、ネーミングはどう考えたって宇宙戦艦ヤマトそのもの。
ヤマトに翼をつけて更にゴテゴテと飾り立てた、まるでバッタもんのようなフォルムなのであります。
個人的には、「スター・トレック」のエンタープライズ号とヤマトを合体させたような感じ、なんて思ってますが、ここまでやっておいて無関係と言い切るなんて空々し過ぎます。
そして決定的なのが、大ヤマト零号のテーマ曲として使われているのが、「ファイナルヤマト・斗い」のメロディーをCD『交響組曲 新宇宙戦艦ヤマト』のために再録音したものだということ。
他にもこの『交響組曲 新ヤマト』から音源が流用されてますし、極言すればこの作品、『宇宙戦艦ヤマト』の変則的なリメイク作品だと言い切っても良いんじゃないのかね。
色々と「大人の事情」というヤツが幅を利かせているんでしょうが、ウソはいかんよなぁ、ウソは。

ただ、製作事情は何であれ、やっぱり楽しめちゃうんです、作品は。
キャラクターはやったらに多いし、皆さん何らかのワケありの過去を持ってるようだし、物語の背景設定や世界観、シチュエーションの説明が殆どなく、松本作品特有の「今にわかる」的なセリフが多いので(大概はいつになってもわからないか、さもなきゃその設定はなかったことにされてしまいますが…)、一度観ただけじゃチンプンカンプンなのですが(というか、何度観てもわかんなかったりするんですけど、それは素人さんが書いたと思しきシナリオの問題かと思います)、それでも「ヤマト」とも他の松本作品とも違う、その中間みたいな雰囲気は嫌いじゃありません。
如何にも、TVの2話分をくっつけて1時間近い尺にしました~、と言わんばかりの構成には苦笑するしかありませんけど、そこはかとなく感じられる「ヤマト」的な匂いにはやっぱり惹きつけられます。
猫にマタタビ、みたいなもんでしょうか。
「ヤマト」にも「松本零士」にも関心がない人には薦めませんが、「ヤマト」ファンを自認している方ならば、一度は観ておかなきゃいけないんじゃないかなぁ、なんて思います。

ちなみに現在出ているBOX版では、製作会社が解散して権利関係が移転した影響もあるのでしょうが、オープニングとエンディングが別のものに差し替えられています(クレジット表記も)。
それに何故か本編も短くなり、幾つかのセリフやシーンがカットされちゃってます。
なんでだろ。

Commented by よろづ屋TOM at 2009-04-24 13:02 x
( ̄ロ ̄lll) 沖田は海の底で泣いてるぞ…と言いたい…
わたしはあとづけのヤマト関連はエクスカリバーさんの記事でしか知らないんですが、昨年暮れにどっか出掛けたとき、ガソリンスタンドで円盤体合成型の変なヤマトのでかい看板を観て、その場にくずれそうになりました。
まさに orz... 
情けないというか、哀しすぎますよ。永井一郎さんの声で佐渡先生が「すまんっっ。本当にすまんっっ」と地球のために闘った英霊達に詫びてるような気分になってしまいました。

最初のヤマトも松本センセにも関心ありすぎなんで、お願いやからもうやめて…と泣きたい気分です。辛すぎる。
Commented by odin2099 at 2009-04-25 22:32
それはきっと「カーコンビニ倶楽部」の看板でしょうね。
そうか、「ヤマト車検」ってまだあったんだ・・・。

逆にこの作品、正々堂々と「ヤマト」の続編(というか、世界観を共有した新作)だと宣言していたら、諸手を挙げて歓迎したかも知れません。
それならば「ヤマト」という名前を冠した理由も、デザインの類似も一応は納得いきますから。
また作品自体を認めてないわけでもないのです。
ただただ「無関係だ」としらを切る態度が許せないってことで。
ホント、哀しくなります。。。
by odin2099 | 2009-04-24 06:27 | ビデオ | Trackback | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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