『ゴジラ』(1984)
2009年 06月 30日
ですが、タイトルはシンプルに『ゴジラ』のみですし、世界観も一新。第1作の『ゴジラ』に直結するお話になりました。
つまり、『ゴジラの逆襲』以降の2作目から15作目までの作品は、全てなかったことにされているのです。この世界にはアンギラスもラドンも、モスラやキングギドラ、それにメカゴジラも存在していません。
ポジションとしては、パート2のリメイクということになります。
この大胆な改変は、やはり中断期間が長かったのも理由の一つだと思います。
それまで2作目と3作目の間が7年空いたことがありましたが、概ね年に一本ペースで作られてきた「ゴジラ」シリーズ。それが人気の低下やオイルショックによる製作費の高騰等々で中断の憂き目にあったわけですが、それだけ「ゴジラ」を取り巻く環境は厳しかったということでしょうね。
復活した新『ゴジラ』は、『グレムリン』や『ゴーストバスターズ』と一緒にお正月映画として公開され、「3G決戦」などとも呼ばれていましたが、どれも好成績を収めたようです。
かくいう私は『グレムリン』しか観に行ってません。この頃はまだ「ゴジラ」にさほど思い入れがなかったもので。
初めて観たのは公開の翌々年の春にTV放映された時でした。
ヒット作とはなったものの、ファンからの評判があまり芳しくなかった作品だった、ということも頭の片隅にあったからでしょうか、それほど面白いとも感じませんでした(短縮版だったということもあります)。
考えてみれば9年も待たされたのですから、どんな作品を作ってもファンが諸手を挙げて歓迎するとは行かなかったでしょう。
ただそれでも多くのファンが、1作目のようなシリアス路線であれ、<チャンピオンまつり>のような怪獣プロレス路線であれ、可能な限りスタッフやキャストにお馴染みさんを起用して欲しいとは望んでいたでしょうから、それが実現していればもうちょっと受け止め方も違ったかも知れませんが。
でも逆に旧作に思い入れがない分、自分は素直に観ることが出来たのかも知れません。
その後何度も観直すことになるのですが、その度に面白く感じるようになり、今ではシリーズ中でもかなり上位に位置するまでになっています。
ストーリーの組み立てはかなり陳腐だと思います。
あからさまな反核へのメッセージも、ドラマからは浮き上がってしまっています。
そして何よりもキャラクター造型のまずさ。
田中健と沢口靖子のラブストーリーは唐突過ぎますし、宅麻伸は途中で性格がガラッと変わってしまうし、夏木陽介の博士は終始何を考えているのかわからないまま。そして重みはあっても深みはない小林桂樹総理大臣。何ゆえにゴジラの最期に涙するのか。
その辺りがシナリオに起因するのか、役者の演技なのか、演出の力不足なのか、それともその全てなのかは置くとしても、登場人物のうち、誰にも感情移入出来ないまま、あれよあれよという間に物語はドンドン進んでいってしまうのです。
それでも自分がこの作品が好きなのは、まず画面が綺麗なこと。
有楽町や新宿が夜景に映えているのですが、リアルタイムで知っている街並みだけに、物語世界に入りやすいということもあります。
それと、もし現実に怪獣が現れたら、というシュミレーション映画としての機能を持っていること。そしてそれとリンクして、一種のポリティカル・サスペンス物としての要素を持っていることも挙げられます。
内藤武敏、小沢栄太郎、加藤武、金子信雄、鈴木瑞穂、御木本伸介ら豪華な顔触れが政府閣僚陣を演じ、怪獣映画というよりもパニック映画の如く対策に右往左往する図、というのは個人的にはかなりツボです。
シュミレーション映画という手法は、後の平成「ガメラ」シリーズでかなり徹底的に描写されましたが、少なくてもこの時点では新鮮でした。スーパーXは出てくるものの、大げさな超兵器に頼らないのも好印象です。
そして小六禮次郎の音楽。
残念ながら、「スーパーXのテーマ」など一部を除けばあまりファン受けはしていないようなのですが、陳腐なストーリーや演出を救い、悲劇的側面を強調して作品を何とか締めることが出来たのは、偏にこの音楽あってこそだと確信しております。
ゴジラの誕生60周年を記念してBSプレミアムにて特集が企画され選りすぐりの9作品が放映されているんですが、間もなく日本でも公開を迎えるハリウッド版新作『GODZILLA 』にも照準を合 ...... more
それまではテレビのチョチョ切れ版しか知らなかったのがいっぺんにハマってしまって、当時月残業120時間の荒仕事でしたが会社を抜け出しコンプリート(でも数本は寝てしまいましたが)しました。
で、その後にコレだったんでつい比べてしまった。仰る通り画面は綺麗んですが、どーにもアングルの下手さが目立ってミニチュアがミニチュアにしか見えない…すごくがっかりした覚えがありまして。特に石坂浩二を見下ろすシーン、大魔人より小さく感じましてねえ…
私が「ゴジラ」を評価するようになったのは、友人にしこたまビデオを見せられてからで、それが丁度この作品公開の翌年から翌々年ぐらいにかけて。
なのでリアルタイムの気分というのは、実はあまり知らないんですよね、『宇宙船』の記事ぐらいでしか(苦笑)。
てか、一本90分としても終電で帰れませんわねえ。(;´ω`;)ははは
パンフ買ってたはずなので探せば出てくるんですが、今気力が…
『宇宙船』!そうそう、毎号買ってましたねえ。『スターログ』とともに当時のものは今も大事に置いてます。
『OUT』でしたかねえ、ゆうきまさみ氏だったか、とりみき氏だったか?やはり私と同じように視点が高いからダメだと嘆いてたの。
『宇宙船』は今出てる復活版含めて全冊まだ持ってます。
『スターログ』はツルモトルーム版は数冊だけですね。当時は色々買う余裕がなかったもので。
でも竹書房の復活版は買ってたんですが、結局長続きしませんでした。
『ファンゴリア』も長続きしなかったし・・・みんな、もっと買おうよ!
ゆうきまさみが描いていたのは、多分『NewType』連載の「はてしない物語」ではないでしょうか。
出渕裕とコンビで、そんな意見を吐いてました。その通りなんですけど。
サイボットゴジラ、でしたっけ。文字通りのメカゴジラですな。
実物を見たことないので、実際どのくらい使われてるのか知らないのですが、クローズアップのショットだとか、そういう場面だけでしたかね。
他には実物大の足なんかも作られましたが、今ひとつ活かされてなかったような・・・?
沢口靖子はホントに演技が固かったですね。
あと、石坂浩二のカメオは許せたんですが、武田鉄矢は邪魔っけだなあと感じてました。
かまやつひろしに至っては「あれ?」って感じの出番ですが。