『ゴジラ対メカゴジラ』(1974)
2009年 06月 22日
ゴジラ生誕20周年の記念作品。
だからなのか予算も増えたらしく、前作前々作ほど旧作からの流用は目立ちません。
怪獣も、メカゴジラにキングシーサーと2体のニューフェースがデビューし、前作ではちょっとだけ出てきていたアンギラスも、前座とはいえ活躍します。
おまけに平田昭彦、小泉博、佐原健二といったシリーズお馴染みのベテラン勢に、岸田森や睦五郎も加わるなど安定感あり。やっぱりフィクションの世界をリアリティを持って表現するには、きちんと芝居の出来る人を配さないとね。

このあと大門正明は、『ウルトラマン80』や『電脳警察サイバーコップ』などヒーロー物でも活躍したし、青山一也はこの前年、『流星人間ゾーン』で主役を張った人。一応ジャンル系(?)の役者さんの起用だったってことですね。
ヒロインは、エメラルダスやオスカルどころか、まだバイオニック・ジェミーにもなる前の田島令子。
この時は24~5歳だったと思いますが、美人というより可愛いといった感じです。
物語の舞台は、日本に返還されて2年、そして海洋博の開催を翌年に控えた沖縄で、「ゴジラ」シリーズとしては珍しく、観光地映画になってました。どっちかというと「ガメラ」っぽい舞台設定というか、雰囲気がします。
やまとんちゅの自分としては、毛色が変わって面白いなぁ、異国情緒に溢れてるなぁ、ぐらいの認識しかないのですが、うちなーんちゅの人から見ると、この映画内の沖縄の描写はどうなんでしょうか。ハリウッド映画に出てくる”ヘンな日本”に近い感覚なんでしょうかね。
ただ、田島令子が演じたヒロイン金城冴子は、「カネシロ」でも「キンジョウ」でもなく、「カナグスク」と読ませるあたりに製作サイドのちょっとしたこだわりを感じます。
ところでこの名前、ウルトラシリーズのみならず初期円谷プロ作品を支えた名脚本家・金城哲夫へのオマージュだったり・・・は、しないのかな。沖縄では一般的な苗字らしいのですが、この頃はまだご存命で、確か沖縄海洋博のプロデュースも手掛けていたはずですが。
佐藤勝の音楽が軽快で、メカゴジラの存在感もバツグン。
ゴジラもかなり追い詰められるものの、頭を働かせて(?)逆転勝利!
しかし一方で、重要な役回りのはずのキングシーサーが全くといってよいほど存在感を示さないのはなんなんでしょうか。
ちっとも強くないし、なんで宇宙人たちはそんなに警戒してたんだろ。
これならそのまんまアンギラスがパートナーで良かったのに。

ゴジラ対メカゴジラ(1974/日本) 評価(お奨め度)★★★★☆ 監督: 福田純 製作: 田中友幸 原作: 関沢新一/福島正実 脚本: 福田純/山浦弘靖 撮影: 逢沢譲 美術: 薩谷和夫 編集: 池田美千子 音楽: 佐藤勝 アクション: 久須美護(キングシーサー)/図師勲(ゴジラ)/森一成(メカゴジラ) 特技・合成: 三瓶一信 特技・撮影: 富岡素敬 特技・美術: 青木利郎 特技監督: 中野昭慶 出演: 大門正明/...... more
一番最初のメカゴジラは、その登場の仕方にインパクトがありましたね。初めはゴジラそっくりに偽装していて、本物のゴジラの前で正体を現した時のカッコ良さは東宝怪獣映画史上に残るものだと思います。落雷のエネルギーを受け必殺技を開発しているゴジラが、スポ根の主人公みたいで熱血してましたが、キングシーサーとアンギラスにはもう少し頑張って欲しかった(汗)。
考えてみると、メカゴジラはどれも女性が関係してますね。桂さんと繋がる事で、彼女の頭脳を得たメカゴジラⅡ。未希ちゃんが乗り込む事で、彼女の超能力を得たGフォースメカゴジラ。そして、家城茜隊員の操縦する機龍。
最初のメカゴジラの時には、豪華にもヒロインが3人。主役格のヒロインを田島令子さんが演じてましたが、何故か出番は多いのに主だった活躍が殆ど無く、むしろ出番の少ない博士のお嬢さんの方が、正体を現したメカゴジラと遭遇したり、囚われの身となったりと目立った活躍をしているので、幼少時に見た時、私は博士のお嬢さんの方が主役格だと思っていました。
大きくなってから再び見た時キャスティングを見ると、私から見て影の薄かった田島さんが主役格で、キングシーサーを目覚めさせる為だけに活躍したこれまた影の薄い沖縄の人が2番手。博士のお嬢さんは最後に名前が並んでいたので、不思議な気持ちになったものです。
往時の作品群と比べてしまうのは酷ですが、この時期としてはかなり力の入った作品だったと思います。
アンギラスと、特にキングシーサーの扱いには不満が残るのですが、まあこれは言っても詮無いことなんでしょうかね。
クレジットの序列は物語上の重要性よりも、やはり俳優さんの格で決まるものですね。
その後の活躍ぶりを見ても、田島さんが上に来るのは仕方ないかと。
ハリウッド映画などはもっと顕著ですよね。
例えば『スーパーマン』。
主役のクリストファー・リーブよりも、冒頭に出てくるだけのマーロン・ブランドと、敵役のジーン・ハックマンが先にクレジットされますし。
済みません。実は初めましてではありませんでした。10年程前にアンギラスの事で訪れた事があったようです(苦笑)。
「対メカゴジラ」でのアンギラスの痛め付けられ方は語り草になるぐらい痛ましいですね。アンギラスは優しく健気なイメージがあるせいか痛ましさも並では無いです。
でも、ただ痛ましいだけなら救いが無いですが、彼は優しいからこそ強い。あの時は彼が偽ゴジラと戦ってくれたからこそ多くの人々が避難でき、傷つきながらも怪獣島のゴジラに伝えたからこそゴジラは日本の救援に向かう事ができたのだと思います。
深い傷を負わされたアンギラスですが、ゴジラ生誕25周年記念の年に某テレビ雑誌に掲載された記事によりますと傷はすっかり完治したとの事です。このまま何事も無く、ゴジラ達と平和に暮らして欲しいです。
アンギラスはあの鳴き声がチャームポイントでしょう。
ラドンは同格のパートナーという感じでしたけど、アンギラスは明らかにゴジラより格下な感じがしますね。
初代は割と獰猛でしたが、二代目は本当に痛々しく感じます。
レジェンダリーの<モンスターバース>が今後も続くなら、新解釈での復活も望みたいところです。