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『宇宙怪獣ガメラ』(1980)

『宇宙怪獣ガメラ』(1980)_e0033570_237798.jpgなんで「宇宙怪獣」なのか、というギモンはさておき、ゴジラの休眠中にちゃっかり甦っちゃったガメラくんです。

通算で8作目、徳間書店がバックについた”新生”大映としては1本目ということになりますが、実は人間側のドラマは新撮ですけど、怪獣が暴れまわる特撮シーンは全て旧作からの使いまわしという、低予算の再編集映画だったりします。
自分が劇場で観た初めての「ガメラ」映画でして、併映は『鉄腕アトム/地球防衛隊の巻』
春休みの映画館は結構ガラガラだったっけ…。

宇宙海賊船ザノン号が地球に接近、地球を征服するために次々と怪獣を送り込んできます。
平和星M88から派遣されて来ているスーパーウーマンたちは、何とかザノン号の侵略から地球を守ろうとするのですが、武器を持たない彼女たちはあまりに無力。
そんな時カメ好きの圭一少年の、「自分のカメがガメラになって怪獣をやっつけてくれればいいのに」という言葉をヒントに、超能力を使ってガメラを誕生させ、怪獣たちに立ち向かわせることにするのでした。

ということでザノン号はギャオスを筆頭に、ジグラ、バイラス、ジャイガー、ギロン、バルゴンの順に怪獣を繰り出し、ガメラが次々とそれをやっつける、というのが主筋。
これに、圭一くんとスーパーウーマンたちとの交流、そしてザノン号からスーパーウーマン抹殺の命を受けた女刺客の暗躍が絡んでくる、というのがお話の流れです。

まんざらフィルム使いまわしの、お手軽再生産映画だとバカにしたもんじゃない、というくらいは楽しめます。
マッハ文朱も、ポージング、立ち姿が綺麗で、「正義のヒーローにして近所のお姉さん」として様になってますし、怪獣映画という感じはあまりしませんが、ヒーロー物の王道を行ってる菊池俊輔サウンドもカッコイイ。

ガメラに関しては、一応”二代目ガメラ”ということになるのでしょうか。
圭一くんがガメラのファンなのですが、このガメラ、この世界では本当にいたのか、それとも我々の世界同様、架空の存在なのかはイマイチ不明です。
ただ多少は周囲に認知されてる雰囲気もありますので(ムック本が出ていたりするし)、同じように映画やTVで活躍したヒーローなのかも知れませんね。

『宇宙怪獣ガメラ』(1980)_e0033570_2373266.jpgさて、この作品の大きな特徴は、あちらこちらに散りばめられたパロディ要素。
海賊船ザノン号のデザインはあからさまに『スター・ウォーズ』のスター・デストロイヤーを真似たもので、ご丁寧に画面の上方から三角のフォルムを見せながら登場しますし、平和星M88は勿論ウルトラマンの故郷M78星雲からのネーミングでしょうし、スーパーウーマンのデザインは「白地に赤」の日の丸カラーのタイツ姿で、これは星条旗をあしらったスーパーマンを模したものです(余談ですけど、当時のスチール写真の中にはこの白のタイツの下が透けちゃってるものが何点かありましたっけ…)。

また「四角くって食べやすい」で御馴染み(古すぎ!)桂小益(9代目桂文楽)が演じる亀有公園前派出所のお巡りさんが出てきたり(少なくても香取慎吾よりは似てる。そして せんだみつお よりも!)、圭一くんの夢の中では宇宙戦艦ヤマトとガメラがすれ違ったりしますし(ちゃんとテーマ曲も流れます)、ラストシーンはモロに『さらば宇宙戦艦ヤマト』です。
おまけにザノン号キャプテンの声は、ズォーダー大帝の小林修だったりするのは狙い?偶然?
あ、ちなみに銀河超特急999号も出てきますが、こちらはガメラとすれ違うなどの合成処理は施されず、単にフィルムを流用してるだけなので面白みも何もありません。

思えばこの頃は、再評価やらリバイバルやら、色々と動いている時でした。
1977年の『宇宙戦艦ヤマト』公開に端を発したアニメブームは、他にも『海のトリトン』や『科学忍者隊ガッチャマン』、『ルパン三世』、『サイボーグ009』といった旧作にも目を向けさせ、再編集版が劇場公開されたり、新作や続編が作られるようになりました。
その勢いはアニメーション作品だけじゃなく、「ウルトラマン」や「仮面ライダー」、それに「ゴジラ」といった特撮主体のヒーロー物にも飛び火し、再放送で盛り上がり、翌78年公開の『未知との遭遇』、『スター・ウォーズ』に始まるSFブームと合体し、79年を中心に同じように再編集の劇場用作品が作られたり、シリーズが復活を遂げたりしましたが、そんな流れの中での今回の「ガメラ」復活という訳です。

「ゴジラ」は…ちょっとタイミングを外しましたね。
この時期に復活していれば、今よりももっとパワーを持ったキャラクターになっていたかも知れません。
それを考えるとちょっぴり残念な気もしますが、ブームの渦中に復活を遂げ、その結果他の作品群の中に埋没、という結果にならなかったのはかえって良かったのかも知れませんが。

Tracked from ガメラ医師のBlog at 2009-07-02 17:55
タイトル : ガメラ:昭和(湯浅)版視聴記など 2009/07/02
 本日二本目の更新です。一本目「6月第5週のフィギュア情報」はこちら。   本項では、65年公開の「大怪獣ガメラ」から80年公開の「宇宙怪獣ガメラ」に至る、昭和時代の大映ガメラシリーズについての視聴記などをまとめております。 前回の「 /06/22」にはこちらから。  個人的感想に基づく、湯浅版ガメラシリーズベストの発表。 『モゲラ日記』 http://7-chronocross.blog.so-net.ne.jp/ さん、6月25日の更新。 昭和ガメラ映画制覇 http://7-chronoc...... more
Commented by ガメラ医師 at 2009-07-02 18:26 x
Excalibur様、ご無沙汰しております。前回1月の「対ジグラ視聴記」を拝見させて頂いた、「ガメラ医師のBlog」管理人でございます。
 この度は「昭和版ガメラシリーズ視聴記」の完結、おめでとうございます。拙Blogの更新、
『ガメラ:昭和(湯浅)版視聴記など 2009/07/02』
中にて、こちらの記事を紹介させて頂きました。毎度の事で恐れ入りますが、お時間のある時にでもご高覧頂ければ幸いです。
 梅雨のおりから、どうかご自愛下さい。
それではこれにて、失礼します。
Commented by odin2099 at 2009-07-02 22:24
いつも有難うございます。
ようやく昭和ガメラが終わり、近々平成三部作にも手を伸ばせれば、といった状況です。
これからも宜しくお願い致します。
Commented by タイガーXYZ at 2011-03-01 15:20 x
どうもご無沙汰しています。

>≫「ゴジラ」は・・・ちょっとタイミングを外しましたね。この時期に復活していれば、今よりももっとパワーを持ったキャラクターになっていたかも知れません。

>ゴジラと言えば、「宇宙怪獣ガメラ」の劇中でザノン号にリモコン装置を取り付けられたガメラが暴れるシーンで、ガメラの足元に「さらばドジラ」と言うゴジラをパロった映画の看板が映るシーンがあるそうですね。

「宇宙怪獣ガメラ」と言うと、ガメラが宇宙戦艦ヤマト・銀河鉄道999と競演する…というシーンがあるのを連想しますね。

自分も、昔「宇宙怪獣ガメラ」をテレビ放映で見たとき、「ガメラがヤマトと999と競演してる!」と驚きましたが、「特撮とアニメのコラボレーション」を胸に覚えました。
Commented by odin2099 at 2011-03-01 22:16
『さらばドジラ』は結構ハッキリ映りますし、パンフやムック本でも触れられています。
あとはジグラの登場シーンが『ジョーズ』のパロディとされていたり、他にも西部劇はじめ幾つかをパロディシーンと紹介してあったりするのですが、狙いすぎだったりこじ付けっぽいのがあったり、ですね。

当時持て囃されていたビデオ合成がバンバン使われているので、画面に走査線というのかな、線が映っちゃっていて汚らしいのと、解像度が甘いのが玉に瑕です。
『宇宙からのメッセージ』なんかもそうですし、TVの『仮面ライダー(新)』や『宇宙刑事ギャバン』などでも使われた技術ですが。
by odin2099 | 2009-06-25 23:15 |  映画感想<タ行> | Trackback(1) | Comments(4)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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