『秀吉の枷』 加藤廣
2009年 07月 13日
前作『信長の棺』では「信長公記」の著者・太田牛一の目を通して織田信長という人物を描き、「本能寺の変」の真相に迫らんとしていたが、本作の主人公は羽柴秀吉である。だが単純に「秀吉=黒幕説」を取らずに、竹中半兵衛、黒田官兵衛、前野小右衛門ら、これまでどちらかというとあまり表だって扱われることのなかった人物の視点を置くことにより、「本能寺の変」前後、そしてその後の秀吉の躍進とその裏にある困惑、恐れ、焦り等々の内面を抉り出そうと試みた一篇。
誰もが知ってる歴史上の有名人であっても、視点を変えればまだまだ多くの新しい物語を紡ぎだすことが出来るのだと気づかせてくれただけでも、この作品は傑作と呼んでも良いのではないだろうか。
後に『明智左馬助の恋』も著し「本能寺三部作」として完結することになるのだが、そちらも何れは是非とも読んでみたい。
ただもう一人、「本能寺の変」に絡めては描いてほしい人物がいる。
それは言わずと知れた徳川家康で、この作品でも(秀吉にとって)得体の知れない怪人物として描写されている。
家康も、直接・間接問わず「本能寺の変」には大きな関わりを持っていたであろうし、その後の秀吉の行動には少なからずの影響を与えたはず。この人物抜きで「本能寺」を締めくくってしまうのは、あまりにも勿体ないのではないだろうか。

コメント遅くなりまして申し訳ありません。
エクスカリバーさんのオススメがあったおかげで2作目を無事読み終えました。
ありがとうございます!
それにしましても、ご指摘の通り
家康側からの「本能寺の変」、読んでみたいですね。
タイトルも信長 → 秀吉ときたら、やはり次に期待してしまいます。
あの不気味な存在感は印象に残るものでした…。
どうやらガッカリさせずに済んだようで良かったです(笑)。
最近『信長の棺』の外伝・短編集が出ましたけれど、この調子で家康も取り上げて欲しいですね。
直接家康を主人公とせずとも、その周辺の人物でもOKですし。
『明智左馬助の恋』は未だ着手出来ません。
この分だと先を越されるな・・・(苦笑)。





